2008年04月03日(木)
「ARIA The ORIGINATION」(AT-X)感想
総評: 95点(全13話 累計: 125/130 平均 9.6)

その 巡り逢えた奇跡に感謝。
ARIAワールドも、ついにぐらんど☆ふぃな〜れ(恥ずかしい表記禁止)。どんな作品でも、終わり方がいちばん難しい。終わり方ひとつで、作品の印象、評価がまるで異なってしまうこともしばしば。あるいは、それを恐れて、「終わらない」なんてことをしてみたり……。この作品でも、このまま四期も五期も、灯里ちゃんたちの関係がそのままで、変わらない日常を描いていくこともできたはずですが、それをせずに、ここまで完膚無きまでの見事な終わりを演出してくれたというのは特筆に値すると思います。そして、原作はさておいて、アニメシリーズとしてみたとき、先行する「ARIA The ANIMATION」、「ARIA The NATURAL」と合わせて、ちょうど4クール、一年ものの作品だった場合を考えると、非常に面白いものが見えてきます。
第一期は、まさに序章。第1話でのアイちゃんとの出逢いから始まり、主に灯里ちゃんの視点で物語が描かれていました。終わり近く、まるで毎回が最終回でもおかしくないと思って観ていたのが懐かしいですが、このときはまだ、三大妖精やAQUAの過去の話に仮託して、灯里ちゃんたちの未来の「成長」が示唆されるにとどまっていました。第13話も、AQUAでの一年の終わりという節目のお話。アイちゃんとの再会を通し、今年を振り返りつつ、来年の自分に「アウグーリ・ボナノ」。一年ものだったら、枠変更とかがあったりする頃合いでしょうか(何それ?)。
続く第二期は、二クールかけてじっくり描かれた、盤石の中盤。ねこねこの日みたいな、いい意味でどうってことない話があったのも、いかにも長期シリーズっぽい。灯里ちゃんを中心として、藍華ちゃんやアリスちゃん、他のあの人やあの人まで、世界がぐっと広がったシリーズでした。そして、中盤だからこそ、最終回らしい最終回を用意する必要もなく、雪玉ごーろりごろりという画期的な第26話が描かれうることになったのかもしれません。とはいえ、雪が溶ければ春になる(from フルーツバスケット)。訳してハルフィルムメーカー。やがて雪溶けの季節に訪れるであろう、変化の胎動もしっかり忍ばせているエピローグが印象的でした。
そして、「ARIA The OVA」で未来へと舵をいっぱいに切りつつ、いよいよ「ARIA The ORIGINATION」。怒濤のように変わっていく世界を、それでもARIAらしいやさしさで包みつつ描いてくれたのは、さすがの佐藤順一印。個人的に印象深かったのは、第5話の藍華ちゃんのお話。第二期でも、藍華ちゃんにばっかりこういう辛い役割が回ってくるんだから、でもそれが何より藍華ちゃんなのだから、ただ愛おしいとしか言いようがありません。次いで、予想を遥かに上回る展開となった第9話。このへんは、「バンブーブレード」といっしょにスーパー広橋涼アワーでした。この、おれんじ星はじまって以来もっともプリンセスらしいプリンセスの誕生によって、物語は加速していく。それこそ、アリシアさんのように、訪れる終わりの日に恐れを抱くほどに。とはいえ、最初に述べたとおり、そんな恐れさえ吹き飛ばす、見事な最終回だったと思います。
自らがプリマとなり、そして誰もいなくなったARIAカンパニーの中に、かつてみんなと過ごした日々を幻視する灯里。でも、その名残を惜しむばかりではなく、もちろん完全に忘れ去ってしまうわけでもなく、それを胸にしまって、外への窓を開くアクア・マリン。差し込む日の光が、いろいろな人との出逢いが、未来へとつながっていく。
そして待ち受ける、もはや万感のエピローグ。えぇ、いろいろ伏線は張られてましたし、だいたい予想はしてたので、別にショックを受けたりはしてません。素直に祝福を贈りたいと思います。新しいARIAカンパニーも、変わらずAQUAを素敵で満たしてくれることでしょう。
