2007年11月08日(木)

西澤保彦「パズラー 謎と論理のエンタテインメント」(集英社文庫)感想

西澤保彦_パズラー

 めがねっこいいんちょだと思ったのにっ。

 未読文庫がたまってしまったので、今月は西澤保彦強化月間。まずはオーソドックスそうな短編集から。
 直球のタイトルが示すとおり、きわめて洗練されたロジカルな作品群。「贋作『退職刑事』」とか、元ネタを知らないせいか、もう一ひねりあるのかと思ってしまったりもしましたが。だって、新聞の端が何度もめくられた後があるとか、それっぽい記述があったので……。
 それにしてもこの作家は毎度ながら、人間の心というものがもつ、あまり見たくない一面を浮かび上がらせるのが抜群に巧い。このあたりはまさに小説の独擅場といったところかと思います。映像化されると見るに堪えないものも、この文章力があればこそ魅力となりうる。「絶望した!」と声高に叫ぶことなく、世の中に絶望している人々のそれは哀歌。

2007年11月08日 22:22 []