2007年11月01日(木)
「スケッチブック〜full color's〜」Page.05 ねこねこの日(AT-X)感想
評価: 10点[前回比: ±0](累計: 48/50 平均 9.6)
金田朋子迫真のねこ演技に全米が泣いた。
傑作。今回は今まででいちばん原作の雰囲気に近づいた感じですね(それが良い悪いというレベルの話ではなく)。web拍手で質問もいただきましたが、原作の面白さというのは、4コマならではのギャグのキレにあると思うのです。そこに関しては、ほぼ涼風コンビに集約されて、かなり比重が小さくなってる感のあるフルカラーズ。その分、連続的な時間を描くことで得られる世界観の広がりは圧倒的ですが。ただし今回は、非4コマ短編集の「スケッチブック出張版」を基にしてるからか、その差異はあまり目立ちません。ちなみに、この巻、ねこ比率がとくに高くてオススメ。クマさんは原作でもあんな感じです。
ねこメインの話ということで、ねこ世界には立ち入るまいとする空。まあ、ずんたかぽこてんと入っていくと、たまに恐ろしいことになったりしますから。ねこが人語を解する物語というと、最近では真島悦也「コイネコ」、古くは、ちばあきおの「ふしぎトーボくん」あたりを思い出したりするのですが、どれもけっこう切ない話ですからね。それは近くて遠い、人間世界の向こう側。せいぜい、昨今巷を賑わす賞味期限切れの何かをあげて、さざ波を立てるくらいにしといたほうが無難です。初音島名物の手から和菓子は大丈夫かなぁ。
「みなみけ」第2話 おかしな学校(AT-X)感想
評価: 10点[前回比: ±0](累計: 20/20 平均 10.0)
テレ東系でアニメ化されると起こるおかしなことを400字以内で述べよ。
まあまあそれはそれとして、実に素晴らしい。プロットだけ見ればほとんど原作通りで、絶望した! 原作通りに絶望した! となっても不思議じゃないのに、ここまで面白いのは驚異的。私のマンガの読み方的に、こういうテンポの取り方は想定していなかったのですよ。原作を、うまく頭の中で展開できていなかったのかも。そんなことを気づかせてくれただけでも、満点を続ける価値はあると言えましょう。
それにしてもマコちゃんかわいいなぁ。声変わり前だというのも想像していなかった点。こういうキャラで森永理科さんなんて反則ですよ。愛すべきバカ野郎。ホントのじぶんにキャラチェンジする今後の展開が楽しみです。チアキさま(姫)も相変わらず絶好調で、つられてハルカ姉さまの魅力も徐々に見えてきた感じ。もうホント、清く正しく美しいとしか言いようのない世界。一昔前なら、こういう健全な作品は夕方6時台にやってたんでしょうけどねぇ。
2007年11月03日(土)
「こどものじかん」第3話 すくすくそだて(BIGLOBEストリーム)感想
評価: 10点[前回比: +1](累計: 29/30 平均 9.7)
小鹿書店、全国チェーン展開希望。
あぁ、もう心臓止まりそう。これを見てもまだ心が動かない人は伊勢湾に沈。くろちゃんなら「三重」という字面からでも九重りんちゃんを連想しそうです。
和菓子の製造日はごまかせても、体の成長は隠しきれない。サブタイトルとは裏腹に、まだ育ちたくないと願うみみちゃん。それは、こどもでいたいというよりはむしろ、まわりとの異化を恐れる情動。どこの世界でも、マイノリティは迫害されるものですからね。他人と違うことを恐れないように見える、りんちゃんくろちゃんとは対照的に描かれています。といいつつ、このふたりについても、「それはそれで問題が……」という、今後の展開を示唆する留保が入っているわけですが。
原作を参照するというのは反則ぎみなのですが、時間軸上、青木先生がりんちゃんに相談するのが、三人のオカイモノの後にずらされているのがポイント。大人の思惑をよそに、こどもたちだけでなんとかするというのが強調されています。そこで描かれているのは、大人の無力感ではなく、むしろ、こどもへの憧憬に近いもの。だからこそ、青木先生の「大人がしっかりしないと」という決意につながる。なんか、アニメ版「こどものおもちゃ」が最終的に示した課題に、大人の視点から応えようとしているふうにも見えます。重いテーマを扱いつつ、あくまでまっすぐゴーと前向きなのが好印象。
ところで、前向きといえば、妙なポジティブさをかもし出している宝院先生がだんだん好きになってきました。この人の存在だけでも、この作品が単なる○○○○アニメでないことはたしかでしょう(雑音が多いな……)。
saxyun「空想科学X」Lesson1(電撃コミックスEX)感想
科学の力は偉大だ。
めがねっこ助手のコトちゃんと、とくに天才でもなければクイズも出さないハカセが、複雑に入り組んだ現代社会に科学という名の鋭いメスを入れたり入れなかったりする4コマ作品。というのはおいといてー、とにかくコトちゃんが素晴らしくかわいい。ツッコミメガネッコ最高(ツッコミメガネッコではない)。めがねっこの力があれば、地球温暖化も地上デジタルもDVDで湯気スッキリも怖くない。ものをちっちゃくするのは科学のもたらした大いなる恩恵だけれど、眼鏡をコンタクトレンズにするという禁は犯さないところに、人間の尊厳を見ました。各話の手描きアイコンやタイトルもゆるくて素敵。細かいところまで満足のいく作品です。
2007年11月04日(日)
西尾維新「刀語」 第十一話 毒刀・鍍 (講談社BOX)感想
評価: 10点[前回比: +1](累計: 102/110 平均 9.3)
長い間ご愛顧いただきました「まにわに」も、残念ながら本巻をもって終了となってしまいました。
