2008年10月02日(木)
ぢたま某「よつのは」(学研ノーラコミックス)感想
ぢたまさん初のコミカライズ。ゲーム版ではなく、OVA版を直接の原作としているようです。展開はほとんど同じですが、「あきすとぜねこ」の暗号の謎がようやく解けたこと、そして何より、ののちゃんをはじめとしたヒロインの、ぢたまさんらしい魅力的な作画が収穫。この表紙も健全で素敵です。
とくに楽しかったのは巻末に収録された番外編。原作(「幼なじみとの暮らし方」?)に同じエピソードがあるのかどうかは知りませんが、今にも「えっちなのはいけないと思います!」とか言いそうな奈々美さんが素晴らしい(言ってないけど)。
「スレイヤーズREVOLUTION」(AT-X)感想
通称スレイヴォ。まだ後半(「スレイヤーズR2」?)があるらしいですけど、とりあえず総評。
これについて言うことはただひとつ、リナ・インバース@林原めぐみ最高なのですよ。アメリアさんも目じゃないのですよ。Because それは林原さまだから。去年も NECO で劇場版過去作をやってましたが、まさかそれが新作の伏線とは。今の時代に新作でこの声が聴けるというのが、とてもとても嬉しい。
といいつつ正直、このシリーズにそれほど思い入れがあるというわけではないのですが。でも先日、会社の同僚とうっかりスレイヤーズ話で盛り上がってしまったりしたのは秘密です。しかも旧作はもとより、この REVOLUTION までしっかり話題になるのだから、そりゃ麻生さんも総理大臣になろうというものです(何のこっちゃら)。
お話的には、長いシリーズの中の一編らしい感じのキャラの動かし方に、タイトルとは裏腹に国を統治するということを考えさせるテーマ、長谷川勝己脚本の適度な暴走ぶり、どれも楽しめました。こういう作品を、もはや夕方に放映できない、BSジャパンですらネットしないというのは少しもったいなくも思いますが……。まあ、今のこどもは深夜アニメも普通に観てるらしいですから、それもそれでレボリューションということでしょうか。
「乃木坂春香の秘密」(中京テレビ)感想
「ななついろ☆ドロップス」「こどものじかん」に続く、スタジオバルセロナ改めディオメディアが贈るメガネ男子シリーズ第三弾。今回もハイクォリティ・ハイテンション、楽しませていただきました。山本天志ちびキャラは正義。
まあ何をおいても、お約束満載のボーイ・ミーツ・ガール物語であるというのが外せない主軸。もう、春香さん@能登麻美子が攻撃力強すぎで、脳みそが溶けるかと思うようなだだあまストーリィ。たまに横槍が入るのも、ふたりの絆を確かめ合うために存在するだけのもの。どうもシリーズ構成がテキトーなのか、毎回同じことしかやってないような気もしましたが。「Φなる・あぷろーち」と比べてしまうと、そこがちょっと……と、どうしても考えてしまうのは自分の性なので仕方ありません。
だから春香さんの「秘密」も、この世でふたりだけが特別だという証として使われるもので、実はアニメやマンガである必然性はそれほど無いとも思えます(ちなみに私は、てっぺんにアのつく言葉は好きじゃないので使いません。てっぺんにオのつく言葉のほうがまだ良いかも)。
でも、これがアニメ作品である以上、また原作はいわゆるライトノベル総本山と目される電撃文庫レーベルである以上、そこには相応の意味もあるはず。OPで、春香さんがアニメ雑誌の中か出てくるという表現に込められた意味。それはやはり、おんなのこがTVやコンピュータの中から出てくるという夢になぞらえているように思えます。つまり、春香さんという存在こそ、アニメやマンガ的ファンタジィの具現化であるということ。
実際、第3話のクラスメイトの態度は自分的には現実にあるとは思えませんし、その後の学園祭話では、みんな無かったことのように打ち解けている。あとΦなるパパもそれこそアニメやマンガの中にしかいないようなΦなるパパですし。つまり、この世界がまるごとファンタジィでしか成立し得ない話でありつつ、その上でお約束ドタバタラブコメを成立させている。あるいは、もはやこういうメタな仕掛けを入れないことには、こういったラブコメは作れないのかもしれません。第1話のゆーとさんの独白、「こんな深夜にアニメなんて誰が観るんだ」という、まさにそんな深夜アニメを観てる層にのみ語られる物語。
そして、そうである以上、ゆーとさんが、アニメやマンガにとくに興味はないけれど、偏見もないというキャラクタである必然性も理解できます。そうじゃないと、あまりに話がメタな方向に行きすぎてしまうので。そしてついには、二次元のおんなのこと、(主人公にとっての)現実のおんなのこ、どっちを採るのか葛藤することに。まあ、それはそれで面白そうですが……って、それは「A・Iが止まらない!」のシンディ編のような。まったく、赤松大先生は、どこまで時代の先を行っているのやら。
蛇足ですが、ファンタジィと判りきった上で個人的にもっとも惹かれたのは、春香さんの妹であるところの乃木坂美夏ちゃん@後藤麻衣でした。らぶりぃみかちゃんの待ち受けがほしいです。っていうかみかちゃんがほしいです。こういう立ち位置の妹ちゃんキャラというのもお約束でとても良いのです。「おに〜さん」というよびかたがΦなる美紀ちゃん@田村ゆかりみたいで好印象なのです(いーかげんにしなさいっ)。
次点では、信長くんがかわいいと思ったのは秘密です。彼と春香さんの絡みももっと見てみたかったのですが、それだとゆーとさんが特別になれなくなるから無理なのでしょうね。ちなみに、てっぺんにオがつく子だから織田→信長、というネーミングセンス(たぶん)が好きです。
