Final-M1Φなる・えむいち。Final Emuichi

アニメ「Φなる・あぷろーち」SS
by plateau
H17.8.17.
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2005年08月17日(水)

「Φなる・えむいち。」第4話 大遠泳!? 愛と生の水しぶき天国

 今日は8月1日。そう、季節は夏真っ盛り!
 照りつける太陽! 目の前に広がる大海原!!
「そして俺の横には水着美少女! くぅ〜っ、夏ってサイコー!」
「ご機嫌だな、水原」
「おうともよ、お嬢! 青春の時は短い! 思う存分満喫しないとなー!」
「あんたね〜、この状況でよくそんなことが言ってられるわね」
「ふん……こうでもしなきゃ、やーってらんねーよー!!」
 大海に、涼の大声が響く。四方数百メートル海、海、海。涼たち一行は、絶海の孤島で遭難していた。
「そーなんだ!」
「だーまーれー!!」

 ちゃっちゃっ(略)

 話は数十分前にさかのぼる。
 夏休みを利用して、海へ婚前旅行に訪れていた益田西守歌と水原涼。
「涼様〜、いかがですかこの水着? 今日のために特注で作らせた、流行最先端モードですわ」
「最悪だよ。全然似合わない」
「まぁっ!? どうしてそんな非道いことをおっしゃるんですの?」
「だって、どんな水着だって、お前の美しい身体を覆い隠してしまうんだからな。この布が憎い」
「りょ、涼様……」
「っておい西守歌! 勝手に話を作るんじゃない!! しかもどっかの若手芸人のネタのパクリっぽいし!」
「あら? なんのことかしら?」
「に、兄さん……。今日は私、兄さんのためにスクール水着を着てきたんだけど、似合うかな……」
「って明鐘までー!!!」
「おいお前ら……話が進まなくなるからいい加減やめろ」
「まあ早い話が、いつもの一行が嵐に巻き込まれ、無人島に遭難したのです!」
「って早過ぎ!!」
「ふぅ……しかし、どうしたものか。ボートは先ほどの嵐で流されてしまったし、泳いで陸まで渡れそうな距離でも無さそうだ」
「ああ、それに日差しは照りつけてくるし、暑くてたまらん」
「うぇー、脱水症状で死んじゃうー」
「みなさま、ご安心ください。こんなこともあろうかと、わたくしこんなものをご用意いたしてきました」
 と、皆の前に大きな機械をドンッ! と置く西守歌。
「……なんだこりゃ?」
「これは軍が極秘裏に開発している、天候改変マシーン、名づけて『のーてんきくんIII号』ですわ! これさえあれば灼熱の太陽も一瞬で雲に隠され、地には恵みの雨が降り注ぎます」
「……まあ、この際どこから出したかはともかく」
「そんな便利なもんがあるならさっさと……っておい! さっきから気になってたけど、この展開どこかで」
「はぁ? なにかおっしゃいました?」
 と、西守歌は機械のスイッチらしき場所に手を伸ばす。
「お、おい待て! この流れで行くと……」
「? 何ですか涼様?」
 ぽちっ。
 どかーん。
「のわあぁぁ、た、竜巻〜!!?」
 ゴロゴロ、ぴしゃーん
「いやぁぁ、また嵐がー!!」

 その頃。ビーチでくつろぐ武笠晴希・百合佳のカップル。
「あら? 何かしら今の音。遠くの海で雷でも落ちたのかしら」
「……お約束、だな」
「え?」
「……まあ、今回は騒動に巻き込まれそうになくて何よりだ」

 舞台は無人島に戻る。
「はぁ、はぁ……大変な目に逢った。お、おーいみんな、生きてるかー」
「に、兄さん……。あたしは大丈夫」
「おぉ明鐘、そうか良かった。お! あそこに寝ているのは美紀。おーい大丈夫かー」
「このドヘンタイ!!」
「ぬお〜! な、まだ何も」
「うるっさい! 展開からして先に手を打っといたのよ!」
「みーちゃん、何言ってるの……?」
「はーいみなさまー、ご無事ですかー。それではこれから無人島ツアーにご招待しまーっす」
「って西守歌! 何で一人だけ平気なんだ! っていうか何故にツアコン衣装!! ああもうツッコミどころが多すぎてわけわからん!」
「え? 涼様が、水着のままのわたくしが見たいとおっしゃるなら、わたくしお脱ぎしますわ。なんでしたら、それ以上も(はぁと)」
「そんなことは言っとらーん! って待てよ、こないだの展開からして……おいお前! またどっかに無線機でも持ってるんだろ! さっさと出せ!」
「いやーん! 涼様ったら、無理矢理だなんてそんな」
「水原ー! お前という奴は」
「そんなっ、無人島だから誰も見てないからって、兄さんがそんな人だったなんて」
「見損なったわー涼!」
「って待てお前ら、なんだそのリアクションは!」
「涼様、ごめんあそばせ」
「のわっ!!」
 と、西守歌によってあっさり地面に身を打ちつけられる涼。
「さ、皆様参りましょう」
「そだねー、あんな変態なんかほっといて」
「うむ」
 すたすた。
「お、おいお前ら……おかしいと思わんのか……」

