2004年04月07日(水)
「ふしぎの海のナディア」(再)第1回 エッフェル塔の少女(NHK教育)感想
いまさらって感じですけど、一応。
やっぱり良いですねー。これまた初回のセオリーをきっちり守った構成。冒頭は視点人物であるジャンの性格づけをはっきりさせる意味合いも含め、世界観を肌で感じさせる。そしてジャンとナディアの出逢い。ナディアの敵との闘いの過程で、ナディアの心のわだかまりが少しだけほぐれていく様子がきっちり描かれています。そして旅立ち。細かな不明点はあえて残しつつ、次回も観たいと思わせるつかみはOK!
2004年04月16日(金)
「ふしぎの海のナディア」(再)第2回 小さな逃亡者(NHK教育)感想
ほとんど完璧で文句のつけようがありません。ジャンの発明品に感嘆し、そのあと失敗を見て失望するナディアというシーンが三回リフレインされてて絶妙の効果を生み出している。前二回があるからこそ、最後飛行機が飛んだときの感動も大きく、そしてその後の「不具合発生→暗雲」という引きも、それまでのシーンで失敗がコミカルな描かれ方をされているために、致命的な不安感をかもしだすことなく観られます。素晴らしい。
あと、かなり類型的描かれ方をしている、「おばさん」の愚痴に対して、ジャンがまったく屈託なく応じているシーンもいろいろ解析の余地があると思いますけど、これほどの名作ですしきっと既出ですね……。
2004年04月23日(金)
「ふしぎの海のナディア」(再)第3回 謎の大海獣(NHK教育)感想
「すべての生物は、ふたつに分けられるーー
うまいやつと、まずいやつだ」(エアトン)
食べること前提なのか(笑)
これもけっこう話の展開が早いですね。アメリカ海軍の軍艦に助け出されたジャンとナディア。あからさまに軍人を敵視し、生き物の殺生を嫌悪するナディアの姿に某特定思想の人々がだぶって見えますが、まあまあ。
それにしてもこの船艦も、エアトン談では海獣を捕獲する密命を帯びているはずなのに、わけのわからん悪党の船一隻にやたら砲弾を使いまくったり、捕獲してからもずっと網にかけたままで不当な虜囚の扱いをしたりと国際法無視しまくりですね(当時はまだ国際法は無かったのかな?)。
まあ、擦れた大人の戯言ツッコミはともかく、作品全体としてはナディアの情感に流されることなく、ジャンの海獣に対する疑念で引きだったので良し。あ、演出摩沙雪さんだったんだ!(だからどうした)
2004年04月28日(水)
「ふしぎの海のナディア」(再)第4回 万能潜水艦ノーチラス号(NHK教育)感想
「僕は、嫌いな人っていないんだ」(ジャン)
相変わらず良い感じ。
上のセリフに象徴されるように、ジャンとナディアの性格の違い(=これまでの環境の違い)がよく行動に表されています。
けっきょく、ノーチラス号の秘密というのがなにひとつ明かされずにジャンたちが降ろされてしまうラストもなかなかアンチっぽくて良いかも。
2004年05月06日(木)
「ふしぎの海のナディア」(再)第5回 マリーの島(NHK教育)感想
「しーらないのー?」(マリー)
ジャンとナディアが乗った飛行機は、突如砲撃を受けて島に墜落する。その島でふたりが出逢った少女マリー。彼女の両親と飼い犬は、砲撃の主とおぼしき謎の集団によって殺されていた。何も知らないマリーとともに、ジャンとナディアは追っ手からの逃避行を続ける……。
しかし、これだけ主人公たちが無力な作品も珍しいですね。いや、もちろんGAINAXらしいといえばいえますけど。
このタイプの作品としては常道ですが、ナディアとジャンにはそれぞれ「情の人」「理の人」という相対する役割が与えられています。それらが互いに補完しあい、能力を生かしあうことで困難を乗り越えていく、というのがセオリィなのですが。
