待望の新刊。書き下ろしの表題作に加え、とくまでやる……もとい、徳間デュアル文庫で刊行されていた「マリオネット症候群」の再録からなる中篇集。
久々に「マリオネット症候群」を読み返してみて、あぁ、これこれ、このデタラメさこそが乾くるみ本来の作風だよなぁ、と懐かしく思いました。いい意味で。デタラメといってもふざけてるわけではなく、実はきわめて合理的な世界が構築されている。いわばミステリの非ユークリッド幾何学(意味判らん)。「クラリネット症候群」のほうも、よくこんな発想が出てくるものだと、たとえ寡作であってもこれで毎回許せてしまえます。さらっと書いてあるけど、321ページのオチにはやられました。
それにしても、この人の作品は大森望しか解説書く人いないのでしょうか(いや、別に、「塔の断章」みたいな、作者本人のぼやき解説を求めているわけではないのですが)。といいつつ、大森望は数少ない、読んで楽しい解説子ではあります。それこそ本編に負けず劣らず、何が飛び出すか分からない解説。