2008年04月04日(金)
岡崎武志「女子の古本屋」(筑摩書房)感想
女性が経営する古本屋を著者が訪れ、その店主の古本屋開業までの半生を取材した本。時台屋の四季ちゃんもかくや、という素敵な本屋ばかり。ちなみに表紙右上のお客さんがテイル・メッサーに見えた私です。
この本に出てくる古本屋だけをとっても、その経歴から店のコンセプトまで、実に千差万別。それこそ小説にして読みたいくらい波瀾万丈な人生の果てに、古本屋経営という道を選んだ、それは素敵な奇跡。そんな店にふらりと訪れた客が、世にあふれんばかりの本の中から、店主が選び抜いた本を手に取る。それも、小さな奇跡。そう、この女性店主さんたちは、本という大海の水先案内人なのです(はい恥ずかしい台詞禁止)。紹介されてる店が東京中心なのは残念ですけど、そのうち、ぜひ訪れてみたいところです。
「true tears」(東海テレビ)感想
総評: 75点(全13話 累計: 119/130 平均 9.2)

「CLANNAD」の前に、まずこちらを視聴完了。果たして、だんご大家族VSアブラムシの闘いは、どちらに軍配が上がったのでしょうか。
なんというか……通称スクイズが席巻した2007年を乗り越え、これは新しい形の鬱々アニメだったのかもしれない、とか思います。空を焦がれる少年少女の描き方は、「風人物語」よりも「スカイ・クロラ」(原作)に近い印象。ところどころ出崎演出っぽいと思っていたら、12話の乃絵ちゃんには驚きました(Key違いだけど仕方がない?)。
眞一郎くんの絵本の最終ページが見つからなかったように、ラストがちょっと曖昧で、自分の理解を超えてしまったのが残念。というか、おばさんが気になって集中できなかった私が悪いのです。ともあれ真一郎くんは、これからずっと比呂美ちゃんのそばにいて、めがねっこな彼女の素顔をもっと見れるようになると良いですね。
アニメーション的には、eufoniusのOPは言うに及ばず、富山を借景にした情景描写が素晴らしかったです。舞台探訪はしませんが、富山にもそのうち行きたいところ。
2008年04月05日(土)
「CLANNAD」(CBC/BS-i)感想
総評: 82点(全22話+番外編 累計: 205/230 平均 8.9)

試合はPK戦番外編までもつれ込み、めいちゃんの活躍で大勝利。
これこそ、最終話がものを言う作品(まあ、まだ展開があるらしいですが、そういうの前提で評価はしませんから)。やっぱり最後に番外編をやってくれる作品って好きなんですよ。めいちゃん、ふーちゃん以上の恋のキューピッドでした。田村ゆかり分枯渇に苦しめられた昨期、最後に咲いた小さな善の華。浜辺で「最高ー!」と叫びたい。
けっきょく、草原の少女とロボットは渚ちゃんの劇中劇の象徴であり、それ以上でも以下でもなかったのでしょうか? 変に勘繰って、ハコ的世界を連想してしまったのは良くなかったかもしれません。もちろん key である以上、畢竟どれも locked room なのでしょうけど。そういう深読みをしなければ、きわめて秀逸な学園ゆーとぴあらぶこめでぃ。ふーちゃんはいいこでした。ことみんは素敵な能登の人でした。杏ちゃんにはもっとスポットライトが当たってほしかった。智代さんはもっと早くめがねっこになるべきでした。ゆきねさんは、めいちゃんを妹にする呪文を教えてください。
この手の作品には珍しく、メインキャラどうしの相関がしっかりしてて、やはりシリーズ構成が巧いという印象。演劇部の部室とかで「みんなでわいわいやっている」という雰囲気が好きでした。「なんでやねん」に代表される、京おにいちゃん流マンザイ空間には、ちょっととまどいもありつつ、楽しい時間を過ごさせていただきました。
BS-i、次回は何故か「怪物王女」スペシャル。意外にも違和感ありませんね。その次の新番は観ません。
「俗・さよなら絶望先生」(BS11)感想
総評: 96点(全12+13話 累計: 240/250 平均 9.6)

