2004.9.21.第一版
2004.9.21.第一.一版(7話「Wind」みなも誕生日追記。1話文章の修正)
2004.10.1.第一.二版(リンク先を個別エントリからカテゴリページに変更)
今後はKBS京都で再放送があれば、可能なかぎりチェックして補完/訂正を行います。
| 月は東に日は西に | Wind | 備考・考察 |
|---|---|---|
| 1話「空から舞い降りた少女」 日常の学校生活の描写が全体的に似通う。主人公・久住直樹はいとこ・渋柿茉理の家に居候。妹同然の扱い。空から降ってきた天ヶ崎美琴との出逢い。 |
1話「再会のメロディ」 日常の学校生活の描写が全体的に似通う。主人公・丘野真は妹・ひなたと同居。屋上で幼なじみの鳴風みなもと出逢う。 |
ファーストインパクト。このときは初回ゆえのものかと思ったが……。最後に出逢ったのが幼なじみか、そうでないか、同居しているのがいとこか妹かという違いくらいはある。なお、ここにおいて主人公とヒロインの出逢いの舞台が、後に交換されて出てくるのは注目に値する。屋上という舞台はむしろ「はにはに」のほうで頻出するのに対し、「空から降ってきた」という描写は「Wind」の飛行船、あるいは11話ラストでの月代彩と真のシーンを思い起こさせる。もちろん、最終話の「月は東に日は西に」の伏線ともなっているが。 |
| 2話「楽しい学園生活の予感」 天文部に入部した美琴、直樹たちと流れ星を観測する。 |
2話「思い出の約束」 夜空を見上げ流れ星を見つけるひなた。真に、みなもに逢えて嬉しかったかと訊く。 |
ここで既に怪しくなってきた。後づけの理屈をこねると、夜空に輝く星は数万年も前に発せられたものであり、いわば過去との交信をしていることになる。双方ともいまだそのメインテーマは片鱗も見せないが、伏線だと考えられなくもない。空を見上げたのが偶然か、必然かという相違も、危機にある程度自ら立ち向かってきた美琴たち未来人と、彩ほか少数の人間以外にはその運命自体知らされていない風音市の住民という対比があるのではないか。 |
| 3話「ドキドキ身体検査」 とくになし。しいていえば真が見た怪しい人影が伏線。 |
3話「彩という名の少女」 TV版では実質的なヒロインとなる月代彩との遭遇。OneDayにて、真の誕生日イベント。 |
これ以降、しつこいほどに誕生日イベントがくり返される。他のギャルゲー的アニメに比べ、「生と死」の意味が桁違いに大きい作品であるから、その思いも込められているのかもしれない。 |
| 4話「走れ! まるぴん」 恭子先生、結先生とともに海岸にドライブ。保奈美たちとのお泊まり会に遅れる直樹。 |
4話「親とはぐれた子どもたち」 捨て猫を見つめる彩。「誰かと共にいることが幸せなんて思わないほうがいいですよ」発言。 |
この回は類似点を捜すのに少々苦労した。あえて捜すとすればこのあたりか。先生たちと友達、どちらをとるかを決められなかった直樹だが、いつもそばにいた保奈美は待っててくれていた。それに対し孤独な彩は、そんな他人とのつながりを否定する発言をする。やはりこれも、順序が逆であれば「はにはに」の展開が都合良く見えてしまうかもしれない。 |
| 5話「ハッピーバースデー」 直樹の誕生日。美琴たちは誕生会を計画する。 |
5話「光と影」 体育祭。これといって類似点はなし。 |
誕生日イベントその2。これは最初本気で混同した。なお、ここで撮った写真が重要になるのではと予想したが、見事に外れた。ひょっとしたら、美琴パートでは最終回、結婚式の写真のシーンが入れ替わっているのかもしれないが。こじつければ、「Wind」のほうで行われた体育祭、こういう行事ならば写真を撮ってもおかしくはないが、直接の描写が出ていないのでやはり無理があるだろう。 |
| 6話「恋のバイシクル」 自転車の練習をするちひろと、それを助ける茉理の話。どちらも直樹を兄として、あるいはそれ以上の存在として見ている。 |
6話「踏み出す勇気」 わかばの誕生会。同日生まれのひなたも一緒に。みなもは真とデート。 |
誕生日イベントその3。今度は「Wind」に戻って。よく見ると双方とも主人公にとって「妹」、あるいはそれに近い存在のふたりがクローズアップされている。ただし、ある程度前に出ていく茉理に対し、ひなたは最後まで妹としての役割を全うする。なお、みなもの「踏み出す勇気」は、ちひろの自転車を「漕ぎ出す勇気」と結びつけられる気も。 |
| 7話「ブラザー&シスター」 学校のプール開放日。茉理の気持ちに気づかない直樹。 |
7話「青い空の優しさ」 みんなで海。みなもの気持ちに気づかない真。みなもの誕生日。 |
これまた屈指のネタかぶり回。誕生日イベントその4(フラグ不成立)。スク水かそうでないかの違いくらい(嘘)。茉理のほうはこの回で脱落してしまうが、みなもはもうすこし持つ。といっても、TV版ではいつのまにかルートが消えてしまうのだが。 |