来週からは水島努監督・斎藤千和主演「ケメコデラックス!」。これもテンション高そうです。
2008年10月05日(日)
吾妻ひでお「うつうつひでお日記 その後」(角川書店)感想
「うつうつひでお日記」の後日談(タイトルそのまんまだ!)。これは絵日記なのか、なんなのか……。ここまでくると横書きで出版してくれたほうが読みやすい気もします。
今回も何も起こらない、平和で平凡で平穏な日常がそのままつづられる。本の趣味とかはあんまり自分と似通っていないですが、ある一点でとても共感を覚えてしまいました(まあ、何も言うまい)。しかし、吾妻ひでおが桃井はるこ「アキハバLOVE」を読み、「撲殺天使ドクロちゃん」OVAを観ているというのは、やはりこの世界はつながっているのだなぁという想いを強くしました。
これからまったく関係ないことを言いますよ。今月の「ザ☆ネットスター!」で、桃井はるこの「インパク音頭」と、筒井康隆の「電脳筒井線」が同列で語られるというのに目からウロボロスだったのですが(どんなメタミステリだ)、それほど別々のフィールドで起こっている出来事が、やがてどこかでつながっていく。森博嗣「スカイ・クロラ」が押井守監督で映画化されたように。自作がアニメ化されないことを自虐ネタにしていた西尾維新「化物語」がよりにもよって新房シャフトでアニメ化されるように。世界がもし百人の村だったら、その中の五十人くらいは西手新九郎かもねというお話。ただ、それはアニメだけ観ていたり、小説だけ読んでいたりすると気づかない。だから、どんな方面にも出来るだけ手を出してみるほうが、もっと世界が拡がって、もっと楽しい。少なくとも自分はそう思います。あるいはこう言えばいいでしょうか。この世に、関係ないことなど何一つとしてないのだ……と。
ということで、何もしてないと言いつつ、こうした視野の広さをもっていることが吾妻さんの「作り手」らしさかもと思いました。とりあえず次は、「便利屋みみちゃん」をどっかの本屋で探して読みます。
万城目学原作・渡会けいじ画「鴨川ホルモー」1(角川コミックスA)感想
「夜短歩乙」だけに飽きたらず、この作品までコミカライズするとはまったく、角川はまったく……。
はてさて、しかし、こうしてマンガで見てみると、実に王道なラブコメという感じで楽しく読めます。とくにめがねっこ楠木さんがやたらかわいくてわーわー。しかも、主人公の男までけっこうかわいい作画なので、原作でなかなか感情移入ができなかった不具合が修正されています。とはいえ、この後の展開を思い起こすと……。ま、そんな個人的な感傷はともかく、次巻以降のポイントは、肝心の「ホルモー」をどれだけ映像化してくれるか、というところでしょう。
雑破業「おねがい☆ツインズ」1 一人と二人(メディアワークス電撃文庫)感想
解説・倉田英之に不意を突かれて笑ってしまったのが少し悔しい。
通称「おね2」ノベライズ。執筆は雑破業ということで、想像以上に、これはひどい(いい意味で!)。四道くんの扱いの悪さは、「ちょこッとSister」を書いた人とは思えない……いや、これはこれでひとつの愛情の形かもしれませんけど。それにしても放送コードも KEEP OUT も無いからってやりたい放題。あと苺さんは相変わらず素敵です。清酒おねてぃいちごがほしいです。
それはそれとして。アニメと比して、各キャラの言動は過激化されていたり、エピソードは違っていたりしつつも、それぞれの立ち位置は変わらない。肉親かもしれない、他人かもしれない。黒田洋介脚本のように、そんな台詞を何度も口にしたりはしないけれど。むしろ揺れ動く想いを言葉にするより先に行動に移すタイプになってる気もしますが。とにかく、やっぱりこれもツインズなのです。次巻も早急にツインズです。
瀬名秀明「デカルトの密室」(新潮文庫)感想
これは壮大なロボットSFミステリ。著者のデビュー作「パラサイト・イヴ」は、森博嗣先生が小説を書こうというきっかけになった作品としても一部で有名ですが、本作品はさながら「すべてがFになる」。むしろ物語の重厚さを思えば「有限と微小のパン」のほうが近いでしょうか。バーチャルリアリティ、ヒューマノイドといった現代技術の最先端。そしてフランシーヌ・オハラという天才少女からは、真賀田四季を連想せずにはいられません。
SFというジャンルは、ミステリ以上に束縛の強いジャンルであるように思います。ロボットものであれば、アイザック・アシモフをはじめとする偉大なる先人の紡ぐ系譜。また、ハードSFであれば、現実の技術を基にしつつ、そこからわずかに物語的飛躍を加えなければならない。
そんな束縛の強い環境の中にあって、それだからこそ描かれるもの、得られる自由とは。この物語において、ロボットであるケンイチが自我について考えるように、それを生み出した研究者たちも、自我について、自由について考える。この物語をミステリとして捉えたとき、解かれるべき謎とは、人間という存在そのものについての謎。開かれるべき密室とは、この世界そのもの。
少し話は変わって、物語を束縛する要因としてもうひとつ、この現実そのものがあります。作中では、ロボットが実用化されつつある状況の中、ある事件によって、ロボットに対する人々の受容のあり方が大きく揺らぐことに。また、この小説の主人公として、研究者でありながら小説家でもある、著者自身と重なるような人物が設定されています。ここから、物語と現実とを二重写しにしようという意図が見受けられます。描かれる物語は、けっして今ある現実と無関係なものではありえない。そんな物語に、人はどう向き合うか。そして、この世界をどう生きるか。