第1回でナディアを助けてからは、ジャンの発明もそれほどの役には立っていません(2話に顕著)。米軍艦に助けられたり、ノーチラス号に助けられたりと、能力の発揮が出来ていません。ノーチラス号においては、好奇心という才能の芽すらも摘まれてしまっています。
いっぽうのナディアは、さらに無力感が漂います。殺生を激しく憎みながらも、死の概念を理解できていないマリーに両親のことを訊かれ、後の絶望を生むことにもなる希望の言葉を投げかけるのみ。このシーン、対するジャンは「理の人」であるからしてまったく言葉を発していないのもそれに輪をかけます。
しかし、これで一話が終わってしまっては、カタルシス機能が果たせずに作品が破綻してしまいます。ラスト、ジャンとナディアがマリーの両親と犬を墓に埋めにいき、翌朝マリーに真相を告げるシーン、これがもっとも肝要です。一見残酷な話ですが、これがなければ話が閉じません。そして、このとき墓を掘ろうとしだしたのがジャンだというのが重要。「理の人」であるはずのジャンも、当然のことながら人間としての複雑性を備えていて(そして、それはおそらく現状ではナディアよりも帯域が広い)、だからこそ敵に見つかるかもしれないという論理的判断を超えた行動を起こし、それが視聴者の胸を打つのです。そして、ナディアがマリーに両親の死を告げた際、自分も両親のところへ行くというマリーに、「行けないんだ」と諭すこと、これがこの物語で彼に課せられた使命なのです。
……と、にわか評論家ぶった文章を書いてみるテスト。まーガイナ作品だしね(こればっか)。
2004年05月13日(木)
「ふしぎの海のナディア」(再)第6回 孤島の要塞(NHK教育)感想
「実は、ノーチラス号からちょっと借りてきたんだ」(ジャン)
ストーリィが怒濤のように動き出してきましたね。マリーをさらわれ、敵の要塞に忍び込んだジャンとナディア。と、地下の人造オリハルコンにナディアのブルーウォーターが反応し、見つかりそうになる。敵の狙いは自分であることを知るナディアは、ブルーウォーターをジャンに託し、彼らの前に姿を現す……。
ここではじめて一話完結が破られ、話は次回に「つづく」。
まさに盛り上がり最高潮。非常に良い感じです。
それから、今回の引用セリフに上のを選んだのには理由があって、まさに前回分析したことに関連してきます。これはジャンが懐中電灯を取り出したときにナディアが尋ねたのに答えたものですが、「発明」というジャンの特性が、ここでノーチラス号という属性のものにすり替わって発現している。「万能潜水艦」と冠されるだけあって、(その正体は部分的に視聴者に明かされているのみですが)まさに眼前の敵にも対抗しうるものとして描かれています。今まで無力であったジャンとナディアが、ここから反撃を試みるという暗示になっているのだと思います。同じく捕まったグランディスたちが、一瞬ではあれ、やたらに格好良く描かれていたのもその伏線でしょう。
2004年05月20日(木)
「ふしぎの海のナディア」(再)第7回 バベルの塔(NHK教育)感想
「プリンセスなんて呼ばれる覚えはありません」(ナディア)
いっきに急展開。いろいろと言いたいこともあったりしますけど、ちょっと最近時間もないので理系ツッコミだけ。
バベルの塔、けっきょくはサイクロトロン運動で粒子を撃ち出す加速器なんですけど、加速の向きが非効率ですね……。あと真横にいたジャンたちはめっちゃ放射光を浴びてると思う。黒メガネで遮断できるという考えもすごいけど。
2004年05月27日(木)
「ふしぎの海のナディア」(再)第8回 ナディア救出作戦(NHK教育)感想
「みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために」(グランディス)
とにかく凄いの一言。ある意味むちゃくちゃな話の詰め込みというか、展開早すぎなんですけど、ここまで圧倒的な見せ方をしてくれたら引き込まれますね。
