2004年02月14日

「ファウスト」Vol.2(講談社)感想

 ようやくファウスト読了。えーと、「彩紋家事件 後編」がさっぱり読めてないんですが、休み中には読みきりたいところ。とりあえず以下ファウスト感想。

  • 乙一「F先生のポケット」
     うーんと……言いたいことはいろいろあるんですけど……乙一の作品まともに読んだことないので、判断しかねるところもあるんですが、微妙にメタフィクショナルな意味が不明。
  • 滝本竜彦「ECCO」
     滝本竜彦氏の文章はやっぱり楽しい。地の文も会話も。なんていうか、こう、僕の心のやらかい場所を針でちくちくされるような感じ、と言ったら判るでしょうか(わかんねぇよ)。今回、あからさまともいえるミステリィ的趣向、滝本さんらしく決まってたと思います。
  • 佐藤友哉「人生・相談」
     私も西尾氏からのプレゼント欲しいなぁ……(佐藤友哉氏に対する挑発ともとれる感想)。
  • 渡辺浩弐「Hな人人」
     二話目、三話目のラストの反転が見事。
  • トム・ジョーンズ/舞城王太郎訳「コールド・スナップ」
     すっかり舞城王太郎な作品に仕上がってるな……。
  • 東浩紀「動物化するポストモダン」
     っていうか『九十九十九』未読なので(そのうえ近いうちに読むつもりなので)読めません。ちなみにしょうも無い話ですがちょっと前のウェブ日記での話題については明らかに唐沢俊一さんの意見が正しいと思う。
  • 西島大介「遊星からの物体SEX」
     なんか感想不能だけど面白い。ってかセクス・アリス萌え
  • 清涼院流水「成功学キャラ教授」
     これぞ流水大説か。マジオとウゼ美のアニメって……。はまるなぁこの人の文章。
  • 佐藤友哉「黒色のポカリスエット」
     いやぁ、面白いなぁ。どんどん文体が変わっていくのかこの人。続きはどうなるのでしょう。
  • 西尾維新「新本格魔法少女りすか 影あるところに光あれ。」
     抜群。もう完璧すぎて言葉も出ない。伏線の張り方から次回への続き方からキャラ造形から最後の一行まで絶妙。
     ところでなんか今回、乙一・滝本竜彦「いじめ」、佐藤友哉・西尾維新「誘拐」と、題材が似てるのが並んでいるのはきっと意図的なんでしょうけど、個人的にはどっちも後者のほうが面白い。これも戦略だとしたらかなり恐ろしい太田編集長。
  • 竹「戯言一番」
     アニメ化してください。
  • 上遠野浩平「Beyond Grudging Moment」
     洋楽に興味ない私ですが、上遠野さん的語り口が好き。
  • 滝本竜彦「ぐるぐる人生相談」
     いやー楽しい。ダメすぎー。なんか語彙が尽きてきたぞ私。
  • 更科修一郎「実録! ファウスト人生劇場」
     ……なにこれ? 誰? いや、面白いですけど。
  • 森山嘉一郎「オタクVS.オタク・ビジネス」
     リカヴィネかよ! わたおにかよ! この方の洞察は毎度ながら的確。もっとページを増やしてほしいところ。
  • 巻末独談会
     ファウスト賞応募作リスト&コメントは20日ごろウェブ発表とのこと。
  • TAGRO「Limbo」
     Vol.1に増して凄い。今度単行本を捜してみよう。

    [bk1]

  • 2004年02月26日

    ファウスト賞応募作コメント掲載

     講談社BOOK倶楽部ファウストVol.2のページで、ファウスト賞全応募作のコメントが公開されてます。うーん……予想通りコメントの差が激しい。

    投稿者 plateau : 23:28 [小説/ファウスト]

    2004年04月10日

    ファウストTシャツ(竹)当選

    ファウストTシャツ
     えーと、「当選発表は発送をもって代えさせていただきます」と書いてあるので言っていいと思います。
     以前某誌で某色紙とか某ポスタとか(某ばっかだな)当たったときは、思いっきり名前が発表されてたので書かなかったのですけど(笑)。
     50名とはいえ、まさか当たるとは。まあ昔からけっこう運は良いほうでしたけど。あー、別に身長は普通ですよ?(「トリコロ」を読んだ人だけ判ってください) 四捨五入すれば170センチですので(笑)。ちなみに今まで当たったので一番大きいのはSONYのミニコンポかな。ほかにもマンガ関係のグッズがいろいろ。
     それにしても、これVol.1のですよね……。そういえばVol.2ってアンケートハガキ出したっけ……と確認したら、しめきりは2004年7月30日。長っ! まだ出せるよ。