ついにここまで来ました。もはや、完全に剣術ものをやる気ないだろうとツッコミを入れたくなってきた頃合いですが、こんな大仕掛けを隠していたとは。藤崎竜「封神演義」にも匹敵する歴史嘘語り。途中は「とってもラッキーマン」になるかと危惧しましたが。壮大といえば壮大、あんまりといえばあんまりなオチですが……。しかし、良き西尾維新の読者たるには、やはりここは「この刀語がこういう話になるであろうことを、私はあらかじめ予測していました」と言うべきでしょうか。そう思うと、戯言シリーズにおける木賀峰約は、四季崎記紀の最後の末裔だったのかもしれませんね(名前の響きも似てるし)。って、それはそれで、なんともしょぼい……。
そんなこんなで、とがめさん派も否定姫さま派も目が離せない怒濤の引きで、来月、ついに最終巻。
「彼氏彼女の事情」ACT.01 彼女の事情(キッズステーション)感想
そうか、これ、いぬアニメだった……。
庵野秀明監督・GAINAX制作。この作品はリアルタイムで観てます。この第1話なんか、自分でも引くくらい、細部の台詞がはっきり記憶に残っていたりするほど。このへんは私にとって、アニメ原体験のようなものですからね……。それは何人にも侵されざるパーソナルスペース。
今から思うと、ED実写だったり、次回予告は声優さんが顔出ししてたり、一部の話で衝撃的なシーンが含まれていたり、あげく物語がちゃんと終わってなかったりと、個人的タブーの塊なのですが……。むしろ、この体験があるからこそ、生半可な類似例では、これを超えないものとして認められないのかもしれません。アニメ内実写への嫌悪感については、エヴァ旧劇場版「まごころを、君に」が多大な影響を及ぼしたのではないかと、最近見直して気づきましたが。何にせよ、庵野監督なら、大地丙太郎監督と並んで「何をやってもいい」三大監督のひとりなのです(あとひとりは?)。
大地監督といえば、原画に宮崎なぎさが入ってることも関係あるのかないのか、コメディの雰囲気が非常に近い。当時はなにげなく観てたけど、このハイテンポの切り替えはまさに大地節をほうふつとさせるもの。あと「桜蘭高校ホスト部」にも近いものを感じるのですが、これも当該シリーズ構成の榎戸洋司が、GAINAX作品に関わっていたことを考えれば、外戚関係みたいなものと理解できます。そして、立ち並ぶ信号機のカットインが頻出し、その色で都度の流れを暗示する手法は実に庵野監督的。
あとは、やはり宮沢雪野@榎本温子の長広舌こそ最大の聴きどころ。惚れ惚れします。月野ちゃん・花野ちゃんも捨てがたいのですが。たしか、この雪月花姉妹がS・O・S団として活躍する話があったと思うので、楽しみにしています。
2007年11月05日(月)
「魔法使いTai!」第1話 ツリガネと、高倉先輩と、空とぶ魔法/第2話 巨大ベーゴマと、瑞葉先輩と、しっぱい魔法(AT-X)感想
空から降ってきた魔法少女……。
昔からタイトルだけは知っていて、なんとなく女児向けなのかなと思っていたのですが……。佐藤順一監督にしては、きわめて珍しい方向にサービス精神が発揮された作品でした。それが良いか悪いかと言えば、大歓迎ですっと言うしかないですが(はい恥ずかしい台詞禁止)。とはいえ、絵コンテ運びの気持ち良さ、魅力的なキャラの描き方はいつもの佐藤監督と変わるところはなく。きっと、男性陣が小野坂昌也と子安武人だからそう見えるだけなんですよ。
女性陣は小西寛子・飯塚雅弓・岩男潤子というキャスティングが時代を感じさせるように、これが「おジャ魔女どれみ」よりも前に成立していたというのも驚き。こないだの「アニメギガ」ではぜんぜん触れられてなかったのですが、むしろこれこそエポックメイキングな作品だったのでは? OVAという形態で、けっこう突拍子もない設定ではあるものの、核となる「魔法少女」の部分はけっしてパロディをやろうとしてるわけじゃなく、真摯に作っている印象を受けます。
どじっこでもめげない少女・沢野口沙絵@小西寛子は、春風どれみ、苗木野そらへと連なる典型的な佐藤順一作品の主人公。子安な人に「足手まとい」とか言われても負けるなっ。そんな沙絵を呆れつつサポートする幼なじみ・中富七香@飯塚雅弓、今なら斎藤千和のポジションですね(声優で言うな)。関係ないけど、こういう髪型と性格の娘ってすごく憧れます。そして、三人目の魔法少女・愛川茜@岩男潤子。今のとこ、天然なのか悪意があるのか不明なところがありますが……。それはまた次週を楽しみにしましょう。
そういえば、予約録画を間違えたかと思ったアバンタイトル。宇宙空間に音を響かせないとは、このアニメは「プラネテス」の先駆者でもあったのですね。
2007年11月06日(火)
「ナイトウィザード The ANIMATION」Episode.01「月匣」〜紅き月、碧き瞳〜(キッズステーション)感想
評価: 9点[前回比: -](累計: 9/10 平均 9.0)
第一話にして伝説の桜を咲かせてしまうとは……。
宮崎羽衣さんが初ヒロインを演じるということで楽しみにしていた作品。といつつ、個人的に宮崎さんの出演作は打率が低いので不安もあったのですが(なんてことを)。そのかわり当たればホームラン、今回ばかりはハルフィルムメーカー+山本裕介監督なので期待しても良いのではないでしょうか。初回から良い感じに先が見えなくて視聴意欲は増進、何よりこの志宝エリスという娘、久々にういういらしいういういで滑り出しは上々。ふたりで巫女さん服を着て「勝利だーしゃんしゃん」する日は近い。
TRPG原作だそうで、このジャンルもあまり詳しくないのですが、アニメとしてどういうふうに描かれるのか(視点がどこに置かれるのか)ちょっと注目。完全に剣と魔法の異世界ファンタジーだったら苦手意識を持っていたところですが、とりあえず導入は日常世界からはじまったので安心しました。ここから、巻き込まれ主人公っぽいれんじくんを中心に、どう話が動いていくのか……。「はいかイエスでお答えください」とか強権政治を執ってるしゅごキャラ@佐藤利奈も油断なりません。対するゼファー@後藤邑子さまは、いつティマーと言ってくれるのか……いろいろ気になりつつ、まあ、例によってゆるゆると追ってくです。
