「実はですね。……わたし、ブラウザが使えるんです」(千反田える)
高校の文化祭のために制作されるも、「解決編」に辿り着くことなく中断されてしまったミステリー映画。その事件の「探偵役」を依頼されることになった主人公たち古典部の活躍を描く、シリーズ第二作。第一作「氷菓」のときも思いましたが、妙に谷川流っぽい(というか涼宮ハルヒシリーズっぽい)印象を受ける文体です。といいつつ後半、えるさんが変な方向にはっちゃけ出すと、俄然面白くなって、そのへんは気にならなくなりました。同時に、京アニによる映像化の芽をつぶしてしまった感もなくはないですが。
それはともかく、谷川流との明確な相違点は、こちらはあくまでとことん本格ミステリだということ。「インシテミル」同様に、ひねくれてはいるけど、屈折してはいないというか。自主制作映画について古典部員たちが批評するシーンでも描かれているとおり、ミステリにおける謎は演出次第でいくらでもすごく見せることができる。それを真っ正面から描くよりも、こうやって劇中劇の形にするのは、醒めたやり方のように見えて、本当に本格ミステリに愛情を持っている自信がないとできないことのような気もします。
ところで、あとがきを読むまで「探偵映画」との類似には気づきませんでしたが、言われてみるとたしかに。見せ方ひとつで、ここまで違うものなのだなぁと感心しました。ちなみに、我孫子武丸では人形シリーズが好きです(えぇい、何も言うな)。