絶望した! 最終話を4:3で放映するBS11に絶望した! 最初は演出意図かと思ってしまったのは、何のリトマス試験紙ですか。
もはや何をか言わんや。複雑に入り組んだ現代社会を、怒濤に駆け抜けた一迅のノンストップカルトアニメ。久米田の野郎と新房シャフトが奇跡の邂逅を果たした第一期からさらに進化した俗編は、久米田的ネタの面白さと実験映像とが核融合を起こし、未曾有のエネルギーを生み出す。「ARIA」とは対極の、アニメの可能性を追求した作品だったといっていいでしょう。「おかわり」といい、昨期は惑星直列なみに、すたちゃ史上稀にみる当たりクールだったのではないでしょうか。ま、今期は観ませんけど……。
基本的にDVDを買いたいと思わないかぎり96点以上はつけないのですが、そのかわり最近「かってに改蔵」をシンコ書店で買い直してたりします(ポロロッカ現象ではなく、サンデー連載時に全部既読)。絶望した! あの名作が今やシンコ書店でないと買えないこの国の出版事情に絶望した! まあ、サンデー作家いじりが多いから、講談社漫画文庫とかで復刊も難しいのでしょうが。見どころは赤松健大先生とのバトルだけではないのですよ。それにしても、けっきょく今期も赤松健大先生がエンドカードに登場しなかったのは残念。やはりラスボスとして第三期のお楽しみということでしょうか(第三期前提で話すな!)。「かってに改蔵」も、OVAでもいいからアニメ化してください新房監督。あ、そうか、OVAをつけて復刊するという手があるか……。
2008年04月06日(日)
小箱とたん「スケッチブック」5(マッグガーデンBLADEコミックス)感想
アニメ化されてもゆるゆるっとマイペース、変わらない原作版スケッチブックの世界がそこにありました。もはやデフォルトで時を超越しているお話。122ページの葉月さんのネタが象徴的ですが、ギャグ密度の違い以前に、このへんがアニメ版との明確な差異かもしれません。おそらくハルフィルムメーカーだから「ARIA」ちっくに作られたわけで、もし京都アニメーションとかシャフトとかでアニメ化されていたら、また違ったスケッチブックになっていただろうなと思います(どれがいいとかいう話ではなく)。
まあまあそれはそれとして、今回の表紙は栗ちゃん先輩(と佐々木先輩)なのですよ。なんか最近、栗ちゃん先輩が好きで好きで。や、別に田村ゆかり声を当てて読んでるというわけではないですよ。そこまで混濁はしてません。マンガから先に入ったものは基本的に、もともと自分の中でイメージしてた声を尊重するのです。といいつつ、ミケさんだけは金田朋子声で読むと、ねこねこ話の面白さが3倍増なのですが。
2008年04月11日(金)
竹宮ゆゆこ「とらドラ5!」(メディアワークス電撃文庫)感想
評価: 9点[前回比: -1](累計: 49/50 平均 9.8)
最新第7巻も買いましたけど、「スカイ・クロラ」シリーズ同様、毎月一冊ずつ読むことにしてるので。これもアニメ化までには追いつくでしょう。
今回はまったく個人的な好みで、わずかに評価を下げました。や、別に、ゆりちゃん先生30歳独身がフィーチャーされすぎだとかいう問題ではなく。大河さんの悪罵シーンが少なめで物足りないとかいうわけでもなく。目に見えない悪意というのがいちばん厄介だよね、というお話。まあ、シリーズ構成的なことを考えたら、こういう話をどこかでやっておかなければならないとは思うのですけどね。とか、なんだかんだ言いつつ、やっぱりラストシーンはしんみり。手乗りタイガーに涙のティアラは似合わない。
で、アニメ化の話。自分のスタンスとしては例によって、原作通りに絶望も希望もせず、アニメはアニメで楽しませてくれたらいいという感じです。ま、心構えを決めるのはスタッフとキャストが発表されてからですね。ごく稀に、アニメ化なんて知らない何も見てない聞いてない状態になる可能性もなきにしもあらずですが、そこはそれ……。