    投稿者 plateau : 23:34 [小説/ファウスト]

    2004年07月24日

    西尾維新「新本格魔法少女りすか」(講談社ノベルス)感想

    「堕落した人生でコーヒーなんか楽しんでもしょうがない、そのとき飲むべきは青酸カリだ」(供犠創貴)

    普通? の小学五年生、供犠創貴(くぎ・きずたか)はある日、「魔法の国」・長崎から来た魔法少女「赤き時の魔女」・水倉りすかと出逢う。伝説の魔法使いである父親を捜すりすかと創貴のコンビが、向かい来る魔法使いを倒し続ける、これはその第一章。

     りすかって名前、リストカットの含意があるんですね。ようやく気づきました。

    ファウスト」に掲載された「やさしい魔法はつかえない。」「影あるところに光あれ。」に書き下ろし「不幸中の災い。」を加えた西尾維新の新シリーズ第一巻刊行。別の意味で面白すぎるカバー裏表紙の説明文はともかくとして、やはり良い意味で西尾氏らしさ全開の作品に仕上がっていました。以下、書き下ろしの第三話に関わる考察を含みますので、未読で先入観を持ちたくない方はご注意を。

     この第三話が加わったことで、シリーズ全体の仕組みというものがはっきり見えてきたという感じです。ご丁寧にも自己言及されている通り、第一話では鉄道の時刻表トリック、第二話では誘拐事件、そして第三話では確率の犯罪と、既存のミステリィの枠組みを踏襲しつつ、まったく新しい試みがなされています。
     西尾維新といえば「ジョジョ」、というのは戯言シリーズ初期から言われてきたことではありますが、今シリーズではまさにスタンドならぬ「魔法」使い、あるいは「魔法使い」が続々登場し、バトルがくり広げられます。「」なんて、挑発的なアイテムまで登場しますし。
     そうして、毎回の展開は、強大な敵(犯人)に立ち向かい、危機に陥りながらもりすかが死に直面することで「大人バージョン」に変化し、圧倒的な力で勝利を収めるという、鉄壁のパターン。このへんは、週刊連載マンガというよりはむしろ、「魔法少女もの」に代表される、毎週のアニメのお約束を踏襲しているように感じられます。
     こういう連作短編としての縛りを設けているという作品構成上、戯言シリーズの圧倒感には及びませんが、非常に良質なエンタテインメント作品として成功しているように思われます。やはり第三話に顕著な、西尾維新的なセンテンスの面白さも健在ですし。

     それにしても、西尾維新は本当に「おにいちゃん」とか妹キャラとか好きですね。もしかして本人はひとりっ子なのか?
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    2004年07月27日

    「ファウスト」Vol.3(講談社)感想

     ようやく読めたーって最近小説はこればっかりー。ぺとぺとさんや京極夏彦はもうちょっと待っててね(林原めぐみ口調で)。

     なんていうか、もう今回の感想の半分くらいは、「西尾維新素晴らしい! 最高!」に尽きると思うんですが。私としては西尾維新を最大級の賛美をもって応援し続けたい所存ではあるんですけど、困ったことに私なんかが応援しなくても西尾氏が最高なのはもうとっくに皆の知るところですからね。
     ちなみにその伝で行くと、滝本竜彦は私でも微力ながら応援したくて、また応援が必要な気がする作家で、佐藤友哉はたとえ応援したくとも応援の言葉が見つからないといったところでしょうか。
     ということで感想いきます。

  • 西尾維新「新本格魔法少女りすか 敵の敵は天敵!
     ちゃんと、ノベルス版(感想)とこっちと、どちらを先に読んでも楽しめる仕掛けがしてあるところが絶品。ラストのオチも、正しく良い意味で「やっぱり西尾氏だなぁ」という感じ。

  • 西尾維新「零崎軋織の人間ノック
     戯言シリーズ番外編ー。もう! これはもう! 愛しの萩原子荻ちゃん万歳! 愛、愛! これぞ愛!

