2007年10月13日(土)

西尾維新「不気味で素朴な囲われた世界」(講談社ノベルス)感想

西尾維新_不気味で素朴な囲われた世界

「日常で当たり前だって、地獄みたいなものですよねーーそれこそひと昔の映画でもドラマでも、子供の頃のトラウマをテーマにした物語ってはやったじゃないですか」(串中弔士)
「ドラウマ? ものすごくおいしいって意味?」(串中小串)
「そんな方言はありません」(串中弔士)


 記念碑的傑作「きみとぼくの壊れた世界」のあと、冗談でタイトルだけ思いついた作品というだけあって、本格と冗句が同居する、アンビバレントな仕上がりになっております。キリンビバレッジではありません(キリンビールなら西澤保彦)。キリンどらうま(だから、そんなご当地ビールはありません)。
 本流には前作から発展した「本格ミステリ」を突き詰める主題、そして対岸には「化物語」あたりから歯止めのきかなくなってっきた感のある、戯言を超えた言葉遊びの奔流。相変わらず、この人の作品を読むにつけ、自分がいかに偽物かというのを思い知らされますにゃ〜(アニメキャラのような語尾付け禁止)。例によって開始10ページくらいで面白すぎて、通勤列車内で読むのをあきらめました。こういうときどういう顔すればいいか判らないの(笑えばいいと思うよ)。串中小串の最終試験。嘘つき村の住人・ろり先輩。まあ、あまりお近づきになりたくないキャラですね。←ダウト この序盤を数倍に膨らまして、古野まほろ並の分量で書いてくれればいいのにっ。
 昔の人は言いました。木を隠すなら森の中政権。死体を隠すなら瞬間移動死体(だからそれは西澤保彦)。そして、ミステリを隠すならミステリの中。学園青春ミステリと銘打って、虚構の中の現実に隠された謎を鮮やかに描き出す。これぞ囲われた世界。
 ところで、今回は作者曰く、前作の探偵役・病院坂黒猫こと、くろね子さんがこっそり出演されてるとのことですが。驚いたなぁ、あとがき読むまで気づかなかったよ!←ダウト …………。次回作「きみとぼくが壊した世界」での登場も期待してます。とりあえず「ツンデレ」という言葉の登場だけは、本シリーズに限らず毎回確定っぽいですが。

2007年10月13日 15:42 [] [西尾維新]