 西守歌に従って、茂みの奥へと入っていく一行。
「はーい皆様、ここから先は少々急斜面となりますので、足下にお気をつけくださいませー」
「って、なんで無人島で道案内が出来るんだよ! お前、絶対先に仕込んでただろ!!」
「さあ、そろそろ見えてきますわよー」
「……このバカ……」
 と、斜面を登り切った涼たちの目に、一面に広がる湖面が飛び込んできた。
「こ、これは……」
「はいー、当無人島名物、しずかの湖でございます」
「だーっ! あのなぁお前、いい加減にしろよ!」
「まぁ涼様ったら、『しずか』という名前に想像をたくましくされました? そんな、『しずかにこの身を任せたい』だなんて」
「誰もそんなこと言っとらんわー!!」
「まあまあ涼、名前はともかく、けっこう広くていい感じの湖じゃん。水も綺麗そうだし、せっかくだからちょっと泳いでいこうよ」
「って美紀、この状況で何言ってんだよ」
「だってあたしたち、もともと海水浴に来たんでしょ。それなのに来たそうそう嵐に巻き込まれちゃって、ろくに遊んでないじゃない。ちょっとは楽しまなきゃ」
「お前な……」
「さあさあ、そうと決まれば皆様、さっそく参りましょー」
 と、西守歌に背中を押され、涼たちは「しずかの湖」に足を向ける。
「きゃっ、冷たーい」
「明鐘さん、いっしょにビーチバレーをいたしませんかー?」
「あっ、うん西守歌ちゃん」
 そうやってはしゃぐふたりの姿を、岸辺で脱力したような目で眺める涼。
「…………」
「どうしたのよ涼、ぼけーっとしちゃって。実の妹の水着姿に見とれちゃってる? それとも、やっぱり西守歌ちゃんのほう?」
「黙れバカ」
「ねぇねぇ、それもいいけどさ、どう、ちょっとはこのあたしのナイスバディに見とれちゃったりしない?」
「…………」
「こーらー! 無視すんなー!!」
「…………」
「あれ、どうしたのえみりん、さっきからずっと黙って」
「いや……。少々気になることがあって」
「っておいお前ら! なんだそのコントは! 少々も何も、気になることだらけだよな!?」
 と、そのとき。
 ざっぱーん。
「うわっ何だ!?」
「来ましたわー、しずかの湖メインイベント、流れる湖ですー!」
「なんだそりゃ!?」
「ふっ……やはりな」
「えっ? どういうこと、えみりん」
「この湖の水を、少しなめてみれば判る」
「水を……? ってしょっぱ!」
「間違いない、この湖は、まわりの海とつながっている。おそらく、潮の満ち引きに合わせて水の流れが発生するのだろうな」
「おい、それってまさか」
「うむ、これは由々しき事態だ」
「そんな……」
「しずかの湖なのに、流れがあるとは、これいかに」
「…………」
「…………」
 ざっぱーん。

