白でも黒でもいい、風景は一色になるべきではないだろうか。人間の世界には色が多すぎる。
カバーデザインが洋書っぽい。伊坂幸太郎の本は文庫で買うことにしてるので、新刊チェックの時点で楽しみだったのですが、平積みだと見逃しそうでした(秀逸なデザインだとは思いますけど)。
この人も作家として軸がぶれなくて、いつもながらの文体と語彙の精度に唸らされます。連作短編の狂言回しは、仕事をするときに晴天を見たことがないというジンクスを持つ死神(の、ようなもの)。そんな設定にもかかわらず、陰鬱さのほとんど感じられない世界。「あいにくの雨で」と比べたら、同じ雨模様でも大違いです(そんなもんと比べるな)。
死にまつわる話なのに、やってることはむしろ日常の謎派に近い感じ。昔の人は言いました、木を隠すなら森の中。死神を隠すなら新藤千尋の死神隠し(なんか西尾維新の小説タイトルっぽいなぁ)。ちょっとした描写が干渉しあい、水たまりに立てられた波紋のように美しい姿を現す。最終話、ラストシーンがとりわけ印象的でした。