2007年11月22日(木)

乾くるみ「リピート」(文春文庫)感想

乾くるみ_リピート

 たしかに驚きました。大森望の解説に。まさか「School Days」に言及されるとは……。

 実はというか何というか、この作家大好きなのですよね。驚くぞ驚くぞと言われて読んで、ホントに驚ける数少ない作家。ま、「Jの神話」や「匣の中」の、あまりにもわけのわからない真相に比べたら、これでもまだまだという感じなのですが。むしろ、最初からちゃんと伏線を張りつつ、先が気になる展開で引っ張るあたり、なんか真っ当な小説になってると変なところで驚き。オビや裏表紙で、「イニシエーション・ラブ」が何度も引き合いに出されてるあたり、世間的にはあの作品の評価が高いのでしょうか。実は「タロウ・シリーズ」第2弾なのだということを、オビで隠そうとする涙ぐましい営業努力。
 で。読んでる途中で思いついたこと、ほとんど解説に書かれてしまったので、どうしようかと思ってるのですが……。うちのようなスタンスの感想サイトで、小説の感想が公式解説とかぶることがあろうとは。そりゃまあ、西澤保彦や「ひぐらしのなく頃に」を引き合いに出すくらいは想定してましたが。
 本格ミステリに超常現象を大胆に取り入れたという点では、西澤保彦と乾くるみにはたしかに近いところがある。でも、その目指すところが決定的に違う。端的には、世界に支配される人間を描こうとしているのが西澤保彦だとすれば、人を支配するセカイそのものを描こうとしているのが乾くるみだと言えるように思います。その違いを世代的なものというには、両者の年齢が近すぎるのが気になるところ。それとも、メフィスト賞以前/以後で微妙ながら決定的な差異があるのか、あるいは文系/理系の差に還元されるのか。このあたり、面白そうなので、しばらく検討課題にしたいです。そのためにも判断材料を是非っ。そろそろ新作を期待してます。

2007年11月22日 22:58 []