東浩紀「ゲーム的リアリズムの誕生 - 動物化するポストモダン2」(講談社現代新書)感想
■オタク的文脈を批評化するということ
NHK「ザ・ネットスター」(通称ねとすた)では、柚木涼香に動物化されてたり、野中藍にヒトデをもらってたりする東浩紀ですが、こういうまともな本も書いていたりするわけで。タイトルにもあるように「ゲーム的リアリズム」という概念を導入することで、「ひぐらしのなく頃に」や「AIR」といった作品に、よりメタなレベルでの意味を見いだしていく。「AIR」については、TVアニメ版を最終的には理解できなかったと思っている人間なので、今さらながら、ああそういうことだったのか、とうっかり納得しかけてしまいました。
筆者も認めているとおり、こういう読解をしたからといって、本当に原作者がそういう意図を持って制作したかどうかは判らない。けれど、作品がそこにあれば、作者の意図を超えてまで深読みしようとしてしまうのが読者というもの。それに、作品というのはその時代、文化基盤といった文脈から離れては存在しえないものだとも思っています。まして、いわゆるオタク的な「お約束」を積極的に取り入れた作品群であれば、なにがしかの共通項はそこに見いだせるはず。だからこそ、こういう観点でもって、アニメやゲームやライトノベルといった作品群を捉え直すという試みは意義のあることなのではないかと思います。
■西尾維新批評を心待ちにすること
っていうか実際、この論旨を敷衍して、「きみとぼくが壊した世界」をメタミステリ的にもっときちんと解釈することもできそうです。西尾維新自身が、シリーズ外クロスオーバーを自主規制してるのは、逆に言えばそれだけメタレベルの枠組みに自覚的であるともいえるわけで……。個人的には、西尾維新が好きすぎて冷静に語れない……ということもないではないですが、そろそろ、この界隈を客観的に評価できる人がもっと出てきてほしい気もします。
2008年07月10日 23:13
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