2007年10月04日(木)

「スケッチブック〜full color's〜」Page.01 スケッチブックの少女(AT-X)感想

評価: 10点[前回比: -](累計: 10/10 平均 10.0)

 なんと完璧なねこアニメ……。

 原作既読。っていうか毎巻感想書いてるとおり大ファンなのですが。久米田作品を新房昭之 with シャフトでやるのが正解だったように、この作品をアニメ化できるのはハルフィルムメーカーしかない、ない、ない! てなわけで。もはやこのスタッフには全幅の信頼を置いているので、何も心配していませんでしたが、その期待をも上回るものを見せてくれましたよ。まさに総天然色 The Animation。原作の雰囲気をアニメで再現できないなら、アニメだけの世界を作ればいいじゃない、みたいな。枠組みの違いを活かして、4コマにはない世界の広がりを見せてくれました。もちろん原作と同じくらい、あるいはそれ以上に笑わせてもらいましたが。岡田麿里さんの すごい 脚本。
 もうね、何が すごい かって、導入部分で既にこのアニメ化が成功だと確信してしまえること。お話をはじめるにあたって、ふつーなら原作第一話の、梶原空の入部をそのまま25分のアニメにしたくなるところ。それをせずにオリジナルストーリィを展開するというのが、とりもなおさず作品のビジョン、何を核に物語を紡いでいくかというのが明確である証拠。それはやはり、ねこしかないのであります。そして、気まぐれで集まりが悪いのです(それは制作会社が違う)。
 ところで、今回のアニメ化で、ある意味いちばん興味があった栗原渚@田村ゆかりさまですが……。どうでしょう、これ(訊かれても)。まあきっと、3週間くらい聞けば、もともと想像してた声を忘れてしまうくらい完全に染められてしまうことでしょうが(えー)。

 それは、今までもこれからも、ずっとそこにある日常。その一瞬を毎回どう切り取っていくのか、スケッチブックの一枚絵に載せていくのか、楽しみにしています。

2007年10月12日(金)

「スケッチブック〜full color's〜」Page.02 いつもの風景(AT-X)感想

評価: 9点[前回比: -1](累計: 19/20 平均 9.5)

「ミケは、何故『いつも』をやめたのだろう」(梶原空)

 日常の謎派でもやるのかと思ったら、それどころじゃない。投げかけられた命題が謎のまま残る。これはもはやリドルストーリィですね。あいまい3マイルは遠すぎる。そりゃ猫も知らなかったって奴ですか。
 第二話にして、すっかり原作とは違う風景が見えてきてます。もちろん望むところですわ。最終的に、ねこねこアニメねこアニメなのが変わらなければ良いのです。っていうか、ねこだけじゃなくて人間キャラもみんなかわいいなぁ。とくに麻生さん@中世明日香。麻生さんといえば今だに(以下略)。パペット少女で博多弁でツイン・テル子で、なんで貴女が田村ゆかりさまじゃないんだっ! とか思ったり思わなかったり。でもでも、この栗ちゃんのしゃべり方もかなりいいです。わりと想像通りの声なのは空閑さん@斎藤桃子と春日野先生@広橋涼くらいで、あとはみんな私の予想もつかない魅力を引き出されているという感じで、こういう意外性こそ原作既読アニメを観る醍醐味。
 意外性といえば、神谷くんが女の子だったとは思いませんでした(あんた、ホントに原作ファンなのぉ〜?@水銀燈)。っていうか実は、栗ちゃんもしばらく男の子か女の子か見分けがつかなかったりして。いや、それくらい本作の女子って、みんな控えめな体型で素晴らしいということなのですよ。これだけ素晴らしい子が女の子なわけないじゃないですかと思ったのですよ。むしろ無害妄想なのですよ。

2007年10月28日(日)

「スケッチブック〜full color's〜」Page.04 三人だけのスケッチ大会(AT-X)感想

評価: 10点[前回比: +1](累計: 38/40 平均 9.5)