2007年11月07日(水)
「ご愁傷さま二ノ宮くん」第1話 キスしちゃえよ(BS朝日)感想
評価: 9点[前回比: -](累計: 9/10 平均 9.0)
こんなところに今期最大のバカアニメが。
なんだかアニメ魂枠は久しぶり(って、いつのまにか「アニメスピリッツ」?)。原作未読で、いちおうチェックという感じだったのですが、OPの「シリーズ構成:渡辺陽」のクレジットを観て妙な期待が。AT-Xにて絶賛湯気無し放映中、毎回あまりの頭の悪さに気を失いそうになりながら、目が離せないでいる「GIRLSブラボー」の脚本家さんですよ。案の定、本作も本編開始30秒でバカアニメ認定。そしてやっぱりお風呂場でブラボー。もう、幼い頃の思い出とか、恥ずかしい約束とか、そういうの別にいいですから。げに浜の真砂は尽きるとも、世にバカアニメの種は尽きまじ。まあ種を残すのは生物としての本能ですからね(レッドカード)。これはもう、このまま突っ走ってくださいと言うしかありません。
2007年11月08日(木)
西澤保彦「パズラー 謎と論理のエンタテインメント」(集英社文庫)感想
めがねっこいいんちょだと思ったのにっ。
未読文庫がたまってしまったので、今月は西澤保彦強化月間。まずはオーソドックスそうな短編集から。
直球のタイトルが示すとおり、きわめて洗練されたロジカルな作品群。「贋作『退職刑事』」とか、元ネタを知らないせいか、もう一ひねりあるのかと思ってしまったりもしましたが。だって、新聞の端が何度もめくられた後があるとか、それっぽい記述があったので……。
それにしてもこの作家は毎度ながら、人間の心というものがもつ、あまり見たくない一面を浮かび上がらせるのが抜群に巧い。このあたりはまさに小説の独擅場といったところかと思います。映像化されると見るに堪えないものも、この文章力があればこそ魅力となりうる。「絶望した!」と声高に叫ぶことなく、世の中に絶望している人々のそれは哀歌。
竜騎士07「ひぐらしのなく頃に」第2話 綿流し編 下(講談社BOX)感想
評価: 9点[前回比: +1](累計: 34/40 平均 8.5)
これもある意味、文章のなせる技というところでしょうか……。今回で、講談社BOXで出版されたことに完全に得心がいったというか。アニメでの雪野五月さんの熱演は小説版では味わえませんが、これはこれで。皆殺し編での梨花ちゃまの活躍が楽しみです。って、「解」も小説化されるとはまだ発表されていないのですが、やはり解決編がないことには。今回だって「目明し編」の内容をだいぶ忘れてることもあって、ラストでちょっと混乱してしまいました。シリーズ通して、大枠の「犯人」は変わらないのだとすると、これはどうなるんだっけ……。うーん。
「みなみけ」第3話 球蹴り番長再び(AT-X)感想
評価: 9点[前回比: -1](累計: 29/30 平均 9.7)
ご愁傷さま藤岡くん。
と思ったけど、チアキさまになつかれたのが悔しいので減点-1。まあ満点ばかりだと人間味に欠けるとか言われてしまいますから。いやケイコちゃん好きですけど。でも私も、三単現の s を忘れたり cm と mm の単位を間違えたりして98点とか取っちゃう子のほうが好きです(それは単なるケアレスミスだ)。
相変わらず高値安定で、毎回チアキさまの新たな魅力に気づかせてくれる小さな幸せ発見アニメ。「スケッチブック」と同じ日に観るのはもったいないくらい。カナで遊んでいるようにしか見えないのに、マジメに姉のことを憂いていたとは。まさに妹の鏡。おにいちゃんがいなくても妹は素晴らしい。
2007年11月09日(金)
「BLUE DROP〜天使達の戯曲〜」第1話 Hydrangea(AT-X)感想
評価: 9点[前回比: -](累計: 9/10 平均 9.0)
なんだこれは。
事前情報ではとくに惹かれるものが無く、スルーしようかと思ったのですが、なんか妙に面白いらしいという噂を耳にしてチェック。たしかに妙で面白かったです。初回から我が道を行き過ぎな主人公とストーリー展開。それ以上に、そこここにマニアックで神経質なレイアウトを配する絵コンテに完敗です。「水辺で鳥と戯れるロマンチックな少女」とか、文章では書けるものの、実際にこうやって描写するのは並大抵のことじゃありませんよ。あげく「ただしクビシメロマンチスト、みたいなっ」というオチまでつけてくれました千光寺さん。そりゃ若竹さんじゃなくても切れます。不機嫌だったり急に笑ったり、情緒不安定な若竹さんですが、それも作品全体に流れる空気を象徴してるような気がします。全然関係ないですが、愛想悪くてこういう髪型の娘って私すごく憧れます(もういいですか?)。
そんな作品の印象を、さらに覆すラスト。名門海凰学園は、実はロボット乗り養成学校だった……とかいう話ではないと思いたいところ(いや、いいんですけど別に)。先が見えないという意味では「ef」と双璧をなすかもしれません。いい意味で。とりあえず継続決定。
2007年11月10日(土)
「CLANNAD」第3回 涙のあとにもう一度(BS-i)感想
評価: 9点[前回比: ±0](累計: 25/30 平均 8.3)
うりアニメとは新機軸な。
急速にセミっぽくなる日常。評して曰く、「ユニークな奴が多い」とはよく言ったものです岡崎くん。むしろ○○○○としか思えないんですが、それは観てる自分が病んでるからで、受け手側に問題があるんですねそうですね。
冒頭から春原妹のネタフリもされて期待が高まる中、ちっちゃい伊吹風子@野中藍さんがまたぞろ「どりぶる〜」とか言い出すに至っては、もう全肯定してもいいんじゃないかと思えてきましたよ。しかもEDキャストを見ると、お母さん(?)は皆口裕子さんですか! もう貴女こそ正ヒロインに違いありません。