紡がれる言葉の端々に、瀬名秀明という人の研究への真摯さ、それに相反するような現実世界への苛立ちが現れていて、この人も、森博嗣と同じくらいに純粋なんだなぁという思いを抱きました。
2008年10月06日(月)
「キディ・グレイド」(AT-X)感想
最後にもう一回「おんなのこはエレガントに」がほしかった。
う〜む。今は遠いさくらのさくころ。これと「絶対可憐チルドレン」と「二十面相の娘」をほぼ同時に視聴開始した当時は、どれも素晴らしいスーパー平野綾アワーだと思ったものですが。どうもみんな、だんだん高度が落ちて(あっ)。何にせよ、リュミエール@平野綾さん、当時15歳。つくづく天才少女だと感服しました。ヴァイオラちゃん@徳永愛も別の意味で天才だとは思いますが(はぁい、関係ないですね)。
お話のほうは、よくわからん! ……のひとことで片づけるには惜しい、壮大なSFの匂いも感じはしました。中でもこの作品、アニメとしてはたぶん珍しい試みをしていたりもします。以下、ネタばれ注意……といちおう言っておいて。
その試みというのが、物語中盤で、エクレールとリュミエール、主役ふたりの容貌をした「偽物」が登場し、本人たちは顔を変えて再登場、そしてそのまま物語が進む、というもの。そんなふうにしてくり返し、生き続ける彼女たち。キャラ萌えに対する挑戦かと思うような仕掛けですが、最初から最後まで見れば、これは彼女たちの、あるいは人類そのものの、永遠に輪廻する物語である、とも思えるから、その意味で判らなくはないです。しかし、その叙述トリックのおかげで、キャラの言動とか感情の流れが混乱し、筋を追うのが極めて大変になってしまったのが残念。おかげで、めがねっこみずはっしーはいつのまにか出てこなくなるし! ……失礼、噛みました(どこを?)。
個人的な問題として、あの唇の色が悪いラスボスが見ていてとても腹が立つキャラだったのです。台詞から何から全然エレガントじゃない、これだけ気に障るキャラを造形できるというのもすごいことかもしれません。全宇宙の人類を巻き込んでおいて、最終的にただの私怨で話をまとめてしまうというのは、何か深遠な意図があるのか……とすら思ってしまいました。
2008年10月07日(火)
「快盗天使ツインエンジェル」下(バンダイビジュアルEMOTION)感想
謎のOVA下巻。
上巻を受けての暗い導入から、絵に描いたように鮮やかな復活劇。ツインエンジェルがツインズ……もといふたりで一人である理由。いかにも田村ゆかりらしいまっすぐで悩める少女・水無月遥と、いかにも能登麻美子らしい可憐で乙女な神無月葵。
まったく、こういうお話づくりのツボを外さないのが倉田英之という脚本家。というかまあ、こんな設定で尺がたった二話しかない場合、こういうふうにキャラ先行でプロットを組み立てるしかないような気もしますが。気がするだけなら誰でも出来て、実際にそれをちゃんと見られるものに仕上げるのはやはりプロの仕事。何にせよ楽しませていただきました。つくづく、弱音を吐いてる田村さんの演技は素晴らしい……みたいな。
2008年10月09日(木)
小川一水「時砂の王」(ハヤカワ文庫JA)感想
SFを読もうキャンペーン実施中。タイトルからしてタイムトラベルものですが、章ごとに描かれる時代が変わるカットバック方式。たまたま同時期に読んでいたのが、同様の形式を採用したミステリの古典「歯と爪」だったもので、とても混乱しました。うっかり、こっちにも驚きの叙述トリックがあるのかと錯覚してしまいましたが、実際けっこう衝撃のラストが待ち受けていたりして。
物語の半分を占めるのが、古代日本、いわゆる邪馬台国・卑弥呼の時代(漢字表記は恣意的な中華思想の賜物だと思うので好きじゃないのですが)。女王の前に現れた未来人的存在、メッセンジャー・O。そして異世界人との闘いが始まる。一部の描写がとても気持ち悪いのですが、それも情景が目に浮かぶ重厚な文体の副産物ということでしょうか。読み進めていくと、女王卑弥呼としゃべる杖の女の対決という壮大なテーマが現れます。そしてエピローグは、アルファからオメガへ、AtoZ、輪廻は閉じる。これだけ長尺の物語を、わずか数百ページにまとめているのだから見事。
「紅」(キッズステーション)感想
松尾衡監督作品。約一クール遅れでの視聴というのが曲者で、せっかくの最終話の真九郎くんの大見得で受けてしまったのが残念。あなたとは違うんですとか言ってる場合ではないのですよ。おかげで麻生さんも総理大臣になってしまうわけです。
この作品も「Rozen Maiden Träumend」と同じく、物語前半の日常シーンが鮮烈で、全体のテーマがどうでもよくなってしまった感はあります。必然、五月雨荘を出てからの話は視聴テンションが下がるわけで。
しかし、この物語においては、日常への回帰そのものが語るべきテーマだったのかもしれないとも思います。紫のいた奥ノ院こそが、かつての紫にとっては日常であり、同時に真九郎たち外部の人間からみれば非日常でしかない空間。それに比べれば、五月雨荘という空間は、住人が多少奇矯だったり突然ミュージカルが勃発したりはするけれど、あくまで日常に属する世界。それが輝いて見えるのは当然のこと。五月雨荘に降り注ぐのは文字通り雨であろうと、それはきっと光のシャワー。
あとは、言うまでもなくキャスト陣が素晴らしい。紫ちゃんがここまで魅力的に描かれたのは、八武崎改め悠木碧さんの力によるところが大きいでしょう。そして相方たる真九郎くん@沢城みゆき。通称マイメロの琴ちゃん小暮くんコンビの結束は固い。沢城さんのおとこのこキャラは最強ということで。といいつつ、最近はストライズや「夏目友人帳」のめがねっこキャラも捨てがたいところですが。
