2008年04月03日(木)

「ARIA The ORIGINATION」(AT-X)感想

総評: 95点(全13話 累計: 125/130 平均 9.6)
評点グラフ - ARIA The ORIGINATION

 その 巡り逢えた奇跡に感謝。

 ARIAワールドも、ついにぐらんど☆ふぃな〜れ(恥ずかしい表記禁止)。どんな作品でも、終わり方がいちばん難しい。終わり方ひとつで、作品の印象、評価がまるで異なってしまうこともしばしば。あるいは、それを恐れて、「終わらない」なんてことをしてみたり……。この作品でも、このまま四期も五期も、灯里ちゃんたちの関係がそのままで、変わらない日常を描いていくこともできたはずですが、それをせずに、ここまで完膚無きまでの見事な終わりを演出してくれたというのは特筆に値すると思います。そして、原作はさておいて、アニメシリーズとしてみたとき、先行する「ARIA The ANIMATION」、「ARIA The NATURAL」と合わせて、ちょうど4クール、一年ものの作品だった場合を考えると、非常に面白いものが見えてきます。
 第一期は、まさに序章。第1話でのアイちゃんとの出逢いから始まり、主に灯里ちゃんの視点で物語が描かれていました。終わり近く、まるで毎回が最終回でもおかしくないと思って観ていたのが懐かしいですが、このときはまだ、三大妖精やAQUAの過去の話に仮託して、灯里ちゃんたちの未来の「成長」が示唆されるにとどまっていました。第13話も、AQUAでの一年の終わりという節目のお話。アイちゃんとの再会を通し、今年を振り返りつつ、来年の自分に「アウグーリ・ボナノ」。一年ものだったら、枠変更とかがあったりする頃合いでしょうか(何それ?)。
 続く第二期は、二クールかけてじっくり描かれた、盤石の中盤。ねこねこの日みたいな、いい意味でどうってことない話があったのも、いかにも長期シリーズっぽい。灯里ちゃんを中心として、藍華ちゃんやアリスちゃん、他のあの人やあの人まで、世界がぐっと広がったシリーズでした。そして、中盤だからこそ、最終回らしい最終回を用意する必要もなく、雪玉ごーろりごろりという画期的な第26話が描かれうることになったのかもしれません。とはいえ、雪が溶ければ春になる(from フルーツバスケット)。訳してハルフィルムメーカー。やがて雪溶けの季節に訪れるであろう、変化の胎動もしっかり忍ばせているエピローグが印象的でした。
 そして、「ARIA The OVA」で未来へと舵をいっぱいに切りつつ、いよいよ「ARIA The ORIGINATION」。怒濤のように変わっていく世界を、それでもARIAらしいやさしさで包みつつ描いてくれたのは、さすがの佐藤順一印。個人的に印象深かったのは、第5話の藍華ちゃんのお話。第二期でも、藍華ちゃんにばっかりこういう辛い役割が回ってくるんだから、でもそれが何より藍華ちゃんなのだから、ただ愛おしいとしか言いようがありません。次いで、予想を遥かに上回る展開となった第9話。このへんは、「バンブーブレード」といっしょにスーパー広橋涼アワーでした。この、おれんじ星はじまって以来もっともプリンセスらしいプリンセスの誕生によって、物語は加速していく。それこそ、アリシアさんのように、訪れる終わりの日に恐れを抱くほどに。とはいえ、最初に述べたとおり、そんな恐れさえ吹き飛ばす、見事な最終回だったと思います。
 自らがプリマとなり、そして誰もいなくなったARIAカンパニーの中に、かつてみんなと過ごした日々を幻視する灯里。でも、その名残を惜しむばかりではなく、もちろん完全に忘れ去ってしまうわけでもなく、それを胸にしまって、外への窓を開くアクア・マリン。差し込む日の光が、いろいろな人との出逢いが、未来へとつながっていく。
 そして待ち受ける、もはや万感のエピローグ。えぇ、いろいろ伏線は張られてましたし、だいたい予想はしてたので、別にショックを受けたりはしてません。素直に祝福を贈りたいと思います。新しいARIAカンパニーも、変わらずAQUAを素敵で満たしてくれることでしょう。

2008年04月03日 22:49