とか言いつつ。古河渚さんの印象も上昇中(パンを食べてるシーンがかわいいのは京アニならでは)。図書室で小さなお茶会を開く宮沢有紀寧さん@榎本温子も和みますし(名前が彼2っぽいのは何か意味が?)。言動は奇矯ながら、どのキャラクタも憎めない一面があるという、この手の作品ならすべからくそうであるべき理想を、ちゃんと描けているのは素直に拍手。中盤、春原と岡崎くんが極めてどーでもいい話をするシーンも象徴的。扉の向こうは非日常が口を開けて待っていても、今この瞬間は貴重な日常が続いている、夢を見続けている。そんな鍵的世界の果ての果て。「演劇」をテーマにしつつ、幕が上がる前が、きっといちばん幸せな時。
2007年11月11日(日)
森博嗣「探偵伯爵と僕」(講談社ノベルス)感想
参りました。
ミステリーランドとして刊行された作品ですが、著者の希望もあってノベルス化。本当は文庫にしたかったみたいですが、それは来年になるとのこと。
これは……実は森博嗣ど真ん中の作品なのではないでしょうか。いや、中心がどこにあるかなんてことは一概には決められないのですが(宇宙原理を採用すれば、そもそも中心は存在しない)。テーマ、トリック、文体、何を書いてもこの方の作品は常に「森博嗣らしさ」を備えていることには変わりないですが、それがもっとも判りやすい形で現れているように思います。
しかし、これもやっぱり、こども向けを装って、その実、かつてこどもだった大人に向けた物語。前の段落と矛盾するようですが、珍しく社会派なこと言ってると思ったら。喜多村英梨主演でアニメ化してください、とか言うとネタバレになるかな(なるか!)。
といいつつ、もしかしてこれが生涯初めて読むミステリになった子は幸せかもなぁと思います。ミステリーランドという企画がけっきょくどうだったのかは判りませんが(っていうか、まだ続いてるの?)、あまねく本は、老若男女問わず、人の価値観、人生観をも変えうる力が、価値があると私は思っています。たとえこどもの時に読んで、完全には理解できなくても、それが漠然と心に残って人格を形成したり、あとになって本当の意味を知ったり。それはもう、実体験に基づいているので、自信を持って言えます。
とりあえず私は、「子供には理解できない」という、こどもをバカにした物言いはしません。逆に、「大人には判らない」と言うことはありますけど。で、そういう自分が、本当に子供の気持ちが判るなんてことも、もちろん思ってはいません(けっきょく何なの?)。
2007年11月12日(月)
「魔法使いTai!」第3話 タケトンボと、茜ちゃんと、いけない魔法/第4話 海と、洞窟と、マジックパーティ(AT-X)感想
全6話しかない中で、海+温泉回までこなすなんて、なんて完璧なんだ。
いや、これはホントすごい。一気にドタバタ純愛らぶこめでぃ。魔法をテーマに、実は描こうとしていたのはこれだったのですか……。夏のおわりに、花火大会でもないのに魔法三昧。沙絵ちゃんがもうめちゃめちゃかわいくて、高倉先輩じゃなくても気が変になりそうです(そこの子安はちょっと縛っといてください)。そんな彼女の、素直になれない気持ちを描くのに、こんな手法を使ってくるとは……。いかな幼なじみ至上主義の私でも、ちょっと屈折しすぎでしょうと言いたくなるくらい。
手品クラブと揶揄される魔法クラブの披露する魔法が、ホントにパーティマジックレベルのものでしかなかったり、茜ちゃんが大塚明夫な自称ジャーナリストを引っかける魔法が火遊びだったりと、「魔法」の意義づけまでガラリと変わってしまった第4話。そもそも、「敵」なるものの目的も意図も不明な状態で、物語にどういうまとまりをつけるのか……。来週も楽しみです。
2007年11月16日(金)
「みなみけ」第4話 恋もよう(AT-X)感想
評価: 9点[前回比: ±0](累計: 38/40 平均 9.5)
本当に二宮くんがご愁傷さまにっ。
なんかもう完璧ですね。たしかにサブタイトルが示す恋模様は描かれてますが、それはすべて南家三姉妹の周辺で起こっていることで、彼女たちの日常には微弱な影響しか及ぼさない。「南家の日常を淡々と描く」というアバンの惹句に偽りなし。
ややもすると、毎回チアキさまがかわいいと言いたくなってしまう今日このごろですが……。スカートの裾をつかまれるケイコちゃんは何学生であってもかわいいです。めがねっこだからです(←けつろん)。で、子育てとか言われても、まったく違和感のないハルカ姉さまは何学生? 女学生(間違いではない)。まあ、ハヤテのごとくのマリアさんといい、となりにグラッツェの初音さんといい、この手のキャラは誰しも通る道ですから。私的には別にどっちでも。そういうニーズもあるんだよ by こなちゃんという名言もあることですし。文脈が違う? ナンノコトヤラ。
西澤保彦「両性具有迷宮」(双葉文庫)感想
西澤保彦月間、二冊目はこれ。いきなりハードル上げすぎです自分。「かしまし」を西澤保彦が書いたらこうなるという見本。ただし「あのね」はありません、みたいな(そういうの禁止)。
人を選ぶタイプの作品だとは思いますが(人を選ばない小説なんてあるの?)、文章の面白さはトップレベル。珍しく、悪意のある人間が終盤まで登場しないし(そのぶん凶悪ですが)。これをSFとよんでいいのか、本格ミステリとよんでいいのか、あるいはまた何か別のジャンルに入るものなのか。しかし、小説にとってジャンル分けなど酷く些細な問題なのですよ。何と呼んでもいいし、何と読んでもいい。これがすなわち、なつこの旅。死者は読みが得る。
2007年11月17日(土)
「ハヤテのごとく!」第30話 美人お嬢さま名探偵は見た! 湯けむり女教師殺人事件(BSジャパン)感想
評価: 9点[前回比: +1](累計: 263/300 平均 8.8)
あやまれ! 乱歩とかそのへんにあやまれ!