2008年10月11日(土)
竹宮ゆゆこ「とらドラ9!」(アスキー・メディアワークス電撃文庫)感想
前巻から二ヶ月で早くも新刊。アニメはまだ観れないので触れません。「とらドラジオ!」だけ聴いてますが、「こじからじお」以上にフリーダムでなんとも。北村くんじゃなくて喜多村さんなあみちゃんだけが楽しみです、とかも言いません。
本編。今さらながらに、超ドレッドノート級ラブコメという形容はダテじゃないと思えます。王道の学園ラブコメが備えるべき約束事・イベントをこなしつつ、なかなか踏み込まれない、主人公たちの現在・過去・未来をえげつなく描いている。
ここ数巻の流れはもはや止めようもなく、みんなの関係性が変わりはじめる。そしてついに「進路」という名の魔物が彼らを襲う。前を見ている者、立ち止まっている者、そして過去にとらわれる者。しかし、この学園という名の匣の中で、彼らに等しく滅びが……もとい転機が与えられる。
そんな輪の中心にいる者として、いつになく高須くんの想いがクローズアップされた今回。大河さんの KAMAKIRI! とかに身もだえしてるシーンは、こっちも帽子の下からともだち見てる気分でしたが(ローカルネタ禁止)。そのあとの、幼時の「病院」の記憶にさいなまれる描写には参ってしまいました。これがたかったんの原風景だったのですね。
人はみな、誰かに頼り、誰かに依存しなければ生きていけないのか。それなら、頼る相手もいない孤独な人間はどうすればいいのか。この物語の開始点は、大河さんと高須くんが、互いに互いを支え合うような形で隣に立ったところ。それが、傷ついた虎と龍が、互いの傷をなめあうようなものだったとしたら。今ふたたび手を取り合ったふたりが、向かう先は。ここからが本当の、とらドラ! のはじまりかもしれません。
「恋姫†無双」(AT-X)感想
ちびキャラの使いどころが最後まで謎でした。
三国志とかまったく興味はなくて、そもそも三国ってどこかすら知らないのですが。愛知・岐阜・三重じゃないですよね(怒られるぞ!)。そんな三国武将が、みんなおんなのこだったら、なんてトンチキな発想をものした時点で、既に勝ち戦が決まったようなもの。そこへもってきて「かしまし」の中西伸彰監督に、雑破業シリーズ構成という布陣、どこまでもベタな話をしてみたり、ふつーにいい話をしてみたり。視聴してる側も、こういう世界観ならではのゆるいテンションで楽しめました。最後の最後で、唯一おんなのこじゃない関智なんかを出してきたりしたのも、すべて計算尽くなのでしょう。
個人的には、諸葛亮の孔明さんが好きでした。あと、あいしゃちゃんならぬアイシアちゃんみたいな娘も(名前を憶えていないらしい)。リボンかと思ったらねこみみだったのには驚きました。
「二十面相の娘」(東海テレビ)感想
ややや。これは意外にも(失礼)、けっこう良い感じ。
舞台は、戦争の記憶がいまだ残る時代の東京。夜な夜な跳梁跋扈する怪人二十面相。許諾を得て名称を使用しているというだけあって、なかなかの乱歩プロパーを随所に感じました。途中、なんか迷走してるというか、デタラメにも程がある話になったりもしましたが、それもケレン味というところでしょうか。あんなマッドサイエンティストは、もはやチミチミ言う社長と同じくらいの希少価値かも知れません。
エピローグは別格として、印象に残ったのは第15話。こういう少女探偵団の活躍をもっと見たかった気がします。トメさん@新井里美が加入したら「少女探偵団」じゃなくて「女探偵団」に改名って、小糸さんその通り……じゃなくて酷いっ。どのキャラも、初登場の印象を覆す活躍をしていくのが面白かったです。しかしトメさんが戦闘メイドさんになるとは、どこの西尾維新かという感じですが。
エピローグでは、高度経済成長の時代に突入し、二十面相の記憶すらも人々の記憶から消え去っていく。それと同じく、チコも二十面相の娘としてだけではなく、自分自身の生き方を見つけていく。もちろん、忘れられない記憶は心に留めながら。過去の妄執にすがってしか生きられなかった者とは違い、その瞳に映るのは新しい時代の幕開け。この作品を支えたのは、なんといってもチコ@平野綾の力強い声。いつもの独特の発声法とは違ってて、ほとんど平野さんだと意識することはなかったのですが、それこそ声優として一段階グレードが上がったという証でしょう。まさに、これからのアニメ界になくてはならない逸材。
2008年10月13日(月)
「狂乱家族日記」(東海テレビ)感想
最後まで狂乱でした。
概して、ライトノベル原作アニメというのは、その第一巻のラストをアニメでもクライマックスに持ってこようとして、その間を引き延ばしたり後の巻からエピソードを採ってきたりと、こねくり回すことが多い気がします。それに対し、この作品は相当圧縮して、ありとあらゆるエピソードを次々消化していったという印象。そのせいでオチがついたのかついてないのかよく判らんことになりましたが、これはこういうものとして理解しておきましょう。凶華さまにそう言われてしまったら絶対なのです。
どんどんエピソードを積み重ねたおかげで、後半は登場人物が大変なことになっていたりもしました。釘宮理恵に後藤邑子に水樹奈々にと、うっかりラスボスに田村ゆかりを期待してしまうほどの狂乱キャスティング。そこへきて最後に唯一おんなのこじゃない関智なんかを出してきたのも、制作側の計算通りということでしょうか(あれ、デジャヴ?)。それにしても、最初はてっきり白石涼子かと思った喜多村英梨さんのオトコノコ役は本作品最大の収穫。もう、えりりんってよんでもいいですか!