  • 西尾維新スーパーインタビュー「戯言遣いのツクリカタ
     さて落ち着こう。インタビュアは清涼院流水のはずなのに、相変わらず太田編集長もいろいろ喋っております。今年後半の展開が楽しみです。って今も既に後半ですよ。

  • 舞城王太郎「駒月万紀子
     やっぱり、この人の作品は私には論じられません。凄いとしか書けない。

  • 滝本竜彦「ECCO
     相変わらずの話ですが、このシリーズで滝本さんが目指している終着点にちょっと興味があったりします。あと人生相談の株のネタはタイムリィ。

  • 佐藤友哉「虹色のダイエットコカコーラレモン(短縮版)
     短縮っていうか打ち切りみたいな載せ方をしないでください。単行本を待たないといけないのか……。特別版で「青色のペプシブルー」とかいうのはどうですか? ところでバニラコカコーラ最近どこにも売ってませんなんでですか。好きだったのに。

  • 奈須きのこ「D D D JtheE
     西尾作品を除けば今回一番です。貫井未早(ツラヌイ)の存在の活かし方が絶妙。私のような者にクリティカルヒット。ちょっとゾンビパウダーっぽいなとは思ったけれども。

  • 原田宇陀児「サウスベリィの下で
     挑発的なオマージュと断片的な会話と文章と。後半に行くに従ってどんどん読みづらくなっていくのですが、それが良い味かと。

  • 元長柾木「ワールドミーツワールド
     前の二つで力つきた。そのうち気が向いたら読みますということで。

  • EDITORxEDITOR
     宇山日出臣さんインタビュー。「人って自分の墓穴しか掘れないんだよ」名言。

  • 上遠野浩平「Beyond Grudging Moment
     やはり語り口がいいのですね。あと武内崇イラストが萌え。

  • 森川嘉一郎「ワビ・サビ・萌え
     まったく異論なし。歴史というのは現在のために捏造されるものです。積極的に「萌え」という概念を発見することで、顕現するものもあるはず。

  • TAGRO「The World is full of angry young men.
     これ本当にすごいわー。話つながってきたきたー。ところで顛跌(テンテツ)ってのが何なのかいまだに判りません。

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  • 2004年12月10日

    「ファウスト」Vol.4(講談社MOOK)感想その1

    ファウスト_Vol.4

     いつまで経っても読み終えられそうにないので、小出しに感想。今回は第一特集、文芸合宿の部分だけ。せっかくなので(何がせっかくかは不明)競作部分をしりとり一言感想で。

  • 乙一「子供は遠くに行った」
     すみません、やっぱり合わないな。
  • 北山猛邦「こころの最後の距離」
     なかなか良い出来のショート・ショート。
  • 佐藤友哉「地獄の島の女王」
     トリックのない佐藤友哉の小説はやはり面白い。
  • 滝本竜彦「新世紀レッド手ぬぐいマフラー」
     いかにも滝本竜彦な小説。
  • 西尾維新「携帯リスナー」
     説明の不要もなく最高に面白いです。

     というか、私にとって西尾維新という作家は特別すぎる存在であって。作家ごとの好き度を百点満点で評価すると佐藤友哉が78点、滝本竜彦は95点で、西尾維新は1024点くらいつけてもいいくらい。こんなもん同列に並べて論じられません。以下、滝本・西尾両氏の作品について補足感想。
     滝本氏の小説は、相変わらず読んでると死にたくなります。しかし読み終わると、ほんのちっぽけな、でも力強い希望の光が見える感じ。切な過ぎ。「上京」をテーマにした競作としては完璧な出来映えであると思います。
     西尾維新の作品について。いつもながら、もし私(ぷらとー)自身が小説を書こうと思ったら、こう書きたい、あるいはこうしか書けないであろうという線をピンポイントで狙ってきます。だからこそ、西尾維新という作家がいる間は、私は小説を書こうと思わないでしょう。まさしく、これを読み逃したら、私じゃありません。作中の「鮎川はゆねの深夜水族館」よろしく、これは私みたいな特定の人に向けた作品なのですから、チューニングが合わない人にとってはどうとも思わないのかもしれませんけど。きわめて個人的には西尾維新はそれで良い。最後の一ページ、あやうく読み逃すところでしたけど、このオチでまた嬉しくなりました。

     そしてリレー小説「誰にも続かない」。各パートごとを見ると、たしかにそれぞれの作風を感じさせるのですが、全体として見てもリレー小説とは思えないくらいまとまりが良く、楽しめました。なるほど、誰も変なことをやらないのね。競作の掲載順と同じ五十音順の、この配置が功を奏した感じです。最初は手堅くはじめておいて、佐藤友哉あたりで話を収束させて、滝本竜彦で大転回させる。そして、こと終わりを終わらせることにかけては西尾維新の右に出るものはいない。たしかに192ページの時点で話は決定されていて、これを思いついた滝本さんはすごいのですが、そのあとの地雷処理人のごとき的確さで伏線を回収する西尾氏の手腕はまさに職人級。