 いやいやいや〜、いやいや〜。さながらプリンセスレインとファイン。

 これは すごい 佐藤順一絵コンテ。曇天の下、空と栗ちゃん先輩、そして春日野先生の三人だけの写生会。もう栗ちゃん先輩の一言一言を聴いているだけで幸せな気分になってくるのですが、虫愛づる先輩の魅力が遺憾なく発揮された話でした。
 無論それだけではなく、空の「先輩に見えているものと、私に見えているもの、同じものを見てても、見えるものは違う」という台詞が、この作品にとって実に象徴的。もはや、私が原作で見えていた「スケッチブック」の景色とはまるで別物なのですが、このスタッフには、こういうふうに見えているということなのでしょう。このダイナミズムこそアニメの醍醐味。
 山の上にいる二人と、下界で日常を送る他の美術部員たち。同じ空を介在させて、シーンが切り替わる演出が実に素晴らしい。そして、雲の切れ間から次第に光が差していくという、アニメ技法の最先端に挑戦したような名シーンに続いて、空に架かる虹。「蟲師」を引くまでもなく、虹もまた虫偏の漢字なのが感慨深い。同じ空の下にいても、霧や虹に気づかなかった人もいたかもしれず、麻生さんたちが想ったように、山の上での体験はまた特別なもの。そこにあるのに、ふだん気づかないものに目を向け、鮮やかに描き出す。手法は変わっても、それは変わらない「スケッチブック」の真髄。

2007年11月01日(木)

「スケッチブック〜full color's〜」Page.05 ねこねこの日(AT-X)感想

評価: 10点[前回比: ±0](累計: 48/50 平均 9.6)

 金田朋子迫真のねこ演技に全米が泣いた。

 傑作。今回は今まででいちばん原作の雰囲気に近づいた感じですね(それが良い悪いというレベルの話ではなく)。web拍手で質問もいただきましたが、原作の面白さというのは、4コマならではのギャグのキレにあると思うのです。そこに関しては、ほぼ涼風コンビに集約されて、かなり比重が小さくなってる感のあるフルカラーズ。その分、連続的な時間を描くことで得られる世界観の広がりは圧倒的ですが。ただし今回は、非4コマ短編集の「スケッチブック出張版」を基にしてるからか、その差異はあまり目立ちません。ちなみに、この巻、ねこ比率がとくに高くてオススメ。クマさんは原作でもあんな感じです。
 ねこメインの話ということで、ねこ世界には立ち入るまいとする空。まあ、ずんたかぽこてんと入っていくと、たまに恐ろしいことになったりしますから。ねこが人語を解する物語というと、最近では真島悦也「コイネコ」、古くは、ちばあきおの「ふしぎトーボくん」あたりを思い出したりするのですが、どれもけっこう切ない話ですからね。それは近くて遠い、人間世界の向こう側。せいぜい、昨今巷を賑わす賞味期限切れの何かをあげて、さざ波を立てるくらいにしといたほうが無難です。初音島名物の手から和菓子は大丈夫かなぁ。

2007年11月17日(土)

「スケッチブック〜full color's〜」Page.07 9月の日に…(AT-X)感想

評価: 10点[前回比: +1](累計: 67/70 平均 9.6)

 ちかっぱ素晴らしい……。

 ついにケイト@後藤邑子さまの登場ですよ。この人が出てくると日本語ネタも勢いを増します。それでいて、最終的には感動巨編ねこアニメになってしまう、この再構成力の高さに舌を巻きます(まあ器用)。前回の話に組み込むのかな? と思ってた、クリスマスパーティの話がこんなところに顔を出したのも嬉しい限り。みかんとアミダクジのネタがなかったのは惜しいところ……なんてワガママ言うんじゃありません(マイマザー)。
 そして次回は待望の少女のお話。いやまあ、涼風コンビのほうは予想がつくからいいとして、EDにも出てたあの女の子にどういう物語が用意されるのか、楽しみです。

2007年11月23日(金)

「スケッチブック〜full color's〜」Page.08 ラジカセと少女の二本立て(AT-X)感想

評価: 10点[前回比: ±0](累計: 77/80 平均 9.6)