「らき☆すた」第1話 つっぱしる女/第2話 努力と結果(AT-X)感想
あー。
今期は何やら、京アニ VS. 山本寛監督 VS. 水島努監督のみつどもえ対決が繰り広げられているようですが、それはそれとして。本作品、DVD2巻まで買って止めてましたが、AT-Xで放映が開始されてしまったので、再視聴というかリベンジ。まあ、最近の世間的情勢を鑑みて……という感じですね。かがみんて(チョココロネどっちから食べる?)、ではありません。いらないパートをカットできるのがセルDVDに対する利点。
ちゅことで一年ぶりの視聴ですが、改めて素晴らしい。どーでもいいことをどーでもいいテンションでどーどーとできる心意気。どーどー巡り? いやいやウロボロス。これは、この道は、天国か地獄への十三階段に続く道のような気がしますが、それでも見つけてしまったのだからしょうがない。こなちゃん@平野綾の「ぐいぐいっとー」だけで三ヶ月は戦えます。これでまだ、「その域に達していない」というのならば、第5話以降はもっとすごいことになるのだろうと、期待しましょう、させてもらいましょう。
2008年10月15日(水)
乾くるみ「カラット探偵事務所の事件簿」1(PHP研究所)感想
実は先月に竹本健治「匣の中の失楽」を再読した後、乾くるみ「匣の中」も続けて再読しようと目論んでいたのです。しかし改編期に突入したこともあり、未読本の冊数が大変なことになってしまってあえなく挫折。しかしこの作者にしては珍しく(失礼)新刊が。これも林真紅郎ならぬ西手新九郎ということでしょうか。
で、本作は懐かしの「林真紅郎と五つの謎」みたいな連作短編……と思いきや。あれよりはるかに乾くるみらしい仕掛けが施されていました。暗号とかパズルとか、そこまでやるかと言いたくなるほど凝った「ミステリでしかありえない謎」。ほとんど伏線皆無で、唐突に現れる意外な結末。否、伏線というならば、この本の著者が乾くるみであるというそのこと自体が既に伏線になっているのかも。タイトルのあの部分にトリックを仕掛けるとか、まったく毎回毎回マニアックなことをしてくれます。
西尾維新「蹴語」SIDE-A(講談社BOXマガジン「パンドラ」Vol.2 SIDE-A)感想
西尾作品でツッコミが不得手な主人公は珍しい。
もうページ数にツッコミを入れるのはあきらめました、相変わらずのこだんしゃぼっくすマガジンですが。いつまでたっても読み終わらないので、例によって先に当該西尾分だけ。
「しゅうがたり」とルビられてますが、なんで「けりがたり」じゃないんだろう。イラストは「仮面のメイドガイ」の赤衣丸歩郎。それなのにメイドさんが出てこないとはこれいかに。……いやぁ、西尾さんのことだからきっとそのうち出てきますよ!(それはそれで嫌だ)
また新たなフィールドに挑戦ということなのか、この主人公の一人称とか、語尾が「だよん」な相模さんとか、ところどころとっても口調がうっとうしいのですが。この感覚はつい先日もどこかで……そう、新房シャフトでときたま(?)感じるうっとうしさに匹敵するかも。うっとうしいと思いつつも追いかけざるを得ない、というのも同じで。ならばそれは、やはり偶然ではない必然だったのだろうということで、「化物語」アニメ化の続報が待たれます。
2008年10月16日(木)
針谷卓史「針谷の短篇集」(講談社BOX)感想
「花散里」の人の講談社BOX第二作。違うな……(字が)間違っているぞ Amazon。「短編集」じゃなくて「短篇集」。楽天ブックスや bk1 は正解です。どう違うのかといわれると……えっと、えっと、いとへんよりたけかんむりのほうがチクッとする感じ?(うまくない!)
今回もトップレベルに後ろ向きな、だらくや青春物語。会話の面白さ、展開の破天荒さは例によって森見登美彦に迫るものがありますが、こちらはさらに救いがたい。とくにラストの話は酷い。萌えキャラっぽかった山下弥生さんが、唐突にありえないことを言い出して絶望した! ここまで酷いキャラクタばかり出てくる小説というのも珍しい。戯言シリーズや化物語シリーズは、あれはあれで酷いというかふざけたキャラばっかりの気もしますが。悪意が無いわけでもない、愛嬌がなくもない。酷いけれども非道いわけではない。むしろ外道いと形容するべきでしょうか(そんな日本語はない)。
2008年10月17日(金)
「ひだまりスケッチx365」(BS-i)感想
通称ひだすけとは呼びません。「襞助」と書くと、ある意味新房シャフトっぽい?
これについては本当にごめんなさいと言うしか。OPからして前期以上にノリが合わない合わない。新房シャフトはたいがい何をやっても許せるのですが、この作品だけはどうもうっとーしさが勝ってしまうのがふしぎふしぎ。や、本当は何故か判ってるんですけど。とても私的かつ勝手な理由。
こういうときに声優話に逃げるのは安直だと思いつつ。ちっちゃいこと声優さんは国の宝だってこれに書いてあるよ!(そんな安直なあんちょこは捨てなさい) すうぃーと智花ちゃん@釘宮理恵の出番がもっとあれば。吉野屋先生@みゆみゆは「乃木坂春香の秘密」へのゲスト出演おつかれさまでした。ラブリーショコラ@斎藤千和がアニメじゃなくて実写だったという衝撃の叙述トリックはさすがこのスタッフという感じでした。
収穫は圧倒的にカオスかつフラクタルな新房演出が炸裂した第12話。次いで、ホッチキスという奇跡の「化物語」つながりが現出した第7話でしょうか。
「とらドラ!」第1話 虎と竜(AT-X)感想
評価: 10点[前回比: -](累計: 10/10 平均 10.0)
はじまりました、とらんくドラゴン。今のとこ今期唯一の原作既読のため、何をやりたいかがある程度予測できるというアドバンテージはありつつ、それを措いても抜群の導入ではないでしょうか。
タイトル通りの Tiger meets dragon. それは、その外見だけで周囲から恐れられる高須竜児と、手乗りタイガーの二つ名を天下にとどろかせる逢坂大河との出逢い。そんな表面的な印象だけではないお互いの内面は、いまだ知るよしもない。でも、いずれ否応なしに向き合うことになる、宿命の竜虎。そのきっかけとなる出来事が、ここに幕を開ける。この第一話の終わりの地点が、放課後の大河告白未遂ではなく、深夜の襲撃事件でもなく、その翌朝に設定されいるのは、そんな「はじまり」を演出させるためでしょう。そして、オープニングと呼応した、無機質な部屋の描写が心に響く。空席の白い椅子は、まだ誰も見たことがないという「何か」がそこに、そんな近くにあるということを予感させます。竜児の部屋では弱い朝の日差しも、大河の部屋では、暖かく彼らを包み込む。
キャラクタというかキャストについても触れておきましょう。逢坂大河@釘宮理恵は、危惧していた別作品を想起させるようなこともなくて、てのりんぐですてきんぐです。この作品は釘宮さんのうるさいうるさいうるさいを楽しむ類のものではないと思うのですが、しかしまあ惚れ惚れする罵倒ですね。あと櫛枝実乃梨(通称みのりん)@堀江由衣は何故か声を聴くだけで笑ってしまうのですが。好きです。ゆりちゃん先生@田中理恵が田村ゆかりじゃなかったのにガッカリなんてしていませんよ。何にせよ、川嶋亜美@喜多村英梨が出てくるまで真価は測れないといったところでしょうか。
2008年10月19日(日)
若木民喜「神のみぞ知るセカイ」2(小学館少年サンデーコミックス)感想
リアルおんなのこ攻略マンガ、第二巻。今回の攻略対象ヒロインはアイドル、そして図書委員という鉄壁の布陣。このふたり、どちらもそれぞれに、現実に生きながら、その中にある「虚構」というものを見据えている。その意味で第一巻とはまたメタの度合いが違うというか、いっそうこの物語がマンガとして描かれる意義深さが増しています。
