「しかし、人類は大きな夢を描きます……。人類が今日描いた夢は、明日きっと実現するのです」(クリスチャン・ダンチェッカー)
北村さんの「ミステリ十二か月」[bk1] [amazon]でも紹介された、SFであると同時に、本格ミステリとしても傑作であると言われる作品。ようやく読めました。「ふしぎの海のナディア」の最終回サブタイトルの元ネタともなっている時点で気にはかけていたんですけどね。
この物語を貫く謎はただひとつ。月面で発見された一体の死体。それはなんと、5万年前に死亡していた。彼はどこから来たのか……。これを出発点に、さまざまな調査が行われ、無数の事実が明かされ、それとともに多くの謎が新たに生まれていく。それでもなお、物語の軸はまったくブレず、ただ一点の「真実」に向かって集約していく……。
これは本当に素晴らしいです。たしかに謎解きとしても、そんじょそこらのミステリでは味わえない感動を得られました。SFってほとんど読んだことがないんですけど、ちょっといいなと思えてきました。どうしてもそこかしこで「プラネテス」と比べてしまうんですが、メディアが違うから相互補完しあって、眼前に非常に美しい「宇宙」が見えてきました。単に宇宙の描写だけでなく、それを取り巻く人々の人間模様も読みごたえがあります。まあ、書かれた時代背景のせいか、2028年の段階で既に月が開発されてたり、地球の国々は争いがなかったり(そのくせソビエトは健在)するんですけど、それすらも、この真相のために、そうでなくてはならないのですね。
人類は、空想と言う名の翼で、ここまで自由に宇宙を翔けることができるのだなという感じです。とか言ってみたり。
[bk1] [amazon]