     ということで「感想その2」に続く……。
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  • 2005年03月30日

    西尾維新「新本格魔法少女りすか」2(講談社ノベルス)感想

    西尾維新_新本格魔法少女りすか_2「あたし、実は魔法使いなんだ」(折口きずな)

     西尾維新「新本格魔法少女りすかシリーズ」の二弾目です。そりゃまあ、このタイトルで戯言シリーズの続編だったりしたら、かなりびっくりです(といいつつ、けっこう嬉しかったりして)。

     や、いきなりしょうもない戯言を書いたのは、それなりに意味があって。そもそも、このタイトルはなんなのか。「新本格」といったら、普通あとに続くのは「ミステリ」とか「推理小説」であるはず。それが、こともあろうに「魔法少女」ときている。そもそも「新」とつくからには、すべからくその前に新じゃない普通のものがあってしかるべきです。新本格ミステリ以前には本格ミステリがあって、新幹線の前には幹線があって、新谷良子の前には谷亮子があったのです。しかるに、「本格魔法少女」などというものがかつてこの地上に存在したことがあろうか。
     まあ、それは純粋に語法上のものとして許容しましょう。推理小説界で通例となっている用語を、魔法少女ものに敷衍したと考えます。では、エドガー・アラン・ポーを祖とし、次いでアガサ・クリスティ、エラリー・クイーン、ジョン・ディクスン・カーなどの作家によって海外ミステリが花開き、江戸川乱歩らの手によって日本独自の「探偵小説」が生まれ、戦後の社会派の台頭の後、綾辻行人によって「新本格ミステリ」が切り拓かれた、というミステリ史を魔法少女ものに適用するとどうなるか。まず、海外ものの代表は「奥様は魔女」でしょう(それ以前の歴史は不勉強により知りません)。それに触発されて戦後日本で生まれた「魔法使いサリー」や「ひみつのアッコちゃん」が、国内魔法少女ものの元祖、いわば「本格魔法少女」と呼べます。となると、「新本格魔法少女」にあてはまるのは、もう「カードキャプターさくら」でしかありえません(この論理の飛躍を許容できるかどうかが、西尾維新の善き読者となれるかどうかの境目だと、わりと本気で思ってます)。
     新本格ミステリが、その成立からしてメタなものであったことは、この分野に詳しい方なら自明のことでしょう。綾辻行人氏ら新本格第一世代の作家の多くが、大学の推理小説研究会に所属していた、いわば「ミステリオタク」であったことがそれを示しています。彼らは過去の本格ミステリ作品を偏愛し、それを模倣することが自らの創作活動の原点でした(念のため言っておきますが、この文脈においてそれを否定的に捉えるつもりはまったくありません)。
     そして、これと同じ構図が魔法少女ものでも起こっているように思います。かつてのように、純粋に少女向けに作られる魔法少女ものが皆無というわけではありません(たとえば、「魔法少女隊アルス」なんかはけっこうそれに近いかも)。しかし、ゲーム、アニメというメディアで描かれる大半は、それらをメタ化した「大人向け」魔法少女もの、というのが現実です。ちなみに、ひょっとして、その頂点が「魔法少女リリカルなのは」なのではないか、などと私は思っているのですが……。

     ということで結論。この「新本格魔法少女りすか」シリーズは、まごうことなき「新本格魔法少女」ものである。そのメタ性は、タイトル自身にも現れています。通読すれば判るとおり、この作品の主人公はタイトルに冠された「水倉りすか」ではありません。これまでの西尾維新の小説とまったく同じように、一人称たる供犠創貴(くぎ・きずたか)こそが主役。そして、彼の智恵によって毎回現れる敵を倒していく、その構図は一見、典型的な魔法少女もののそれと一致しているように見えます。しかし、本来の魔法少女ものが主人公(あるいはその友人たち)の成長を描くものであるのに対し、この作品では、その「成長」の意味合いがまったく異なっています。りすか=リストカットにより作られる、供物であり犠牲たるキズ。傷が癒えても、その部位がより強くなることはなく、ただもとに戻るだけ。りすかについて描かれる、一時的な「成長」の異常さも、この作品が単純な「少年少女の成長物語」ではないことを示していると考えられます。それこそが、この作品の「新本格」たる所以。

     いやー、ほんとこの作品、感想書きにくい書きにくい。ということで全編大ボラ解析でお茶を濁してみました。たまに書きたくなるんですよね、こういうの。ちなみに、「ファウスト」Vol.4の感想その2がいつまで経ってもアップされてないぞ! というツッコミは禁止です。
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