2005年12月29日(木)

「D.C.S.S.〜ダ・カーポ セカンドシーズン〜」#26 幸せの鐘(KBS京都)感想

「だから、みんなに幸せになってほしくて」(アイシア)

 なるほど、こう締めるかっ!

 いやはや、最終回に来て私の予想を完全に裏切る形になりましたが、むしろ納得&満足のいく展開でした。というか、長谷川勝己の傾向と対策からすれば、誰もが幸せになれるハッピーエンドとしてこうなることは予測できなくもなかったんですが、不覚。
 ラムネと違って、涙があふれて止まらないなんてことはなかったんですけど、別に純愛ドラマじゃあるまいし泣いたかどうかで優劣が決まるわけじゃありませんからね。純一とアイシアの物語だったら純・アイドラマだったりして(いらんことを言うな)。
 まあ、書きたいことはいろいろあるんで、最後もやっぱり逐次感想で(笑)。

 前回ラストを引き継いでアバン、音夢の異変にショックを受けるアイシア。なんか今回、アイシアといいみんなやたら頬を染めてる作画でしたけど、まあかわいいからいいのです(待て)。外に出たアイシア、純一と遭遇……と、ここでまさかの通常OP。まあたしかに今シリーズはEDに仕掛けが施されてましたから、よく考えればこれも納得。別に最終回はすべからくOPなしにすべし、なんて法はありませんしね。
 本編、クラスメイトたちと口をきかない純一。音夢のことを口にする工藤くんに、黙った教室を後にする。これ、#1でのバスケ後のシーンとちゃんと対応してるんですね。工藤くんも終始損な役回りだったかもしれません。ちなみに、またここで眞子ちゃんがかわいい。
 いっぽう保健室で、手紙のことを気にする音夢。だーかーらー(略)。前回より余計酷くなってますよ!? もう絶対DVDで修正されてるかどうか確認してやる。看護学校時代のことを昭島先生に確認しようとすると、突然インターラプト。アイシアは次元の魔女と同格の魔法使いだったのか!!
 昼休み、朝倉純一のいない屋上での昼食。当の純一はひとり黙々とバスケットを狙う。これ、「dolce2」に収録されてる「ハッピーバスケット」にかけてるのかなぁ? そこに杉並の登場。本人を前にして「誰を選ぶかトトカルチョ」への参加を促す。そこにつけ加えられた「音夢」の文字……。おおっ、よもやホントに杉並がこんな重要な役回りを果たすとは! ここは私も鳴茂さんの洞察力を褒め称えるところでしょうか(笑)。音夢は自分の妹だと言う純一に、「お前は今何をすべきか、解っているんじゃないか」と杉並。あんたもあらかた状況は判ってるみたいですね。あとでさくらとアイシアで対比されるシーンが出てきますし、こいつやっぱ魔法の素質あるでしょ。魔法少年ラジカル杉並(見たくないぞ、そんなアニメ)。
 こちらはことりに促されたのか、とうとう純一に手紙を見せる音夢。間違いなく#1冒頭の手紙です。あの後がこう続いていたとは。そんなふたりを、校舎から見守る他のみんな。「これじゃあ、まるで」「恋人どうしだな」もはや桜の魔法は無効になったかのように、かつての状況に戻るのか、と思いきや、やはりインターラプト。純一よりも音夢のほうが魔法のかかる度合いが強いように思えるのは、やっぱ本人の魔法力が影響してるんでしょうかね。求め合うふたりのアイキャッチでAパート了。
 「dolce2」のCM、初お披露目でしょうかね? ってか2話しかかかってない「記憶ラブレター」を後期エンディングテーマと言うのはどうかと。
 Bパート、桜の花びらだけのアイキャッチ。アイキャッチがキャラ以外なのは#9のBパートはじめ(桜の木)以来だと思いますが、実に印象的。ちなみに私、このアイキャッチを一つのフォルダに入れてiBookのランダム壁紙(30分ごとに自動で変更)にしてたりします。今はアリス(#6_A)ですが、なんかやたら杉並(#4_B)率が高い気がする(笑)。ちなみに感想書き終わった時点では巫女みこアイシア(#10_A)になりました。
 自ら己の過ちに気づき、桜の木を枯らそうとするアイシア。口で言われるんじゃなくて、「魔法が必ずしも人を幸せにしない」光景を目の当たりにして気づくというのは正しい描き方かもしれません。そこに現れるさくらですが、自分に桜を枯らすのは無理だと断言。ホントは出来るのだとしても、アイシアのためにそう言っているということも考えられますね。「自分の願いを、みんなの願いとして」桜に願ったアイシア。前回の物言いと矛盾してる気もしますけど、けっきょくは魔法使いの本当の姿は、己の存在を度外視して、他人のことを想うということなんでしょうね。
 アイシアに、「人の想いが解るようになった」と言うさくら。これがこの作品の根底のテーマだったのですね。だからこそ、最初に初音島を訪れたとき、彼女が最初に出逢った女性が、かつて魔法によってその力を得ていた白河ことりであったわけですか。当初は、空気を読まない子として一部の視聴者からも疎ましがられた彼女。プラスなキャラとの交流では、相手の話を自分勝手に解釈してしまったこともあった。挙げ句、みんなを幸せにしたいと願い、この状況を生み出してしまった。でも、ようやく彼女がたどり着いた結論。