飛ばしてるなぁ。トラベルミステリーなら寝台特急なみに飛ばしてます(飛ばしてるの? それ)。日比谷とか出てきたあたりでは、何やら既視感。なんだっけなんだっけ、ろくとん……なんでもないです忘れましょう。「天の声の中の人が犯人です」それは既に先例が。とりあえず、シャフトアニメだったら背景がおかしいだけでは証拠不十分なところでした。次回は伊澄さん@みゆみゆの憑物落としでひとつ。
「こどものじかん」第5話 なつやすみのとも(BIGLOBEストリーム)感想
評価: 10点[前回比: +1](累計: 48/50 平均 9.6)
花火のシーンのディテールアップが感動的。
夏休み終わらなければ、どころか、夏休みなんて来なければいいのに。本当に、あらゆる意味で既成概念を打破する画期的な作品ですね。「こどもだから」とか、「こどものくせに」という色眼鏡で見られる不合理、不条理。それが、スクール水着を着られる特権階級にありながらそれを拒否するりんちゃんと、既にその資格を持ち得ない宝院先生の対比を通して、鮮やかに描かれています。とか言っておいて何ですが、宝院先生は好きですよ。
井出安軌絵コンテの印象的なレイアウトで強調される、めまぐるしく変わる視点人物。あるときは青木先生の立場に従い、あるときは宝院先生の目線に立ち、またあるときはりんちゃんの見る世界を映し出し、さらにはりんちゃんのぬいぐるみ視点まで登場(最後のは余計)。そして、それを取り巻く世界が極めて稠密に描かれているからこそ、彼らの心のすれ違いがよりコントラストをもつ。ラストシーン、みんなが同じ花火を見ていていても、音と光の速度が違うように、ひとりひとりの心にも些細な行き違いが存在している。ますます今後に不穏なものを感じさせる展開になってきましたが、引き続き目が離せない。とりあえずEDは何十回見ても飽きません。
「スケッチブック〜full color's〜」Page.07 9月の日に…(AT-X)感想
評価: 10点[前回比: +1](累計: 67/70 平均 9.6)
ちかっぱ素晴らしい……。
ついにケイト@後藤邑子さまの登場ですよ。この人が出てくると日本語ネタも勢いを増します。それでいて、最終的には感動巨編ねこアニメになってしまう、この再構成力の高さに舌を巻きます(まあ器用)。前回の話に組み込むのかな? と思ってた、クリスマスパーティの話がこんなところに顔を出したのも嬉しい限り。みかんとアミダクジのネタがなかったのは惜しいところ……なんてワガママ言うんじゃありません(マイマザー)。
そして次回は待望の少女のお話。いやまあ、涼風コンビのほうは予想がつくからいいとして、EDにも出てたあの女の子にどういう物語が用意されるのか、楽しみです。
「瀬戸の花嫁」第拾七話 県警対組織暴力(AT-X)感想
評価: 9点[前回比: ±0(次回比: -1)](累計: 247/260 平均 9.5)
悩ましい……ねこねこの日が悩ましい。
ようやく放映されました修正版。巡ちゃんとは別の何かに、社会のルールを教えられてしまった回です。って、これだけ観ると、どこがどう変わったのか判りませんね。ふつーに面白い……いや、「瀬戸の花嫁」にしては、いい話すぎるくらい(えー)。
で、とあるルートで地上波版を観させていただいたりしたわけなのですが……って全然違うー!? なんじゃこりゃ。埼玉番長軍団とやらの存在が丸ごと闇に葬られているわけですか。まあ、誰しも、守らなければならないものはありますからね。仕方のないことです。
結果的には、作品の面白さの本質は失われていないと思うので、いいんじゃないでしょうか。むしろ、修正版のほうがシリーズ構成的にはつながってるようにも思えます。この時点で観ることによる利点もあって、不知火明乃を目の仇にする豪三郎に対し、政さんが一歩引いてるのは伏線だったのかもとか勘繰れたり。それより何より、すっかり喜多村英梨さまの虜になった今観られて良かったです(そう、それが本音)。
てなわけで、あらためて評点グラフ。今回から Numbers で出します。

2007年11月18日(日)
西澤保彦「リドル・ロマンス 迷宮浪漫」(集英社文庫)感想
「もうひとつの “あり得たかもしれない過去” ーそれは本来、人間が知ってはいけないことなのです」(ハーレクイン)
三冊目。これまた完璧な短編集。今回はさしずめ「笑ゥせえるすまん」?「xxxHOLiC」? ごめんなさいねぇ、こんな読み手で。クリスティなんてほとんど読んだこと無いもので。学生アリス? なんのことやら〜。
まあそれはおいといて。相変わらず気持ちの悪い人物描写が卓越している作家ですね。ただ、そういう他者への悪意が、そのまま殺意へとつながるわけではないのが、まだしも救いというか、むしろ救いようがないというか。目に見える悪意をステレオタイプに書くのは簡単だけれど、目に見えないものを描くのは非常に難しい。そして、ほぼすべての作品でそれに挑み、かつ成功しているのがこの作家。
小説の中での時間の経過は、ほぼ作品の分量に比例するーというのをどっかの小説技法の本で読んだ覚えがありますが、そういうものも軽々と破ってしまうのがこの作品群。「名探偵」ハーレクインの見せる幻だったり、まぎれもない回想だったりしつつ、各短編で依頼者のほぼ一生を描ききってしまっている。その中で、ほんの小さなきっかけ、すれ違いが、大きく根を張って異形の花を咲かせる。「パズラー」の冒頭短編「蓮華の花」でも、ほとんど同じ構造が描かれていますが、本格推理的カタルシスとも似て非なる、これが西澤保彦作品の核なのかもしれません。