しかしここ最近のグランディスたちの格好良さはただごとではない。第1回で典型的(ギャグ系)敵役として出てきた彼らの変貌はなかなか面白いです。
とりあえず、これで前にも言ったジャンたちの無力さが一応は克服されました。ナディアの最後のセリフにもあるとおりですね。で、話自体はいよいよこれから。
2004年06月03日(木)
「ふしぎの海のナディア」(再)第9回 ネモの秘密(NHK教育)感想
「私を艦長とは呼ぶな。この船は軍艦ではない」(ネモ)
前半と後半にやたら齟齬があるのが気になりますが(初対面ではサンソンはエレクトラに反応してたのに、後半はむしろハンソンのほうが気にしてたり、部屋に鍵がかかってるはずなのにやたら勝手に出歩いてたり、ネモもジャンたちに逢いたくないと言ってたのにあっさり逢ったり)。
今回もまた、「ネモの秘密」なんてサブタイトルをつけて、それが明かされるかと思いきや、ほんとに秘密のままで終わるというひねくれアンチネタ炸裂が楽しめました。
2004年06月10日(木)
「ふしぎの海のナディア」(再)第10回 グラタンの活躍(NHK教育)感想
「がってん」(ジャン・サンソン・ハンソン)
いやー、今回も非常にありがちな話ながら工夫というか仕掛けがいっぱい。
エレクトラに「ふたりはもう大人」と言われ、思わずナディアの胸に目線がいくジャンです。いいじゃないですか、胸なんかなくったって。むしろ無いほうが……。それに対し「大人じゃない」と言うナディア。何気にマリーの「夫婦ゲンカ」というセリフを聞き流してますけど。
これまで、大人の醜い面ばかり見てきたためか、大人になるのを拒むナディア。いっぽう、ジャンは早く大人になりたいと思っているふしがあります。けれど、死ぬかもしれないグラタンでのミッションに、「死ぬつもりはないんでしょ?」と軽く答えるジャン。若さゆえの無鉄砲と言えば聞こえはいいけれど、やっぱりそこには危うさがあるわけで。直前の、グランディスを想って船内に残してきたサンソン・ハンソンの行動があるからこそ、余計にそれが引き立って見えます。自分の行動が、ナディアに心配をかけさせることになるかも知れないとかえりみることもなく。
こういう話なら、普通は「心配したんだから!」みたいなナディアの訴えで幕を下ろすところですが、それをせずに、ジャンのオヤジギャグというかりそめの大人ぶりで終わらせるところなんか、いかにも心憎い。
2004年06月17日(木)
「ふしぎの海のナディア」(再)第11回 ノーチラス号の新入生(NHK教育)感想
「たしかに科学はすばらしい。不可能を可能にする。だが、科学は知恵の実を食べてしまった人間の罪も背負っている」(ネモ)
グランディスの言った「働かざるもの食うべからず」というのはむしろ「一日作さざれば一日食わず」だろうとか(森博嗣「笑わない数学者」[bk1.jp] [amazon]の受け売り)、相変わらず科学と技術がごっちゃになってるなーとか(このへん参照)。しかしまあネモのような自覚は非常に大切ですね。
しかし、こういうふうに思いっきり顔を崩して描く手法って懐かしいな、と思ってみたり。
2004年06月25日(金)
「ふしぎの海のナディア」(再)第12回 グランディスの初恋(NHK教育)感想
「人は、ひとりでは生きていけないんだからね」(グランディス)
これは本当にNHKアニメですか、と思いつつ(のぞきのシーンね)。
めまぐるしい展開で視聴者を飽きさせません。最近のアニメと比較しても遜色ない構成というのは本当に驚き。グランディスとエレクトラの対決をコミカルに描きつつ、いつの間にか敵対心を持っていたはずのナディアがグランディスと打ち解けているという流れを自然に見せています。そしてすっとグランディスのカコバナへ。ここでも深刻そうな話をあっさりギャグっぽく語らせ、ジャンのことに話題を転じる。そうしてみたところで以前から出ていたナディアの肉食嫌悪を全面に押し出す展開。素晴らしすぎ。