現役高校生にして人気アイドルとして登場する中川かのん。ちなみに私は、アイドルという職業をとても尊敬してるのですよ。特定の誰かのファンというわけではないのですが。アイドル声優? そんな呼称は知りません。それはそれとして、アイドルとはまさに偶像であり、その全存在を賭けて市井の人々に夢と希望を与えてくれるもの。作中でも触れられているとおり、ヴァーチャルアイドルとか、CGによって、より虚構性の高い夢を見ることが出来るようになった現代でも、その価値はまだ消えていないと思います。言うなれば、三次元のアイドルという存在の盛衰は、小説という娯楽のジャンルと同じようなもの。かつて娯楽として小説が特権的な地位を誇っていた時代がたしかにあったはず。それが映画が誕生し、TV放映によってドラマが生まれ、レコードやCDによって音楽が普及し……と多様化が進んだ現在、表現方法としてはもっともシンプルな小説というジャンルが相対的に地位が下がったように見えても、それはまだまだ大きな可能性を秘めている。それと同じように、現実のアイドルも、ちゃんとこれからも必要とされていくのではないかと思うのです。
良い感じで話がつながったところで本命、口下手な図書委員・汐宮栞。サブタイトルの元ネタが新井素子というあたりが完璧です。もうね、本が好きな人に悪い人はいません! って、読子先生みたいなことは言いませんが、こういう娘はいいこです間違いない。こんな人と休みの日とかいっしょに本屋さんでデートしたい! ただしヴィレッジヴァンガード、みたいな(ヴィレッジヴァンガードは名古屋が世界に誇る文化です)。
口に出しては言えないけれど、他人と話したくないわけではない、という性格がまた良いのです。思ったことをすぐ口に出せる人ってすごいよね、と、これはまあ常々、いい意味でもいくない意味でも思うのですが。こうやって文章なら、あれこれ考えて形にできるけれど、会話ではなかなかそうはいかない。もう栞ちゃんに共感しきり。そうそう、文字が小さいって言うなぁ! ……とか、もちろん口に出しては言いません(誰に?)。
前田登(はりけ〜んず)原作・吉井ダン画「おんたま!」1(ワニブックスGUMコミックス)感想
オビのケンドーコバヤシ推薦文に盛大に噴いたり。はりけ〜んず前田の「萌え」を実践した作品。困ったことにふつー以上に面白い。
やっぱりいろいろと「わかっている」人だけあって、お約束を恥ずかしげもなくどーどーとやれるところが素晴らしい。主人公の苺ちゃんはかわいいですし、はづきちゃんにしか見えないめがねっこ桃花ちゃんといか、同級生の配置も隙がありません。
本筋のほうは、ある日突然、さえない青年にかわいい小学生の妹が! とか、見慣れたシチュエーションをこなしつつ、その実、苺ちゃんが自分の実の両親が別れた理由を追うという、けっこう骨のあるお話。萌えをテーマにすると言うのなら、「らき☆すた」とかに象徴される、ゆるゆるで何も起こらない日常を淡々と描くことも出来たと思いますが、意外にちゃんとストーリィを動かしてて引き込まれます。と同時に、作中そこかしこにアレなネタも散りばめられていたり、漫才を思わせる軽快な会話も楽しかったりで、なんというか隙がないですね! うっかり川口敬一郎監督あたりでアニメ化しそうで怖い。
2008年10月23日(木)
天沢退二郎「光車よ、まわれ!」(ジャイブ ピュアフル文庫)感想
まずタイトルが素晴らしい。「走れメロス」とか「赤ちゃんをさがせ」みたいな、命令形のタイトルは力強いですね。ローリングじゃないですよ!
児童文学の世界では有名な作品、だそうで。一読、それも納得。この年になるまで知らなかったのが惜しい。もし、こどものころに出逢えていたら、それこそ人生を変えるほどの影響を受けたかもしれません。
著者は天沢さんということで「電脳コイル」との関連性は不明ですが、その通称でんすけをも凌駕するほどの圧倒的な世界観。その濃密な空気が、行間から立ち上ってくるように思えるほどです。こどもたちにとって身近な日常から、一歩足を踏み外したそこに、黒々とした深い闇が広がっている。その黒さといったら、やはり「電脳コイル」終盤すら飛び越えて、通称マイメロの第一クールにも匹敵するかも(たとえおかしいぞ!)。
そんな濃厚な文体は、竹本健治の初期作品を思わせます。初出は1973年なので、1977年の「匣の中の失楽」よりも数年前に世に出ていることになりますね。この時代に共通した文体なのかどうかはよく判りません。新井素子だって竹本健治と同じ年にデビューしてるけど、ぜんぜん違いますし。
竹本健治っぽいなと思って読んでいたら、緑衣隊なる「緑衣の牙」を連想させる存在が出てきて驚き。この作品では、緑色が常識的な印象に反して、強烈な脅威として描かれているようです。緑に通じる植物、水でさえも、こどもたちに牙をむく存在として襲いかかる。
ところで緑の服というと、また別の作家の某有名ミステリを思い出すのですが、あれも閉じられた世界の中の、外から見れば歪んだ意志を描いていました。この作品の場合、主人公の小学生たちが異世界に足を踏み入れ、歪んだ世界を垣間見る。でも、さらにその先、実は歪んでいるのは彼岸の世界だけではなく、そんな歪みはこの現実にも存在しているのだ、ということに気づいてしまう。そうやって、結末でまた一段と深い暗闇に主人公たちを、そして読者を落とし入れてしまう、恐るべき物語。あるいは、そんな闇をも照らす「光車」を見つけ出すことこそ、こどもたちに課せられた使命だというのでしょうか。
2008年10月24日(金)
「とらドラ!」第2話 竜児と大河(AT-X)感想
評価: 10点[前回比: -](累計: 20/20 平均 10.0)
OPがぱにぽに言ってるように聞こえます。好きですが。
そんな流れでみのりん@堀江由衣だの木原さん@野中藍だのを聴いていると、どうも妙な笑いがこみ上げてくるのですが。しかしそこは岡田麿里脚本にカサヰケンイチ演出、シャフトと違ってまっすぐストレート(重複表現)。すっかり王道らぶこめい話になっていました。
てのりんぐな大河さんがいちいちかわいいのですが、そのわりに、竜児を見上げている印象がないのですね。どちらかというと見下げている感じ。それはきっと、互いに目線を合わすことが少ないから。逆に北村くんへの告白のシーンでは、見上げる形にならざるを得ない。大河の瞳に映るのは、今はまだ北村くんとみのりんばかり。そんな手乗りタイガーの横に、竜児が並び立つ。ここがスタートライン、早くも原作相当第一巻をクリアして、その先に見える明日はどっちだ。
2008年10月25日(土)
久米田康治「さよなら絶望先生」第15集/OAD「獄・さよなら絶望先生」上(講談社KC)感想
絶望した。こだんしゃのOAD戦略に絶望した! しかしこの流れだと、OADされないマンガのほうが面白いという話になるじゃないですか。「かってに改蔵」は面白かったらしいですよ? と、当時を知らない人から言われる悲哀を君は味わったことがあるか(何の話だ)。
それはともあれOADさよなれ絶望先生。原作も原作で、とある騒動のとばっちりを受けて大変なことになってた頃のお話ですが。「六月の崩袈裟固め」は名作ですね。絶滅危惧種の話も。ホント、通勤列車の中で漫画雑誌読んでる人は最近少なくなりました。みんなケータイばっかいじってからに。たまに iPhone いじってる人を見かけて感激しますが。出版事業の未来を見据えるこだんしゃは、そろそろ Original Manga iPhone でもはじめてみませんか?
