なんだか、ずいぶん久しぶりに恩田陸を読んでみたり。この作品は……うーん、あまり説明しないほうがいいかな。まあ、わかりやすくたとえると、「絶対少年」の田菜がAQUAに移植されて、人類補完計画発動みたいな(わかりやすかろう)。
感嘆すべきは、文庫わずか500ページ足らずの小説とはとても思えない、この情報密度の高さ。タイトルになっている月の裏側のように、すぐそばにありながら、誰もが見えていないものを顕然させる圧倒的な筆力。ノスタルジィ作家として定評のある恩田陸ですが、単なる空間にノスタルジィを生み出すのも、同じようなものかもしれません。一説によると、現在・過去・未来を順序立てて認識できる生物は人間だけだという……これもまたSFっぽいですが。少なくとも、ねこは人間とは別のねこ的時空を生きているというのは、SFでは定番だったりしますので。この作品にも当然のように出てきます、ねこ。