「だから色々あるんだ。人間はどんな無駄なことにだって理由を作ることのできる生き物だからね」(杵築)
「杵築(きづき)」って、ATOKだと一発変換できるんだ……ことえりたんには無理だったのに。
んなことはともかく。イラストに騙されてはいけません。谷川流という著者名にも要注意。まして電撃文庫、ライトノベルだと思ったら大間違い。この作品はライトでなければヘビーですらなく、受け手によってはその衝撃は電撃とは比べようもなく、その物語は流れることのない永遠の停滞、沈澱、堆積。いろんな意味で危険です。
やっぱり、谷川流って西尾維新と似てるなーとつくづく思います。読者層は重なってそうですし、そう思ってる人は私だけじゃないと思いますが。シリーズ作品にしても、衒学的な戯言を弄する一人称だの、筆の速さだの、いろいろ類似点を見つけられます。何より、この作品はタイトル名からして確実に西尾維新の「きみとぼくの壊れた世界」を意識していると思われます。あの永遠に終わり続ける物語のあとに、よくもまあこんな作品を書けるなぁと感心します(皮肉ではなくて)。まあ、曲がりなりにも本格ミステリ形式をとっていたあれに対し、こちらにはそういうものはまったくないので、後半が多少冗長とも思えるのですが(もちろん谷川流にミステリ的カタルシスを求める方が間違ってるし、それも作者の狙い通りなんでしょうが)。
かわりにこの作品には、あたかもライトノベル的な枠組みの産物として、天使だの悪魔だの死神だのといった存在が出てくるわけですが、それらの言葉が何一つ意味をなさない。185ページの死神のセリフなんか、文脈的な必然性が皆無。冒頭付近で行われる、天使と死神の「萌えとエロの違い」論争といい、一見意味があるように見えて、実は全然意味がないというところがポイント。最初の描写で、死神(外見は幼女)に萌えた人は後で必ず後悔するというおまけつき(実証済み)。
ということで、人に薦められる作品ではないことを承知の上で、私としては評価しなければならない作品だったのでした。
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