早矢塚かつや「死神ナッツと絶交デイズ」(MF文庫J)感想
「あと、痴情のもつれで後ろから刺されたりとか、最近物騒だから気を付けてね。メールのひたすらの改行には注意だからね」(小石川衣沙)
■裏スクイズ
夜の校舎。誰もいないはずの教室。主人公の少年・小石川幌右(ホローさん)がそこで出逢ったのは、「死神」を自称する少女、ウォルナッツ。「しにがみのバラッド。」や「シゴフミ」に続き、そろそろ死神っ娘ジャンルとでもよぶべきものが形成されつつあるのかもしれません。しかし、読み進めていくと、なんだか予想外の展開。主人公をとりまく男女関係とか、よりあからさまには引用した台詞とか、明らかに「School Days」を意識したと思わせる造り、ただし目指すのは幸せな結末! みたいな。あるいは、死神ナッツの「あっは」という口癖から竹本健治を連想したんですが(するのです)、それからいくと「匣の中の失楽」にも通じるものがあるかも。
■とらねこのなく頃に
どういうことかと申しますと……本作には重要なモチーフとして、ねこが登場します。ということはつまり、SFです。時空転移ものです。主人公たちの間で起こった、ある悲劇的な事件。それを回避するために、彼ら彼女らが奔走する。この過程の描写がなかなかに面白い。そして辿り着いた結末、果たしてこれがハッピーエンドなのかバッドエンドなのかは意見の分かれるところでしょうが(私はどちらかというと後者なのではないかと)。
2008年05月29日 22:44
[本]