2008年04月12日(土)
「GUNSLINGER GIRL -IL TEATRINO-」(中京テレビ)感想
総評: 73点(全13話 累計: 107/130 平均 8.2)

クラエスちゃんがめがねっこのままで安心しました。
いるてあも視聴完了。やはり、第一期と平行して観たのはもったいなかったかなと思います。スタッフが違う以上、見せ方も見せたいものも違う。それは当然なのですが、なかなか頭が切り替えられず、最初のほうは戸惑ってしまいました。第一期に比べて「おっとな〜」な描写が多くて受け入れがたかったというのも、個人的な事情としてありますけど。
それはさておいて、特筆すべきはOP。曲は昨期の中でもとりわけ好きでした。映像のほうも、最初から正式版を出してくれれば、この作品がどういう筋立てなのか理解できたかもしれません。ここで明らかに対比されている、ピノッキオとトリエラ。その一騎打ちのシーンに向かって、物語が収斂していく……という縦軸がもっと早く見えていたら、回想シーンの額縁うざいーとか余計なこと考えずに観られたのに。
OP曲の通りに、たった一つの想いを貫くピノッキオと、社会福祉公社の少女たち。その目線の先にある大人たちに対して、さしのべる手。届きそうで届かぬ想い。最後にピノッキオは人間になれたそうですが、では公社の少女たちはどうだったのか。パスタの国の王女さまは人間になれたのか。最終話でヘンリエッタちゃんが前線に立たなかったように、まだ世界は終わりを迎えていない。大きな円環のなかにある世界の、ひとつのエピソードを描いただけ、という印象も受けるシリーズでした。それは、完膚無き終わりを迎えてしまった第一期への、原作者なりのささやかな反抗だったのかもしれません。
古野まほろ「探偵小説のためのエチュード『水剋火』」(講談社ノベルス)感想
「ぞなもしに染めてと君がゆうたけん、七月一日は、あかねのぞなぞなバースデー」(北野夕子)
「冷房ないのにソラシド沙汰や。これはキーが違うイメイジで理解せえよ」(陰陽師)
西尾維新以来のメフィスト賞最大の収穫、古野まほろここにあり。はふぅ、もはやなにもかも素晴らしい。あからさまに天帝シリーズと同一時空平面上の世界っぽいですが、あれよりはずいぶんライトでノベルな雰囲気。それだけにうっとうしい文体もよりいっそう輪郭を濃くして、それに酔いしれるだけで、事件も謎もどうでもいいくらい素晴らしい。それなのに相変わらず読者への挑戦状まで入れてガチガチの物理トリック叙述トリック、パノラマ奇譚百花繚乱狼藉三昧でもう参りました。
ということで、早く新房×シャフトあたりでアニメ化して、まっほまほにしてくださいぞな。
2008年04月14日(月)
恩田陸「月の裏側」(幻冬舎文庫)感想
なんだか、ずいぶん久しぶりに恩田陸を読んでみたり。この作品は……うーん、あまり説明しないほうがいいかな。まあ、わかりやすくたとえると、「絶対少年」の田菜がAQUAに移植されて、人類補完計画発動みたいな(わかりやすかろう)。
感嘆すべきは、文庫わずか500ページ足らずの小説とはとても思えない、この情報密度の高さ。タイトルになっている月の裏側のように、すぐそばにありながら、誰もが見えていないものを顕然させる圧倒的な筆力。ノスタルジィ作家として定評のある恩田陸ですが、単なる空間にノスタルジィを生み出すのも、同じようなものかもしれません。一説によると、現在・過去・未来を順序立てて認識できる生物は人間だけだという……これもまたSFっぽいですが。少なくとも、ねこは人間とは別のねこ的時空を生きているというのは、SFでは定番だったりしますので。この作品にも当然のように出てきます、ねこ。
2008年04月17日(木)
「みなみけ〜おかわり〜」(AT-X)感想
総評: 94点(全13話 累計: 125/130 平均 9.6)

料理に始まり料理に終わったアニメ版みなみけ。料理の基本はさしすせそ。三人の姉妹がすべてな世界。そんなキミが好きだぁ!
