「お兄ちゃん、幸せそうだね」(芳乃さくら)
ぬああ〜、なんだこの話は! こちらの予想を軽く上回ってくれました。長谷川勝己天才。
えっと、もはやシーンを追っての逐次感想モードは無意味なんで放棄します。桜の木に「ん〜」ってやってるアイシアの声がいいとかしょうもないことしか書けないんで(だから書くなっての)。
EDのキャストを見るまで気づかなかったんですけど、なんと今回、たった五人しか出演してないんですね。オールスター状態だった前回とは一転です(まあ前回もサブキャラはほとんど一言だけなんですけど)。それも、うたまる@桃井はるこや朝倉音夢@野川さくらはほとんど背景で、実質、芳乃さくら@田村ゆかりとアイシア@宮崎羽衣、文字通り二人の魔法使いの一騎打ち。それに対し一段上の存在として朝倉純一@泰勇気が存在してるわけですが(ひとりだけCV表記無しなのは可哀想なんで珍しく書いてみた)。
D.C.S.S.において、プラスなキャラは必要だったか? という命題は、またDVD Vol.3が出たあたりでじっくり書きたいんですが、結論だけを言えば「逆説的な意味で必要だった」と思っています。みんなの幸せを願うアイシアの、叶わない想い。それを象徴するように、出てこないほかのキャラたち。しかし、彼女たちの報われない想いを代弁しているかに見える彼女ですが、その実、誰からも感謝されることのなかった彼女のおばあちゃん、ひいては自分自身のことを念頭に置いたものだったというのは今回でよりはっきりされました。この意味で、彼女はやはり、純粋に「他人のため」を想って魔法を使うことが出来ていないことが判ります。とはいえ、本当に「他人のため」に魔法を使うなんてこと、普通の人間に出来るもんでしょうか?
そんなテーゼがはね返ってきたのが、他ならぬさくら自身。桜の木の下で、アイシアの憑物落としを試みる彼女。成長しない身体とは裏腹に、声やしゃべり方のほうが変わってますよっ! 本来の成長を遂げていたらこういう声の似合う女性になってたということでしょうか。何というかもう、さすが田村ゆかりというしか。もうファンでもなんでもいいですよ(待て!)。
戯言はともかく(あくまで戯言です)、「二年前からずっと変わらない」ことを否定するさくら。自らは二年前の姿のまま、という矛盾を、ここでは押し隠したまま。いやホント、さくらちゃんが昔のままの姿で再登場したときに喜んだ奴は全員反省したほうがいいです(お前だよ)。「お伽噺」の終わりを通告するさくらの言葉は、ある意味でキャラクタの永遠性を尊ぶ萌えの否定。前作といい、世間的には「美少女アニメの代表作」という評価が定着してる本シリーズですが、実際にやってることはその否定とも取れるものなんですよね。まあ、歴史に残るミステリがほとんど例外なくアンチミステリであるように、それもまた必然でしょうが。萌えキャラ殺しの西尾維新にも匹敵するような展開で、さて果たして本作が「ネコソギラジカル」以上の結末を迎えることが出来るかどうか、実に興味深いところです。
実際、これでアイシアも納得して、絵に描いたようなハッピーエンドを迎えたらそれはそれですごかったんですが、しかし話数(命数)はまだ尽きていない。しかしあの、アイシアが現れるまでの台所のシーン、さくらに言われるまでもなく、ものすごく幸せそうな世界だな、と思ったんですよ。冒頭の、いまだに平穏すぎる音夢ちゃんといい、幸せすぎる描写もまたトリックのひとつ。アイシアのことを巷間にのぼらせる音夢の口調が、まるで娘の子育てに苦労する若夫婦みたいだと思ってしまいました。しかし、飼い犬に手をかまれるがごとく、アイシアまさかの猛反撃。「飼ってるつもりでーもー、つながれーてるのはーどーっちー」みたいな(そりゃD.C.S.S.じゃなくてDearSだ)。さくらの言葉の矛盾点を突いてくるアイシアにはドキドキ。まさか、誰もが待ち望んだ修羅場がこんな形で訪れようとは(おい)。
「事件解決」に失敗し、自滅したさくらは、さながら「翼ある闇」のメルカトル鮎。ならばやっぱり最後に登場する木更津悠也は純一くんなんでしょうかねぇ。あるいは人類最強の請負人(そりゃ名前は似てるけど)。前作でもさくらの思いを受け止め、音夢を救ったのは彼ですし、かったりぃと言っててもやるときゃやる子です。今回でもちゃんと宿題を自分でやるという気概を見せましたし。サポート部隊にも感謝はしてたんですね。まあ行動で表さなきゃ意味ないんですけど。それとも、もう一段上の香月実朝として美咲さんが出てくるというセンはありませんかね?(笑) 前、お昼はあの桜の木の下で食べるとか言ってたはずですけど、全然アイシアと接触してないふうなのが気になります。というか、そもそもホントに存在してる人なのかどうかも怪しいんですけど。壮大な叙述トリックとか仕掛けられてたりして。
次回予告。アイシアの言葉を引きずるさくら……と思ったら一転(笑)。う〜む、いろんな意味で楽しみです。私が観られるのはちょっと遅くなりそうなのが実に残念。
投稿者plateau: 2005年11月24日 22:16 [D.C.S.S.(殿堂入り)]