で、続けてアニメを観てみると、これまた新房シャフト独特の世界観で違和感が……まったく無いですね! それこそ「南国」の時代から幾星霜、久米田の野郎がついに辿り着いたそこはパラダイスでしょうか。「過度な期待はしないでください」とか言ってたスタッフコメントとは裏腹に、OP/ED の作り込みからしてもはや感動を覚えます。やはり現時点での新房シャフトの最高傑作と言わざるをえません。京おにいちゃんへの対抗意識も隠すことなく、これでアニメ化が夢と消えた某マンガも浮かばれ……ないない。801円でOADは採算が合いません。
2008年秋期新番 Snapshot
未見の「ef-a tale of melodies. 」を除く。今期は同居型・許嫁ラブコメがやたら多い気がしますが。あと水曜深夜の編成をどうにかしてください。
- まかでみ・WAっしょい!★★★
同居型。この宮崎羽衣は新境地かも。実は原作1巻のみ既読というか脱落というか。第1話から長谷川勝己&山本天志のΦなるコンビで、他作品との差別化を図れるかどうか。
- CHAOS;HEAD★★★
コメント無し。
- かんなぎ★★★★
同居型。山本寛監督。OPすごい好きだっ! ダジャレ好きなナギさま@戸松遥が愛おしい。ぽりふぉに以来の戸松さんの魅力を遺憾なく発揮した作品ではないかと。
- あかね色に染まる坂★★★★
同居型&許嫁型。通称かねまる。キャラデザから展開から、あまりにもえろげっぽいですが、そこはそれ元永監督&上江洲誠の通称スクイズコンビだから油断は出来ません。会長の人が好きです。
- ケメコデラックス!★★★★
同居型&許嫁型。さらに釘宮理恵に戸松遥に喜多村英梨と、数値だけみれば今期の最大公倍数的なアニメですが、そこはそれ水島努監督、ただのアニメではありえません。マーベラス!
- とある魔術の禁書目録★★★
同居型かな。第1話の印象がとても良かったです。インデックスちゃんとかきみきみ先生とか、何かこういろいろとズルい気もしつつ。
- 夜桜四重奏★★★
今期の沢城めがねっこアニメはこちら。なんか「セキレイ」っぽいんですけど。
- CLANNAD AFTER STORY★★★★★
もはや盤石。第1話からとてつもなく心地良い日常。これが Key と京アニがついに知り得た明鏡止水の境地でしょうか。めいちゃんとふーちゃんに出番があることを祈って。
- 黒執事★★★★
許嫁型と言い張る。今期の田村ゆかりアニメ。
- とらドラ!★★★★★
同居型ではありません。言うまでもなく今期随一の期待作。
- 鉄のラインバレル★★★
同居型。能登の人に「サイテーです」と言われるアニメ。
2008年10月26日(日)
雑破業「おねがい☆ツインズ」2 二人と一人(メディアワークス電撃文庫)感想
「なにを言ってるんですか! メガネはあらゆるものの魅力を高めるアイテムですよ。よって、メガネが合わない服装なんて存在しません! もし、どうしても合わないようなら、服のほうを変えるべきです!」(四道跨)
その主張には共感しないこともないでもないけれど、晴子ちゃんのために彼を今すぐ病院に。
「おね2」ノベライズ下巻。上巻よりさらに……その雑破業、全力全開。レーベルの限界に挑戦するような「おっとなー」な描写の数々、それを目眩ましとして繰り出される、少女たちの重い過去。強いて言えば、苺さんの出番が前半で終わってしまったのだけが唯一の不満点でしょうか。6ページにもわたる長広舌は聞き惚れましたが。アニメを先に観てて良かった。
まあそれはそれとして、アニメ版と比べても、めがねっこ副会長の話とか、より「肉親と恋人」というテーマを強調していて構成に隙がない。そして終盤は、樺恋と深衣奈の役割が完全に入れ替わる。それでいて辿り着いた光景は変わらことがないというのが、この物語が「おね2」たる所以。過去がどうであろうと、今ここで、いっしょにいられる幸せこそが大事だという、それは力強い肯定。
ありていな言い方をすれば、アニメ版と小説版は、鏡に映したような、ツインズの関係ということでしょうか。ま、それでもまったく同じではない、それが対称性の破れなわけですが、それこそが雑破先生の力ということでひとつ。
2008年10月28日(火)
「円盤皇女ワるきゅーレ 十二月の夜想曲」(チャンネルNECO)感想
夜想曲、変調して永久アリス輪舞曲でした(いや、たしかに最後の時の鍵を使うとこは鍵姫物語っぽかったけれども)。
シリーズ第二期。これでようやく、先行視聴していた第三期・第四期と合わせて、アニメ全話を観ることが叶いました。……しかし、締めがこれというのは、正直どうだったのか。よりによってこんな地味な話を(地味って言うなぁ)。
まあ、やりたいことは判らんでもないのですよ。無印では、ヴァルハラ皇女という身分のわるきゅーのために立ち上がった和人くん。その構図を裏返して、今度はワるきゅーレがノブレスオブリージュを発揮して、和人くんはそれを信じて待つという展開。そのために、和人くんが見た目何にもやってないように見えてしまうのは仕方ないとして(え? 萌えアニメの男主人公はだいたいそうだって? またまたご冗談を)。