まさか、無印の評価(93点)をも上回ってしまうとは……。食わず嫌いせず、おかわりしてみるもんですね。みなみけ三姉妹を中心に回る世界の基本構造はそのままに、さらに角速度をいや増し、あらぬ方向へときりもみ運動をはじめてしまった「みなみけ〜おかわり〜」。フユキくんなんてちゃーみんぐなキャラを触媒にして何をする気かと思ったら、ホントにラストは鬱展開になるとは。恐るべし、やっぱり 黒い アスリード。略してクロゥ・リード。タイトルからして前シリーズと比較されることを宿命づけられてしまった作品、いろいろ言う人はいるみたいですが、私は好きです。
今期のMVPはカナちゃん。井上麻里奈さんの演技がもはや神がかっているのですが、シリーズ構成的にも彼女が真の主役であったことは明らかでしょう。彼女がいなければ話がはじまらない、彼女がいると話にならない、愛すべき姉妹のまんなかっこ。そして、そんなカナちゃんの良き遊び相手である内田ちゃんとマコちゃんも引き続きらぶりーきゅ〜と。今年の目標・内田ちゃんをれっつ! おひめさまだっこ。「桃華月憚」のほうのマコちゃんといい、この方面の喜多村英梨さんは最強ですね。今度から喜多村さまとよばせていただきます。
最終話のオチはこれ以外考えられないというか、むしろもう一つの南家のほうだったという勘違いネタかと思ったのですが。第12話の教室でのチアキさまとトウマくんとフユキくんの会話がその伏線だとばかり……。トウマの実の三兄弟が全然出てこなかったのは、なんか別の事情があったのでしょうか。
それはともかく、これでふつーに続きができそうな終わり方になったので、またそのうちお逢いできる日を楽しみにしています。こんどはシャフトVS京アニかなぁ。
2008年04月20日(日)
「ハヤテのごとく!」(BSジャパン/ぎふチャン)感想
総評: 87点(全52話 累計: 466/520 平均 9.0)

まさにはやてのように駆け抜けた、じゅ〜じつの4クールでした。
まあ、見事にこども向けアニメを偽装してあれやこれやをやらかしてくれました。ナベシンが演出ローテーションに入った後半は、さらに作風の幅が拡がりました。きっといい意味で。そのせいか、シリーズ構成的には、アニメとして軸がぶれている気がしなくもなくもなくないですが、そこはそれ、試行錯誤に切磋琢磨の賜物というか。OP前の若本ナレーションが示すとおり、宇宙規模のスケールをもつ作品世界の懐の広さを表すものだと思っておきましょう。
個人的好みで言えば、執事バトルはともかく、明るくきゅーとな学園らぶ? こめでぃなノリが楽しかったです。とりたてて、ひなちゃんらぶとか、西沢さんや瀬川ちゃんが好きだとかは言いませんが……(言うてる言うてる)。とりあえず、関西弁キャラの持続的地位向上に尽力する、さく姉さん@植田佳奈さんに最優秀助演女優賞を差し上げます。主演女優賞は伊澄さん@みゆみゆで(って、なんでやねん)。
次の川口敬一郎劇場は「絶対可憐チルドレン」ですが……実は既にAT-Xで第1話を視聴済。そろそろ、パロディやアレなネタやおんなのこの寝顔に頼らない川口監督を見てみたいと思っていたのに、なんだかそのまんまでした。平野綾さんが素敵なのと、次代を担うチルドレン絶対正義という世界観に共鳴したので、しばらく継続予定。
西尾維新「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」(講談社文庫)感想
