2007年12月04日(火)

森博嗣「少し変わった子あります」(文藝春秋)感想

森博嗣_少し変わった子あります

 「子」っていうから12歳未満だと思ったのに(ここにも少し変わった人あります)。

 なんて、かたなし君はほっといて。これは予想を裏切られました、いい意味で。相変わらず透き通った世界。たとえるなら、眼鏡の度が合わなくなって、新しく度の強い眼鏡に掛け替えたときの、「世界はこんなにも綺麗だったのか!」という新鮮な驚きというか。そもそも「視力が良い/悪い」という言い方からして、物事を一方的な善悪二元論で判じようとする、いかに硬直した思考かという……(長くなるので割愛)。
 それはそれとして、この作品。毎回違った場所で、違った女性と、ただ一緒に食事をするだけという、不思議な店。デビュー当時から登場人物が食事をしないことで有名な森博嗣作品で、こういうテーマが描かれること自体にまず驚きました。いわゆる都市伝説に近いような話。それにしては、もはや意図的と思わざるを得ないくらい、この手のネタにありがちな「怖さ」が希薄なまま物語は進む。そして最終話、仕掛けが読めたと思ったら、またつじつまの合わない描写が出てきてプチ混乱(たぶん、「また少し変わった子あります」のオチが伏線になってる気がしますが)。徹底してアンチにこだわる森博嗣らしいとも言えます。そもそも、文春ノベルスなんてレーベルは存在しないのに、あえて新書判を出すところからして……。それを買う自分も自分です。べっ、別に、西島大介の表紙がかわいかったからってわけじゃないんですからねっ。

2007年12月04日 22:10 [] [森博嗣]