えーと……サイト移転にかまけてて、読んだ本の感想をほったらかしてたらだいぶたまってしまいました。既に読後の印象を忘れかけてたりして。
とりあえず、すでにこのサイトの主読者はミステリファンでないことを前提として、なるべく作者の情報を書きたいと思います。
倉知淳さんは、「五十円玉二十枚の謎」という東京創元社の競作企画の一般応募をきっかけにデビューされた方で、そのときの短編にも登場する「猫丸先輩」という奇矯な探偵役が謎を解くシリーズを寡作ながら発表し続けている、いわゆる「日常の謎派」の第一人者です。寡作ながら長編にも凝った作品が多く、「星降り山荘の殺人」(講談社文庫)は鮮烈なフェアプレイ本格をものし、また「壺中の天国」(角川文庫)では第1回本格ミステリ大賞を受賞されました。寡作ながらファンです。
この本も、毎回ちょっとオカルト気味な日常の歪みを、さらに歪ませ……いやいや解決する猫丸先輩の活躍が楽しめる短編集です。こういうはた迷惑なキャラが好かない方もいらっしゃるみたいですが、まあそこはそれとして。彼以外の登場人物も、どこか歪んでいる、あるいは不安定な精神状態であることが多い倉知作品。しかし、あと一歩には踏み込まず、すこし引いた感じで、無難に物語を終わらせてしまうのもまたこの人ならでは。「たたかえ、よりきり仮面」のラストなんか、まるで悪い冗談(かパロディ)のようにも読めてしまいます。
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