それにしても、なまじ他のシリーズを見ているだけに、この作品にあんまりまともな展開は期待してなかったのが哀れ雇用のミスマッチ。コーラスさんみたいな使いづらいキャラをシリアスな話に使うのは反則です。「読者がついてこないよ!」というのは自虐ネタではない……ですよね。
やっぱりこの作品の楽しさはキャラクタにあると思うのですよ。らぶりぃリカちゃんは相変わらずめがねっこ妹の鑑。あとライネさんのUFOとか、ねこみみ侍女部隊とか、しつこいほどお約束を大事にするのも、このシリーズの特長かもしれません。あきドラ! の変身シーンを一話に三回もくり返すあたりは、第三期の真田さん変身シーン三連続の感動を思い出しました。ついでに、何故あきドラがツッコミで合体するのかもようやく判りました。やはり、この後のお話を今一度ちゃんと見返したいところです。
2008年10月29日(水)
三浦しをん「月魚」(角川文庫)感想
若くして古本屋「無窮堂」の当主を務める本田真志喜。その友人で幼なじみの瀬名垣。そのふたりを中心とした、古書の匂い立ち込める物語。
……という紹介が的を射ているのかどうか。三浦しをん、初めて読んでみましたが、まるで教科書に載るような、角川文庫クラシックスのごとき端正な小説。なのに、それを覆う雰囲気が、なかなか独特で形容しがたい。さすが、ヴィレッジヴァンガードで発掘した本だけあります。
そういったもやもやを生み出している一因が、この真志喜ちゃんという主人公が、いったい男性なのか女性なのかはっきりしない描写。でも、最初のほうに地の文に「彼」と書いてあるので、本格ミステリ的には叙述トリックの余地はないのですよね(本格ミステリではないですが)。しかし、そうなると、瀬名垣(こちらはほぼ確実に男性)との関係が、とてもあやしい空気が漂っているのはどういうことなのか。むー、これがいわゆる乙女回路というものなのでしょうか?(とても誤用っぽい)
そんなことを思って読了したのが、全体の2/3を占める中編「水底の魚」(ぜひとも「みずぞこ」じゃなくて「みなそこ」と読みたい)。しかし、その後に控える「水に沈んだ私の村」が、これまた前の話の世界観をひっくり返すような短編。素直に読めば真志喜と瀬名垣の高校時代の話を描いた過去話。でも見方によっては、こちらが作品内の現在時制で、先の「水底の魚」は、ここに出てくる「先生」が書いた小説にすぎないという考え方も出来る。水が光を反射してちらちらと光るように、その姿は一瞬で形を変える。そんなメタフィクショナルな仕掛けも、読み手を不安にさせるものではなく、むしろどちらも許容しうる、観ずにたゆたうような心地よさを生み出す。なんとも不思議な小説でした。
不思議といえば、「月魚」というのも不思議なタイトル。古本の世界なら、むしろ「紙魚」(しみ)のほうがなじみあるでしょうに。まあしかし、ペーパームーンという言葉もあるように、紙と月は文字通り紙一重の存在なのかもしれません(うまいこと言ったようでさっぱり意味不明なのは流してください)。
2008年10月30日(木)
筒井康隆「最後の喫煙者」自選ドタバタ傑作集 1(新潮文庫)感想
ついには停車する前に発車するバスまで現れた。
さらっと書かれたこういう一文が本当にすごい。今日も今日とて筒井康隆礼賛です。本書はサブタイトル通り、そのツツーイのもっともコアな部分であるところの「ドタバタ」を主眼とした短編を新潮文庫所収の短編から厳選したもの。
ドタバタといってもその手法は様々で、たとえば本書には戦国もの(に、いっけん見えるもの)が二編収められていますが、これはどちらも、最初はふつーにはじまっておいて、ある地点で忽然と突飛な一文が現れ、あとはラストまで坂道を転がり落ちていく。かと思えば、冒頭にも引いた「急流」、冒頭の一文とオチが素晴らしい「こぶ天才」、SF短編「平行世界」なんかは、はじめから問答無用でデタラメな世界が提示される。といいつつ、このデタラメはけっして現実から乖離したものではなく、それこそ現実のとなりに位置する世界なのではないかと思わされてしまう。
そんな現実感とドタバタの融合がとくに見事なのが、表題作の「最後の喫煙者」。偽文士日碌によると、このタイトルのおかげで本書が売れてるらしいですが。それは喫煙者に対する風当たりが極限まで強くなった世界。私はもう、喫煙者に対してどうこういう気はあなくなりました。もちろん、雑踏の中とか、ちっちゃいこのいるとこで煙を吐くようなのは問題外として。海野螢さんではないですが、最近の風潮はもはや、少数の嗜好に対する迫害行為とでも言うか……。善意や正義の名の下に行われる運動ほど恐ろしいものはないというのは、こうして何十年も前から筒井さんが主張しているとおり。
そういう意味では、解説でも言われているとおり、どんどん現実が筒井康隆に追いついてきているのかもしれません。絶望した! ツツーイ化するポストモダンに絶望した。うん、「ビアンカ・オーバースタディ」完結の暁には、今度は久米田康治イラストで講談社BOXからなんか出してください。そしてシャフト制作でOADを。