2007年11月19日(月)
「魔法使いTai!」第5話 七香と、油壷センパイと、告白魔法!?/第6話 沙絵と、ジェフくんと、大魔法(AT-X)感想
最後の最後で桜魔法とは恐れ入りました。
もう圧巻の一言。佐藤監督の底知れなさを感じさせられる作品でした。妄想の度合としては随一なんじゃないでしょうか。
けっきょく、「地球を侵略しに来た宇宙人」というのが最後までヒトならざるものとして描かれていて、目的とか思考とかがよく判んないままに終わってしまったというのはあって。ここもやっぱり悪人のいない世界で、悪いのはみんなブラッククリスタルかマジョルカの魔法グッズのせいにしとけというのと同じように、この宇宙人もその類だという見方も出来ないことはない。でも、それで何が悪いのか? それこそ、悪いことは何もない。佐藤順一監督なら何をやってもいい……いや、むしろこう言ったほうが正鵠を射ているでしょう。何をやったところで佐藤順一ワールドになってしまうのだと。そこにあるのは日常と非日常の絶妙な切り返し。人を想う心の強さと弱さ。じゃっかん対象年齢が上がっているからといって、その素晴らしさは不変であり普遍である。
総点は94点。短期決戦のOVAだから点数が高めになるとはいえ、10年以上も前の作品でこの新しさは特筆に値します。この後TVシリーズもあるらしいということで、またAT-Xでやってくれないかな……。いっそ、全部入りのDVD-BOXを買ってもいいかとさえ思えてきました。沙絵ちゃんはかわいいですし。七香ちゃんと茜ちゃんも素敵ですし。今のとこ、「御先祖様万々歳!」に匹敵する観たいレベル。
2007年11月20日(火)
「GIRLSブラボー first season」第9話 魔法大戦で♥ブラボー!(AT-X)感想
評価: 9点[前回比: -1](累計: 86/90 平均 9.6)
リサさんと、エリと、がぶら魔法。
松岡由貴さんが主役のお話が傑作でないわけはないのですが……。だから、もうちょっとまともな骨格にしようとは思わんのですか。金田朋子と齋藤彩夏の力だけとは思えません。って、絵コンテはまた井出安軌ですか! じゃあ、ぽか〜んなのも仕方ないところです。
エビはABであり、それ自体まじかるちぇんじでABC。魔法少女アニメを観てるからこどもだなんてことは言えないので、トモカちゃんは何も心配することはありません。思わぬところで斎藤千和と齋藤彩夏の対決を目の当たりにしてしまいました。このころの千和さんは今と発声がちょっと違いますね。彩夏さんは変わってませんが(それでこそ!)。
2007年11月22日(木)
西澤保彦「笑う怪獣 ミステリ劇場」(新潮文庫)感想
4冊目。今回は連作短編ですが、中の一編にこっそり、他作品とリンクする仕掛けが。まとめ読みをしているときにこういうのに出逢えると嬉しくなります。しかし、よりにもよって再登場するのがあのキャラかよっ。
しかし、これはまた毛色の違う作品。といっても怪獣に毛はないと思いますが(恥ずかしい台詞禁止)。一話目からあんまりなオチに脱力したその瞬間、もう読者は作者の手の内に落ちている。この世界観だからこそ実現しうる、説得力を持ちうるトリックをここぞとばかりにアンロック。読了して気づきましたが、「怪獣は〜」ではじまるタイトルの短編は、みんなそういう構成になってますね。そして、その他の作品はまた違ったものに挑戦しているという切り分けが行われていて、バラエティに富んだ一冊となっています。
しかし、この主人公三人組のキャラ造形は楽しい。ちっとも悩まないバカっぽさが素晴らしい(いい意味で)。講談社ノベルスの初期作品群の雰囲気を思い出しました。といいつつ、なんだか意味深な最終話が示唆するように、もしこれがシリーズ化されたりしたら、また意外に重い過去とかが出てきたりするんですよ。そういえば、タック&タカチシリーズ、まだ読んでないのあったっけ……。
乾くるみ「リピート」(文春文庫)感想
たしかに驚きました。大森望の解説に。まさか「School Days」に言及されるとは……。
実はというか何というか、この作家大好きなのですよね。驚くぞ驚くぞと言われて読んで、ホントに驚ける数少ない作家。ま、「Jの神話」や「匣の中」の、あまりにもわけのわからない真相に比べたら、これでもまだまだという感じなのですが。むしろ、最初からちゃんと伏線を張りつつ、先が気になる展開で引っ張るあたり、なんか真っ当な小説になってると変なところで驚き。オビや裏表紙で、「イニシエーション・ラブ」が何度も引き合いに出されてるあたり、世間的にはあの作品の評価が高いのでしょうか。実は「タロウ・シリーズ」第2弾なのだということを、オビで隠そうとする涙ぐましい営業努力。
で。読んでる途中で思いついたこと、ほとんど解説に書かれてしまったので、どうしようかと思ってるのですが……。うちのようなスタンスの感想サイトで、小説の感想が公式解説とかぶることがあろうとは。そりゃまあ、西澤保彦や「ひぐらしのなく頃に」を引き合いに出すくらいは想定してましたが。