| 8話「それぞれの夜」 祐介を捜す直樹と美琴。取り残される保奈美。 |
8話「風と夜空と」 みなも、真を夏祭りに誘う。途中から彩が合流、草原で蛍を見せる。 |
このへんからネタ被り具合が前後の回に渡って複雑さを増す。夏祭りは次回の「はにはに」で形を変えて反復される。いっぽう今回の「はにはに」で描かれた保奈美の孤独感は、「Wind」では9、10話のみなもに引き継がれることに。また、両作品とも中心的な謎を具現化する「祐介」と「飛行船」が話の表舞台に引きずり出される。 |
| 9話「夏祭り」 一ヶ月も前の夏祭りの約束。携帯電話を忘れていき、すれ違う直樹と保奈美。ようやく出逢えたふたり、神社の裏でふたりだけの花火大会。 |
9話「風音の咆吼」 わかば、ストーカーに襲われる。真からの電話を待つみなもだが、向こうは留守番電話になっている。 |
初見感想時にも書いた通り、両作品のリンクが非常に効果を上げた回。「Wind」8話の舞台となった神社は11話で描かれた千年前の神社と同じ可能性もあるが、そうだとすれば後に明らかになるように、「はにはに」の今回の舞台が、直樹が記憶をなくした場所だというものと符合する。「Wind」での電話の意味づけの変化が、「はにはに」で先行して描かれているのも注目に値する。 |
| 10話「もう一人の自分」 毎度の悪夢にうなされる直樹。それと符合するかのように校内に現れるもうひとりの自分、祐介。屋上へ向かい、夢の終わる時間だと言って飛び降りる。 |
10話「同化体」 悪夢を見る真(夢の内容は不明)。わかば、そして秋人を襲う彩。ふたたび真の目覚めるシーン。そして…… |
こうして見ると、ネタ被りはそれなりに交互に補完し合っていることがわかる。前回「Wind」でずっと使われていた電話のモティーフを「はにはに」が拝借したお礼と言わんばかりに、悪夢ネタを「Wind」で用いている。そしてやはり一足早く、夢が現実化するという展開が描かれる(非常にあやふやな描写ではあるが)。「はにはに」9話の美琴の「頑張れ、現代人ー!」発言も考慮すれば、この段階で直樹が見る夢が未来の出来事であるという結論を導き出すことも可能だったかもしれない。 |
| 11話「時空を超えて」 恭子先生によって、すべての真実が一気に明かされる。それを受け入れ、祐介と一体となることを選択する直樹。 |
11話「古からの運命」 彩によって、真実が明かされる。運命をひとりで背負い込む彩を叱る真。彩は崖から風音市の街に身を投げる。 |
このまとめページを作ることを決意させた「Wind」のラストシーン。単体の作品で同じ展開になるよりも、何倍も衝撃が増幅された。思うに、ことの次第が先に視聴者に明かされているか否かというのも重要なポイントであろう。その状況に追い込まれた人物の背負うものの重さの伝わり方がまったく違うから。 |
| 12話「月は東に日は西に」 直樹、そして祐介の回想シーン。5年前よりもさらに昔、保奈美に出逢った頃の幼い思い出。5年前、、神社裏の草原。桜の木の前で起こった悲劇。融合し眠り続ける直樹=祐介を、その場所に連れて行く保奈美。月は東に日は西に。ラストはバンクで学園生活を振り返る。 |
12話「風と共に」 バンクを利用しつつ、彩の回想シーン。みなもと遊んだ、真の幼いころの思い出。黄昏時、舞台は一貫して神社。御神木の前、風とともに砕けた彩の体は、満月に向かい吸い込まれる。 |
「はにはに」とタイトルを略していたせいで、けっこう定番であるタイトルに絡めた最終回というのに思いが至らなかった(あのD.C.ですらやったというのに)。そして「Wind」、夕暮れ時の神社とくれば期待しないわけにはいかない。そして思った通り来たー!! さすがに日と月が一緒に見える描写にしなかったのはせめてもの良心か。 ほかにも細かいシーンで符合するところは大量にある。大木というのは「Wind」で描かれていたと思う(「はにはに」でどうかは筆者の記憶があやふや)。木を前に起こることが、一方は不慮の事故で、他方は希望へ続く故意の現象という対比が面白い。「木」それ自体が、悠久の時のメタファを思わせる。舞い散る桜も「Wind」8話で飛び交う蛍と対比している(春と秋という季節の逆転はあるが、ともに美しさと儚さを象徴)。 回想シーンも、これまた最終回の定番ではあるが良いものは良い。もうひとつの定番、OP曲をラストに流すというのも「はにはに」ではやってくれたが、せっかくだから「Wind」でもやってほしかったところ。まあこういうオチではすこし不自然ではあろう。いちおう後にみなもルートが残っていることだし。 |
| 総括 | 全体を通してみれば、「はにはに」は未来によって現代が(および直樹が)干渉を受け、「Wind」は過去に縛られているという枠組みが明らかになる。もちろん、この結末があった上で両者を同じ枠で放映し、さらに細部のネタを絡ませるという制作側の判断があったと考えられる。結果的に、これまでの15分×2作品枠とは違った楽しみ方が出来たわけで、その点は高く評価したい。 | |