2007年01月25日(木)

歌野晶午「密室殺人ゲーム王手飛車取り」(講談社ノベルス)感想

歌野晶午_密室殺人ゲーム王手飛車取り

 最後の一ページまで先が読めない小説とはまさにこのこと。あとがきのない歌野晶午ならでは。

 素晴らしいの一言に尽きます。久しぶりに推理小説を読んだという気分(問題発言)。ラスト50ページぐらいで、結末についてのある仮説が頭に浮かんで、そのあとはページをめくる手が震えそうになりました(冬ですからね)。結果的にその予想は当たっていましたが、さらに二重三重に仕掛けられた罠に感嘆。いつもながらこの方の本は、題名だけ見るとあんまり読みたい気分にならないのが難点ではありますけど。などと言うからには題名の対案を出さないといけないわけですが……。うーん、「キルタイム・ディスコミュニケーション」とか「ヒマだからマーダラー」とか(センス最悪だな)。あ、あと「○.○.○.にようこそ!」とか(やめろ)。
 それはともかく。登場人物が本名でなく、高名な探偵役にあやかった名でよばれるというのは「十角館の殺人」をほうふつとさせます。あれから時代は進み、ネット上でハンドルネームを使うことが当たり前になった現代。大学のサークルではなく、互いの本名も素性も知らない相手と、ウェブカムチャットで推理合戦をくり広げられる時代になりました。まさに本格ミステリにおあつらえ向きの世界で、まるで小説のように知的ゲームを楽しむ登場人物たち。そして、リアルは後からついてくる(若干意味が違うぞ)。タイトルの話に戻るけど、けっきょく、いちばんの密室なのは人の心ということで(恥ずかしい台詞禁止自分)。

2007年01月25日 23:01 []