本格ミステリに超常現象を大胆に取り入れたという点では、西澤保彦と乾くるみにはたしかに近いところがある。でも、その目指すところが決定的に違う。端的には、世界に支配される人間を描こうとしているのが西澤保彦だとすれば、人を支配するセカイそのものを描こうとしているのが乾くるみだと言えるように思います。その違いを世代的なものというには、両者の年齢が近すぎるのが気になるところ。それとも、メフィスト賞以前/以後で微妙ながら決定的な差異があるのか、あるいは文系/理系の差に還元されるのか。このあたり、面白そうなので、しばらく検討課題にしたいです。そのためにも判断材料を是非っ。そろそろ新作を期待してます。
2007年11月23日(金)
「スケッチブック〜full color's〜」Page.08 ラジカセと少女の二本立て(AT-X)感想
評価: 10点[前回比: ±0](累計: 77/80 平均 9.6)
デジタルカメが、こんな話につながるとは。
あぁもう、言葉はいらないレベルに素晴らしい(他意はありません)。なんてスケック。涼風コンビのお話を、こんな形でおざなって、別の世界にいざなってしまう。意地でもふつーのギャグアニメにはしたくないようですね。
ちょっと特別な休日と、デジカメの少女との再会。第一話では「なんかダメかもね」という対立項でしか語り得なかったデジカメが、話数が進んだ今、はじめてスケッチブックと共存する形で描かれる。この世界は空くんの視点で見た世界であり、それ故に、この少女がこの上なく魅力的に見えるのも当然のこと。ねこねこがかわいいのもまた必然。しかし、なまえを訊くより先に学年を訊くとはやりますね空くん。えぇ、別にがっかりなんてしてませんとも。たそがれ時に、「誰そ彼は」と問いかけることもなく、互いのなまえも知らないままに別れる。この世界観だからこそ当たり前に見える、この日常。日は沈み、そしてまた昇る。いつもと同じで、でも新鮮な一日が、また始まる。
「こどものじかん」第6話 おもいで(BIGLOBEストリーム)感想
評価: 10点[前回比: ±0](累計: 58/60 平均 9.7)
DVDの初回特典がランドセルなのも納得至極。
もはや、今回のために、レイジ役に杉田智和を配したといって間違いないでしょう。物語の根底に流れる、黒い部分を凝縮して煎じ詰めたような回。大地丙太郎作品にも匹敵するものすごい話。現代アニメの最先端がここにあると認めましょう。新しすぎて、まだ今の時代では正しい評価がされにくいのかもしれません。だいじょうぶ、見てる人はちゃんと見てる。10年後くらいに、ふつうにキッズステーションとかで再放送されるのが目に浮かびます。10年か……来年の新入学に備えてランドセルを買ってる子が高校生になる頃……。長いな。
「はやくおとなになりたいな」というのは、多くのこどもが思うところでしょうけど、レイジの場合はそれがとりわけ切実なもので。変えようのない現実と、取り返しのつかない時間。それを経て、りんに希望を見いだしている今。しかし、彼がりんを通して見ているものは、彼女自身の未来なのか、あるいは、彼女の母親という過去の幻影なのか。カットインされる現在時制のシーンで、りんの服や母親の遺影といった、無生物にだけ色彩があるという演出からしても、後者である可能性が非常に高い。ある意味、レイジのじかんはあの日以来、止まったままだと言うこともできるかもしれません。
ある種のミステリならば、あるいはそれこそ美少女ゲーム原作ならば、この物語がレイジ視点で描かれることもありえたでしょう。それでも、この物語が「こどものじかん」である以上、彼は既に脇役でしかない。であればこそ、今回の話は、主人公であるりんの視点に立って見ることも可能。そうしてみると、それがそのまま、これまで青木先生を惑わしてきた彼女の言動に対する解答になっている。そして、彼女もまた「はやくおとなになりたい」という想いをどこかしら抱えて日々を送っている。しかし、時間を「スキップ!」することは叶わぬ夢(「もえたん」ではなく北村薫です<じゃあ何故感嘆符がついてる?)。ここから、りんが、そして青木先生が、どのような道を選びとるのか。二学期も期待してます。ふたたび黒ちゃんとみみちゃんの元気な姿が見られるのと一緒に。
「Myself;Yourself」#1 なつかしい場所(AT-X)感想
評価: 8点[前回比: -](累計: 8/10 平均 8.0)
めがねっこだから許す!(いきなり何を)
そろそろ視聴日程が破綻しつつあるのですが、まだ増やそうというのか自分。しかし、泣く子と田村ゆかりには勝てないと申しまして、もはや視聴するかどうかにはハイかイエスでしか答えられないのです。関係ありますが、こういう髪型と性格の田村ゆかりっ子にはすごく弱いのです。ええ好きですよ、悪いですか。
なつかしい場所には、いい思い出も悪い思い出も相半ば。あまりいい意味でない懐かしさも感じてしまう第1話でしたが、まあ良いところを見つけて伸ばしていきましょうの精神です。さなちゃんさなちゃんと言われると「こどものおもちゃ」を思い出しますね。言うてる金田朋子のほうがウルトラリラックスですが(なんのこっちゃ)。元ネタは「退職刑事」あたりでしょうか。本好きな娘も好きですが、できればこっちが読了してから話してくれるとありがたいかな、かな。
で、本命のななかちゃんとの間に、いったい何があったかという話になるのでしょうか。咲かない桜との関係はいかに。「ラムネ」みたいに回想シーンが多めだといいな、とか思いつつ。雑破業のシリーズ構成の手腕に期待です(ちょこバナナみたいな意味ではなく)。
2007年11月25日(日)
高津カリノ「WORKING!!」1〜4(ヤングガンガンコミックス)感想
先輩かわいい!