「……初歩的な質問でなんだけど、ウインドウズとマックって、結局何が違うんだ?」
この、本当に初歩的な質問に、玖渚は少しの間、考えて、「使う人が違うんだよ」と、実に的確な答えを返してくれた。
第23回メフィスト賞受賞作にして西尾維新デビュー作、戯言シリーズのここがゼロ地点。ようやく文庫化スタートです。
西尾維新の森博嗣作品との出逢いじゃありませんが(「Φは壊れたね」文庫解説参照)、私自身も、この作品のノベルス版を、いつ、どのような状況で、どこの本屋さんで買ったのかということを、今でも完璧に憶えています。あのとき出逢っていなければ、誇張でなく人生が変わっていたであろう、あの2002年初頭、京都市左京区。おそらく日本中で、同時多発的にそのような状況が起こっていたことでしょうが……。そして、この文庫化で、また多くの西尾維新の良き読者が生まれるであろうことを、願ってやみません。
そんな本作、久しぶりにきちんと読み返してみての感傷というか雑感というか、いってしまえば戯言。あぁ、今とは比べものにならないくらいまともだなぁ、ちゃんとミステリしてるなぁ、という印象(おいおい)。ちゃんと比較したわけじゃありませんが、どうもノベルス初版からほとんど手を加えていない模様。実は密かに「ツンデレ」という単語あたりオプションで追加してるんじゃないかと思ったのですが。それでも、本編開始3ページでメイドさん(しかも三つ子)が出てきたり、そこここにアレなネタを仕込んでいたりするあたり、やはり西尾維新。いや、別にそんなとこで評価してるわけじゃなくて……。
この巻はシリーズ屈指といっていいほどキャラの平均年齢が高いので、必然的に玖渚友に萌えることになるのですが、それもシリーズ通してみれば、文字通り必然というか。この玖渚友と、語り部である「いーちゃん」の立ち位置。青色サヴァンと、天才を「遠い存在」と表現する戯言遣い。その位置関係が、どう移り変わっていくかが、今後のシリーズの見どころの一つであるのです。
そして、もう一つ忘れてはいけない、もとい忘れられないのが「人類最強」哀川さん。ネタばれですが(だからいまさら)、このラスト10ページは、何度読んでも喜んでしまいます。ラストで世界が崩壊するミステリは数あれど、っていうかそういうの大好きですけど、この作品はいわば、ラストで世界がはじまる物語。夢も希望も、赤く塗りつぶす、本作唯一無二のスーパーヒーロー。
それにしても惜しむらくは、せっかくの竹さんの流麗イラストとデザインにモアレが発生していること。X文庫以外にライトノベルレーベルをもたない講談社文庫、この方面の知見が不足していたのでしょうか。西尾維新文庫と銘打つなら、そこも完璧を期してほしかった。青色サヴァンの髪質とまでは言わずとも、もうすこし良い紙質を希望なのです。
とはいえ、この文庫で嬉しいこともあって、それは解説が存在しないこと。物語本編に対する蹂躙とも思える無粋な解説は戯言シリーズには必要ないと判断されたのなら素晴らしいことです。私としては、本編と書き下ろしアトガキと描き下ろしカバーさえあれば、あとは何もいりません。続編も二ヶ月ごとに刊行ということで、楽しみにしてます。ってか、「ザレゴトディクショナル」は文庫化されんのでしょうか……。
2008年04月22日(火)
乾くるみ「クラリネット症候群」(徳間文庫)感想
待望の新刊。書き下ろしの表題作に加え、とくまでやる……もとい、徳間デュアル文庫で刊行されていた「マリオネット症候群」の再録からなる中篇集。