 デジタルカメが、こんな話につながるとは。

 あぁもう、言葉はいらないレベルに素晴らしい(他意はありません)。なんてスケック。涼風コンビのお話を、こんな形でおざなって、別の世界にいざなってしまう。意地でもふつーのギャグアニメにはしたくないようですね。
 ちょっと特別な休日と、デジカメの少女との再会。第一話では「なんかダメかもね」という対立項でしか語り得なかったデジカメが、話数が進んだ今、はじめてスケッチブックと共存する形で描かれる。この世界は空くんの視点で見た世界であり、それ故に、この少女がこの上なく魅力的に見えるのも当然のこと。ねこねこがかわいいのもまた必然。しかし、なまえを訊くより先に学年を訊くとはやりますね空くん。えぇ、別にがっかりなんてしてませんとも。たそがれ時に、「誰そ彼は」と問いかけることもなく、互いのなまえも知らないままに別れる。この世界観だからこそ当たり前に見える、この日常。日は沈み、そしてまた昇る。いつもと同じで、でも新鮮な一日が、また始まる。

2007年12月20日(木)

「スケッチブック〜full color's〜」Page.12 スケッチブックの日(AT-X)感想

評価: 10点[前回比: ±0](累計: 116/120 平均 9.7)

 根岸ちゃん乳酸菌取ってる〜?

 岡田麿里さん恐るべし。この作品がアニメ化されると知ったときには、今回の原作話を最終話に持ってくるのではないかと予想していたのですが、相変わらず膨らませ方が卓越しています。このために、根岸ちゃんとデジカメの少女ことみなもちゃんの話があったのですね。まっしろなスケッチブックに蘇る、幼き日の純粋な記憶。がおーは画王に通ず。
 さてこれで、最終回ではどんな話を描いてくれるのか、ますますもって楽しみです。とりあえず、まさかのふくだとくのすけにも先を越されたあの人の出番はなんとかありそうですが。

2007年12月27日(木)

「スケッチブック〜full color's〜」Page.13 ひとりぼっちの美術部(AT-X)感想

評価: 10点[前回比: ±0](累計: 126/130 平均 9.7)

 大庭さんがこっそり出てたのに気づかなくてごめんなさい。また性別を勘違いしていてごめんなさい。

 美術部にひとりぼっちの空だけど、彼女は世界にひとりぼっちではない。もちろん、ここで「ef」を引き合いに出すような無粋な真似はしません(っていうか、向こうまだ最後まで観てないし)。なんか空閑さんが意味深なこと言ってましたけど。見えなくてもいいものを見なくて済む世界だったらどんなにいいことか。
 スケッチブックに色をつける行為は、世界に意味を見いだすことにほかならない。空が見た世界、空が見た美術部のみんな。それを、枠組みの外側から行っているだけだとしたら、ねこねこの世界に勝手にナレーションをつける行為と変わらないけれど。そしてそれは、ねこねこたちに賞味期限切れの餌をあげていた、かつての空にも通じたりして。
 でも、今や彼女は世界の中にいる。世界の中にいて、互いに交わっていける。ちょうど、絵の具の色を混ぜ合わせるように。交差点の向こうに見える友人に、ためらいながらも声を張り上げる空が、見ていて実にいじらしく、愛おしい。見ず知らずの人にも、自分の名前を言う勇気をもてるようになった彼女に、最大級のエールを。
 総評。正直な話、原作が好きで好きで、あのままの形でアニメ化するのは不可能だと思っていました。だからこそ何度も書いたとおり、アニメならではの魅力を描き出してくれることを期待してました。その通り、見事な一枚絵を描いてくれたスタッフに拍手。何より、みなもちゃんを見いだしたことこそ最大の功績(次点は金田朋子)。欲を言えばきりがないけど、それは続編を待望することにしましょう。もうね、毎クール「ARIA」と交互にやってくれればいいんじゃないかとさえ思います。なんか初期あにたま枠みたいですけど。
 総点は88点。

スケッチブック

 そして「ARIA The ORIGINATION」に橋渡し。引き続き、ハルフィルムメーカーの起こす奇跡から目が離せません。