 ビーチにて。
「あら? 少し気温が下がったかしら」
「……ふっ」

「帰る! こんな島、さっさと出るぞ!」
「あーん涼様〜、そんなことおっしゃらずに、もっとバカンスを満喫いたしましょうよ〜」
「なーにがバカンスだこのバカ!! いいからさっさと救援を呼べ!」
「もう、仕方ないですわね……」
 と、西守歌はどこからか大きなスイッチのついた箱を取り出す。
「よーし、それで……」
 ぽちっ。
 と、西守歌がスイッチを押すのに合わせて、涼の真下の地面が「ぱかっ」と開いた。
「のわっ!? ひっ、ひえぇぇ……」
 重力に従って落ちていく涼。ややあって、硬い岩盤が彼の身体を出迎えた。
「いててっ! お、おい西守歌、お前な……」
 と、涼の目の前にあった崖がウィーンと音を立て、エレベータのように両開きに開いた。その中から西守歌たちが出てくる。
「お待たせいたしました、涼様」
「…………」
 ガックリとうなだれる涼。
「あ、あのな、お前……ん? なんかここ、ずいぶん涼しいな。そういえば、声も響くし、こんなデカい洞窟が地下にあったのか」
「はいはーい涼様ー、それでは本日の最終目的地までご案内しまーす」
「っておい! 相変わらず、何を考えて」
「まあまあ兄さん、とにかく西守歌ちゃんについていってよ」
「? な、なんだ明鐘まで」
「つべこべ言ってないで、さっさと来なさいよー涼」
「…………」
 そう言われて、渋々西守歌のあとを追う涼。やがて、一段と広い洞窟が目の前に開けた。そして、その中心にあったのは。
「なっ、ななな……こ、これは俺の氷像?」
「はい。わたくしと黒服のみなさんとで一ヶ月かかって作り上げた、等身大涼様氷像フィギュアでございます! この猛暑の中、まさに文字通り涼しさを与えて くれるものをと思い、勝手ながら作らせていただきました。ただ、やはりこの形を保って陸に運ぶのが難しく、そこで皆様にも事情をお話しして、なるべく自然 な形で涼様をここまで誘導することにいたしたのですが」
「これのどこが自然な形だ……。っていうかお前ら、やっぱりみんなグルだったのか!」
「あははー、だってなんか面白そうだったしー」
「まあ、いつも西守歌にはさんざん振り回されている、たまにはお前を振り回す側に荷担してみてはと思ってな。悪く思うなよ、水原」
「わ、私は、兄さんが喜んでくれるんだったらいいかなって思って」
「どうです涼様? 驚きました? 喜んでくださいました?」
 と西守歌が、期待に満ちた子犬のような目で涼に迫る。
「……まあ、たしかに驚いたよ。ただな、ひとつだけ言わせろ」
「はい? なんでございましょう?」
「なんで氷像が裸なんだよっ!! 服を着せろ、服を!」
「ああ、それは、やはりわたくしの涼様への愛情を表現するものですから、ありのままのお姿がよろしいかと。ちなみに原型の作成には明鐘様のお言葉添えをいただきました」
「あ、えっと、私も三年前に見たっきりだから、今もおんなじかはわかんないけど……」
「だーっ!! 何言ってんだ、明鐘!」
「へぇ〜。鐘ちゃんって、中二のときまで涼といっしょにお風呂入ってたんだー」
「だぁっ! う、うるさい美紀! たまにだたまに!!」
「いや、入っていたこと自体は否定しないのか……」
「ちなみに涼様、この島は我が益田財閥の私有地となっておりますので、一年中ご自由にご使用いただけますわ。なんでしたら、今すぐ私たちのための別荘を建てても」
「いらんわいっ!」
「まあっ、涼様ったらひどい!」
 そのとき。洞窟全体に大きな轟音が響きわたる。
「なっ、なんだ!?」
「ああっ! 涼様の氷像が!」
 衝撃を受けて、洞窟中央の芸術品は氷の塊へと姿を変える。
 と、土煙の中からひとりの男が姿を現す。
「ふふふ……久しぶりだな、お前ら」
「なっ、お、お前は」
「あ、兄上!?」
 現れたのは、笑穂の兄・陸奥直洋だった。
「ど、どうして貴方がここに!? 島のまわりは、黒服の方々がお守りしていたはず……」
「ふふ、相変わらずだな益田家のお嬢様。だが海は我々のフィールドだ。我が忠実な海兵たちが身を挺して突破したよ」
「な……そんな」
「おいあんた、いったい何の用だ。俺たちが遭難したと思って助けに来た……ってわけじゃなさそうだな」
「ふっ、無論だ。おい水原涼、貴様、せっかく兄妹水入らずの時を過ごすのを涙をのんでお膳立てしてやったというのに、いったい何を遊んでおるのだ!!」
「はぁ? ちょっと待った、何を言ってるんだ」
「ええい、まだ気づかんか! 今日は何月何日だ!」
「何日って……8月1日だろ」
「そうだ! そして明日は!」
「8月2日だろ? それが何なんだよ」
「ええいたわけ者! 8月2日といえば、そこにいる我が妹・陸奥笑穂の誕生日ではないか!!」
「「「え……ええぇ〜!!?」」」
「……お前ら、気づいてなかったのか」
 やや不服そうに口を尖らせる笑穂。それに直洋が言葉を続ける。
「いいか水原涼! 陸奥笑穂と益田西守歌、どちらがお前の嫁にふさわしいか、これより24時間耐久サバイバルゲームを開催する!!」
「望むところですわ、売られたケンカは買わねば恥とはお祖父様の教え! その勝負受けて立ちます!」
「ってちょっと待てー! 俺の意志はー!?」
「つづく!!」
「つづくんかーい!」
 ちゃっちゃらん♪

次回予告

守屋美紀「さー何だか、大変なことになってまいりましたねー。実況はわたくし、守屋美紀がお送りいたします。当事者の一人として、どうですか解説の陸奥笑穂さん?」
陸奥笑穂「……何も語りたくない……」
守屋美紀「そうですかー。それでは賞品の水原涼さん、いかがですか?」
水原涼「って俺は賞品かーい! おかしいだろおい! こんな勝負無効だっつの!」
益田西守歌「さあさあ、私はいつでもOKですわよ、早く次回になりませんかしら」
陸奥直洋「ふふふ、ようやく得られた出番だ、気合いを入れていくぞ」
守屋美紀「おおっと、両者早くもやる気満々のようです! それではさっそく、レフェリーの水原明鐘さん、次回のタイトルコールをどうぞ!」
水原明鐘「え、えっと、次回『Φなる・えむいち。』第5話、『大熱唱! 愛と泪のカラオケ大会』……」
益田西守歌&陸奥直洋「って、全然違う〜!!?」