久々に「マリオネット症候群」を読み返してみて、あぁ、これこれ、このデタラメさこそが乾くるみ本来の作風だよなぁ、と懐かしく思いました。いい意味で。デタラメといってもふざけてるわけではなく、実はきわめて合理的な世界が構築されている。いわばミステリの非ユークリッド幾何学(意味判らん)。「クラリネット症候群」のほうも、よくこんな発想が出てくるものだと、たとえ寡作であってもこれで毎回許せてしまえます。さらっと書いてあるけど、321ページのオチにはやられました。
それにしても、この人の作品は大森望しか解説書く人いないのでしょうか(いや、別に、「塔の断章」みたいな、作者本人のぼやき解説を求めているわけではないのですが)。といいつつ、大森望は数少ない、読んで楽しい解説子ではあります。それこそ本編に負けず劣らず、何が飛び出すか分からない解説。
2008年04月28日(月)
米澤穂信「犬はどこだ」(創元推理文庫)感想
<白袴>どこかに隠し文字でもあるのかな? Ctrl-A、っと
<GEN>それはMac使いの私への挑戦状ですか?
私立探偵です。はあどぼいるどです。女子高生は出てきません(あ、でも正確に言えば……まあいいや)。
隙のない面白さ。もう仔細に感想を書くのが野暮だとも思うのですが、ひとつだけ……。章ごとに立ち替わり語られる一人称。別々の事件だと思われていたものが、やがて一本の線に合流する。こういうのは、小説を書くなら一度はやってみたい手法のひとつだと思うのです、個人的には。性別トリックあたりと並んで魅力的な題材。しかも、その二本のラインがなかなか合流しない。いったい、どんな叙述トリックを仕掛けてくるのか……。というもどかしさと期待を抱きつつ、目の当たりにする結末。もう、お見事というしかありません。
それにしても。こういう、喫茶店のウエイトレスをやってる気の強い妹が出てくると、またしても我孫子武丸を思い出してしまう自分。なんか呪われてるのでしょうか。てれりこてれりこ。
2008年04月29日(火)
「桃華月憚」(BS朝日)感想
総評: 80点(全26話・逆順視聴 累計: 230/260 平均 8.8)

予定通り、ほぼ二クール遅れで、ようやく最後……もとい最初まで追うことができました。初見では、何がわからんのかすらわからなかった第1話ですが、こうして再び相まみえた今、ちゃんとわかるように……いや、解らんところは判らんということがちゃんとわかるようになりました。
こういう作品に、ふつーに放送しろとかいうクレームは無意味なのでしょうきっと。作品のテーマ的に、永久の昔から絡み合う因縁とか、そんな世界観を反映してみたいなことを言い訳にして、わざわざわかりにくい作りにする語義上正しく確信犯。観ようとする人だけが観ればいいという究極の割り切り。べっ、別に観たくなければ観なくていいんだからねっ。
もちろん、だからといって単に逆に放映してるだけじゃなくて、それなりにいろいろ計算されていたのではないかと。くり返しネタをミスディレクションにしてたり、時系列上の「次の話」にも、放映上の「次の話」にもつながるアイテムをちりばめてたり。まあ、基本的にテキトーに観てる私としては、めんどくさいことこの上ない作品でしたが。
畢竟、山本麻里安脚本のはっちゃけぶりが印象的だったのと、マコちゃん@喜多村英梨かわいいですね! というのに尽きるでしょう。まあ、ヤミ帽コンビとはそのうち、ポルフィくんの長い旅の途中にでも逢うこともあるでしょう(あるか)。