2004年07月01日(木)
「ふしぎの海のナディア」(再)第13回 走れ! マリー(NHK教育)感想
「つまんなーい」(マリー)
すごい。超傑作。「ナディア」の、あるいはGAINAXの、はたまたNHKアニメの真骨頂。
前半のマリーの島散策から、いろんなパロディを仕込んでおきつつ、後半でさらにそれが爆発。もう笑いっぱなし。シリアスな展開とギャグが見事に融合していて十全に楽しめます。
そしてラスト。唐突に前回のナディアの心境ときっちりつながる展開で、その衝撃たるや。これぞNHKの陰謀だ! とばかり、人生が狂わされる人が続出してもおかしくない。最高。
2004年07月07日(水)
「ふしぎの海のナディア」(再)第14回 ディニクチスの谷(NHK教育)感想
「進路反転180度。全速でリーフ64に向かう」(ネモ)
うむむ、素晴らしい。前回の引きをしっかり回収する話。
前半は、ネオアトランティスの隊員を撃ったネモ船長を敵視するナディア、そして吊り橋理論によりフラグが立ったサンソンのマリーを心配する様子が描かれ、視聴者にもネモ船長やノーチラス号に疑念を感じさせる展開に。しかし、そこはお約束の展開でネモ船長の方針変更。そして後半の展開でしっかりその地位を回復しています。銃がけっして人殺しのためだけの道具ではない、ということを子どもたちに教えてくれる貴重な話です。
戦略的に言えば、目先のことにとらわれて大きな目標を見失うことは許されないことですが、このような描き方なら文句はまったくありません。潜水艦という閉ざされた環境で何より大切なことは、仲間の信頼関係を損なわないこと。だからこそ、エレクトラも反論しつつもすぐ命令を復唱し、ほかのクルーも文句ひとつ言わずに従ったのでしょう。もちろん、これまで充分にネモ船長に対する信頼感が醸成されていたからこそでしょうけど。
2004年07月14日(水)
「ふしぎの海のナディア」(再)第15回 ノーチラス最大の危機(NHK教育)感想
「形あるものは、いつか壊れる。それも運命だよ」(ジャン)
有毒原子ガスなどという非科学的きわまりない言葉を使わなければいけないのは非常に抵抗がありますが、さすがに規制でしょうね。まあ、まだ19世紀なんでアインシュタインの相対論の発表前で用語が固まっていない、という逃げもできますけど(その割にはあのマークは明らかにアレですけど)。
それはさておき、本当にすごい。闘いの中で避けられない仲間の死というものを、しかもこれほど理不尽な形のものを正面から描ききっています。三ヶ月もの間を置いて3話の伏線が皮肉な形で効いてくるのもより衝撃を大きくしています。今回の話だけでも、結末を知った状態で観れば冒頭のシーンのセリフひとつひとつが重く響きます。名前もフェイト=運命ですよ。ステイナイトですよ(違。
2004年07月21日(水)
「ふしぎの海のナディア」(再)第16回 消えた大陸の秘密(NHK教育)感想
「こんなすごいものを作った人たちだって、いつかはみんないなくなってしまうんだ」(ジャン)
ううむ、内的心理描写の多い観念的な回。なんか某作品の最終回を思い出してしまいますが、実は私はあれをけっこう評価してる派なので。
人も、人の造りしものも、すべてはいつか朽ちる。それはたしかに運命なのだけれど、だからといって虚無的になってしまう必要はない。死ぬまでに何かを残す、あるいはそれを見つけるというだけで、生に意味は見出せる。
ただまあ、それを受け入れられるようになるまでには、相応の時間が必要なのかもしれませんけれど。ナディアやジャンくらいの年齢では少し早すぎるかも。こんなアニメを幼少期に観てしまったら、人生変わってしまいますね。
えむいち。