 自分のおばあちゃんの想いも、ようやく理解することが出来たアイシア。「おばあちゃん、いま私、本当にみんなのために、何かできる気がする。魔法使いとして」君は何かがでーきーるー♪ や、ちょうど野球部員たちも再登場しましたし。って冗談じゃなくて、ちゃんと初音島のあちこちにアイシアのいた形跡が残っていることの窺える描写が素晴らしい。
 桜の木にたどり着いた純一。しかしアイシアは、お別れの決心を固めて。みんなへの餞別の言葉を述べるアイシア。杉並あたりから個別コメントが省略されてしまったのがちょっと笑いましたが、ちゃんと美咲さんのことも忘れてませんでしたし。って、ここだけで出番終了だったらどうしようかと思いましたよ。
 「忘れない、初音島の風の薫り」この台詞、ラジオ「初音島放送局」の冒頭で毎回、「初音島の風の薫り、あなたに届け!」というコールがあるんで、よけい感慨深いです。まあ、シーンがシーンだけに彩と書いてひかりちゃんな人を思い出す人もいそうですが。「忘れない、波の音、蝉の声。さようなら、純一。みんな、さようなら」と、舞い散る桜の花びらとともに消えるアイシア。
 季節は巡り、また春が訪れ。純一が事故にでも遭ったのかと心配しましたよ(やめんか)。幸せの鐘が鳴り響く教会、そこから出てくる純一と音夢。あ、あのー、今ひとつ状況がのみ込めないんですが。みんなの口ぶりからするに形だけのモノってわけじゃなさそうですし。戸籍上の問題はどうクリアしたんでしょうか。どこぞの財閥の権力でも使って民法を改正いたしましたか?
 口々に祝福の言葉を投げるみんな。件のネットラジオで言ってた「馬子にも衣装」ってのは杉並の台詞だったんですね。たしかに「孫」ではなく「馬子」なんでこのアクセントになるでしょうね。まあこいつならふだんから変なアクセントでしゃべってますし別にいい気もしますけど(おい)。そんなことよりちゃんと美咲さんがいるのが感動ですよ。紫和泉子もいますし(台詞はないけど)。アイシアだけが見てた幻ってコトはなく、ちゃんと現世の人間だったので一安心です。この作品内では描かれなかったけど、あの後ちゃんと学校にも通え、みんなとも友達になれた、ということが想像できる良いワンシーンです。何も特別な存在じゃなく、普通に純一たちのクラスメイトとして迎え入れられるべき人だったんですね、よく考えれば。
 純一の「かったりぃ」を阻止する音夢。そして「例の奴」をお願いする美春に応え、ブーケを投げる。と、それが渡ったのは小さなマントの少女。ふたたび空中にそれを投げる彼女……。これがやりたかったのか! 小さいけれど、「みんなが幸せ」の体現ですね。やるなぁ〜、やっぱΦなる13話を書いた人だけのことはあります。もちろん本当のお相手は音夢ひとりでしかありえないわけですが、それでも他のみんなを(もちろんアイシアも)受け入れることの出来る疑似ハーレムエンド。節操がないと批判することも出来ますけど、これもやっぱり美少女ゲーム原作アニメだから出来たことで。まあいいんじゃないでしょうか。
 そしてED、曲は「暁に咲く詩」に戻って。描かれる、それぞれのキャラの「未来」。そして、思い出はすべてアルバムの中の写真に収まって。ラストは通常版EDと同じ構図が再現され、ズームアウト。やっぱりこの二人は当然のごとくこのふたりだったのですね。もっと年取った後かと思いましたけど。この仕掛けだけで評点を上げてもいいくらいです(ってこれ以上もう上げられないんですが)。
 というわけで総合評価は約束通り100点満点、「超殿堂入り」です。#1の最初に書いたとおり、前作は間接的にこの「えむいち。」を立ち上げる契機になっていたり、他には代え難い特別な作品であったわけでして。その「続き」としての本作には放映開始前から期待も不安も、とにかく個人的に注目度No.1でした。それを軽く上回る第1話の完成度の高さにまず不安は吹き飛び、その後もありえないほどハイテンションというかサービス満点の回を何度も見せてくれました。マジカル四姉妹の衝撃は忘れたくても永遠に忘れられません(笑)。そして最後は、やはりシリーズ構成の巧みさに舌を巻く結果となりました。もう長谷川勝己には一生頭が上がらないな。
 前作で見事なまでのハッピーエンドを迎えた純一と音夢。今作のはじめ、その片方である音夢、そして重要なサブキャラ役を演じたさくらというふたりの大きな存在をあえて作品の表舞台から見えなくして始まった物語。それは決して、一度終わった物語の否定、あるいは焼き直し、ましてリセットなどではなかった。朝倉純一を頂点とする、萌えアニメ(あるはゲーム)の舞台装置として作られた初音島に投入された異分子、アイシア。そんな彼女の成長過程を、通例の(前作という前工程の存在しない)作品では描き得ない手法で見事に描ききってくれたこの「D.C.S.S.」という作品。もちろん、それはタマゴが先かニワトリが先かという話にもなってしまいますが。ともあれ、続編のジンクスに果敢に挑み、よくぞここまでのことをしてくれたということで、名和宗則監督に最大級の敬礼を捧げたいと思います。

 ちなみに、KBS京都におけるひそかに今回最大の注目点は、帰ってきたダ・カーポ2といったところだったり。

投稿者plateau: 2005年12月29日 04:17 [D.C.S.S.(殿堂入り)]