最近いろんな本屋で特集コーナーが組まれてて、好きな感想サイトさんでも紹介されてたので買ってみました。こ、これは……。私の好みにぴったりの4コママンガではないですか。すぐに全巻購入。こんな作品を今まで知らずにいたなんて、人生における大きな損失。出逢えて良かった。
ファミレスを舞台にして、アルバイト店員たちが働いたり働かなかったりする青春群像劇。というのはおいといて、とにかくもう主人公の小鳥遊くんこと、かたなし君のキャラ造形が素晴らしい。まあ、身の安全のために多くは語りませんが、他人とは思えない。といいつつ、私はここまでひどくはないですよ。いくらちっちゃかわいいもの好きだと言っても、虫は守備範囲外です(そこか)。足が6本以上は対象外。ミジンコは? ……ミジンコはありかも。
そんなかたなし君を中心に、あまり仕事をしないバイト仲間が増えたり、家庭の事情が明らかになったりと、巻を追うごとにやっかいなキャラが増えていくわけですが。それでも、みんな魅力的に描かれている上に、それぞれ立ち位置がしっかりしていて、読んでて混乱することがない。当然のことのようで、これはすごいことです。それでいて、何回にもわたって続く話があったりして、少しずつ人間関係に変化も見られたり。お約束ネタの安心感と、ストーリィもののもつ先の話への期待感が共存してる、理想的な作品です。12歳以上は対象外という方も、そうでない方も、楽しめる作品ではないかと思います。
2007年11月26日(月)
「ナイトウィザード」Episode.03 「二つの炎」〜堕ちてメガラニカ〜(キッズステーション)感想
評価: 9点[前回比: ±0](累計: 27/30 平均 9.0)
おもいっきり化学TRPG。
まさか、そんなところに伏線が潜んでいたとは……。基本的な骨格はオーソドックスながら、思った以上にギャグ成分多めで、私のハートも炎色反応(謎ポエム禁止)。3話までこの調子なら、もうすっかり安心して観られそうです。手から洋菓子を憶えたエリスちゃん@ういういは無敵なのです。「拝啓私のおじさま」と言われるたびに笑ってしまうのですが(失礼)。
魔王@後藤邑子さまも妙にねじれた魅力を漂わせていて、なんかブラッククリスタルで悪い夢でも見てるんじゃないかと思ってしまいますが。とこしえの昔から続く争いを簡単に終わらせられるのか、むしろ終わらせていいのか、気になるところではあります。今の学園コメディちっくなノリと、壮大な世界観、それがどう融合していくかが今後の注目です。
2007年11月29日(木)
高崎ゆうき「桃色シンドローム」1(芳文社まんがタイムKRコミックス)感想
きららレーベル恐るべし。
素晴らしい妄想具合。日本の偉大なる共通財産であるところの魔法少女文化。セロファンの海を越え森を越え、とうとうこんなところまで辿り着いてしまいました。漆黒の闇に包まれた荒涼たる大地に、一筋差したそれは桃色の光明。これを最終兵器とよぶのならば、たしかに正鵠を射すぎている。それは忘れられた時代の遺物か、あるいは空想科学未来への飛翔か。深いこと言ってるようでどうでもいい、軽佻浮薄に見えて重厚長大。こんな魔法少女を待っていた。
「ヨコハマ買い出し紀行」(チャンネルNECO)感想
アルファさん恥ずかしい台詞禁止っ。
これはすごい。ほとんど予備知識なく観てみましたが、全編に流れるゆったりとした雰囲気、何も起こらない一日を定点観測する手法、まるで「ARIA」アニメーションをほうふつとさせます。主人公の名前がアルファさん@椎名へきるというのも、もはや偶然とは思えない暗合。ちなみに今回のは1998年に製作されたもの(監督は「かみちゃまかりん」の安濃高志監督)。来月は2002年版も放映されるようですが、そちらは望月智充監督(これもこれで、どういうものが出てくるか楽しみですが……)。もし今後再々製作されるとしたら、佐藤順一監督&ハルフィルムメーカー制作に違いありません。
といいつつ、実際には「ARIA」の世界観とは似て非なる部分があるようです。エンディングのモノローグで明かされるとおり、この作品の舞台は「夕凪の時代」とよばれる、朽ちてゆく世界。いわば熱力学的死を迎えていく過程を緩慢に眺めているようなもの(ラプラスの魔の出る幕はない)。それに対し、「ARIA」の世界は、なんとなく明け方というか、朝霧の世界という感じ(巫女の出る幕はない)。とはいえ、あちらもアクアはともかくマンホームはけっこう終わりかけの世界のような気もしますし、結果として見えてくるものは近いのかもしれません。判りやすく比喩で言うと、明けの明星も宵の明星も実体は同じ、の逆みたいなもんでしょうか(よけい判らん)。
2007年11月30日(金)
西澤保彦「方舟は冬の国へ」(光文社文庫)感想
5冊目で、今月は終了。とりあえず、買っておいた分はぜんぶ読めたのでノルマ達成。
にしても、最後の最後まで、気持ち悪い人間が出てきますね。しかし、この場合は、それが引き金となって物語の幕が引かれるわけですから、仕方ないところも……。ああでも、やっぱ許せんなぁこういう奴。
見ず知らずの人間と、別人になりきって「家族」を演じるという謎の仕事を引き受けた主人公。とある本格ミステリを思い起こさせる導入部ながら、待ち受けるカタルシスは全く別のもの。明かされる世界の構造がやけにチープなのも意図的なものでしょうか。ある人間の妄執の形を描き出そうとするのが本格ミステリのひとつの定型だとすれば、この作品ではそれを意図的に外して、また別の意志の形を浮かび上がらせようとしている。それは方舟の中にあって、匣的なものとは遠い、ただひたすらに純粋な想い。









