素晴らしい。ベストセラーばかりが本の価値じゃないけれど。「失踪日記」くらいには売れていい。
もうねぇ、最初の数十ページから読んでて涙が出てきそうになりましたよ。桃井さんの人生は、他の誰でもない彼女だけのものではあるのですけど、私自身にも重ねてしまうところが多々ありました。私なら昔のことを思い出しただけで鬱々ワールドに入り込んでしまうのですけど、それでも桃井さんの筆致は実に冷静で、とっても前向き。何故なんだろうって、それは考えてみれば当たり前のこと。桃井さんが伝えたいと思ってることは、すべて彼女が今まで世に送り出してきた音楽の中に含まれているのですから。「この世のすべて、はじめは妄想」とか、「リアルはあとからついてくる」とか。とくに胸に響いたフレーズが、そのまま桃井さんの生き方の姿勢になっているのですね。想いを言葉に出来る人、他人に伝える術を持っている人は強く優しい。
インターネットに対する評価の変遷も興味深いところ。私もネットという存在にどれだけ助けられたか感謝してもしきれないのですが、その本当の価値は、ネットの上で無ければ一生出逢えなかった、自分に近い思いや趣味を持っている人に出逢えたこと。二次元の価値は至高のものであるのは言うまでもなく、それでもやっぱり、最後には人なんだなぁという想いです。桃井さんもまさに、私にとって同じ時代を生きることが出来て本当に幸せだと思える人。