「行かなきゃですー。クイーンのところに行くですー!」(シークン)
いきなり前言を翻すようですけど、このOP、かなり良いかもと思えてきました。日常シーンがないのは、そうでなくてはならないのですね。
さて。プリキュア前作(「無印」って呼ぶの?)のテーマは「大人と子どもの対決」だったというのは最終回に書きました。これは私のオリジナルな主張でもなんでもなくて、既に多くのプリキュアン論考サイトで言われていることですが、では今シリーズでは何故、敵側に少年の存在がいるのか。味方側らしき九条ひかりともども、まだまだほのめかし段階ではっきりとはしていませんが、すくなくとも今回のラスト、闇(ザケンナー?)が少年の体に吸い込まれる描写があったりして、彼がジャアクキングの遺志を継ぐ者であろうことは間違いありません。この設定は何を示しているのか。
それを考えるヒントは、図らずも再登場した藤P先輩にあると思われます。最終回、卒業式だけでスルーされたかと思っていた彼ですが、しっかり高等部に入学していました。そして登校時になぎさと出逢い、つかの間とはいえ並んで登校します。この「並んで歩く」という描写は前期にはなかったと記憶しています。つまり、文字通りなぎさが藤Pと「肩を並べる」という意味ですね。
はじめは単にサッカー部の練習を遠巻きに眺めるファンダムの一員でしかなかったなぎさ。しかし、藤Pの幼なじみであるほのかと出逢ったことで、その構図が変わりはじめます。なぎさが「プリキュア」となったことと、藤Pとの関係が変わっていったこととは並列関係にあります。8話ではそのことにより、ほのかとのケンカをしてしまうという展開があったことは忘れられません。そしてキリヤの登場。キリヤがサッカー部に入部し、ほのかに接近していく中で、バックグラウンドでなぎさと藤Pとの関係もある意味の進展を見せ始めます。農家のお手伝いをしたとき、ほのかを偉いと言ったなぎさに安心する藤P。このときはまだ、「幼なじみの友人」、それも年下の、という見方だったというのが明らかです。しかし、時間が経るに従って、だんだん藤Pのなぎさを見る目が、ほのかを通したものではなく、一対一のものになっていきます。シリーズの終盤では、土手に並んで腰掛けたり、いっしょに雪だるまを作ったりもしました。
たとえ「藤P」と気安く呼ばれようと、彼がなぎさにとって尊敬すべき「先輩」であることは確実です。それも、ほのかと非常に密接な関係にある。ほのかと同じ科学部の先輩であった小田島友華の描かれ方を考えると、その差は歴然。それは藤Pが「異性」であるということがやはり大きいでしょう。ほのかと出逢った当初、彼女はなぎさにとって完璧で憧れの対象であった。しかし同性として、それは接近可能な目標でした(そして実際、物語の進展とともにその同化は達成される)。それに対して、異性であり先輩でもある藤Pは、やはりもう一段上の存在として見ていたことでしょう。それは、少しずつその距離が縮まっても、超えられない壁でした。
ここまでくると、最終回で彼となぎさの絡みがなかったのもうなずけます。あくまで無印では、藤Pはなぎさ・ほのかと対比すべき「大人」の象徴の一形態であって、その差を埋めるような接触は出来なかったのです。もちろん、あれが本当に物語としての「最終回」であるならば、最後にそれを超える、という描写も平仄が合って綺麗でしたでしょうが。
しかし、物語は続くのでした。そして実際、今回の再登場。その意図するところはもう明らかです。「並んで歩く」が示すとおり、藤Pはなぎさにとってもはや超えられない壁ではない。実際、なぎさは去年まで彼のいた「最上級生」というポジションにいるのです。藤Pの口からも、なぎさがラクロス部のキャプテンに就いたことが触れられています。もちろん藤P自身はさらに先の、高校というステージに進んでいるわけですが、それでもそれが決定的な壁であるような描かれ方はされていません。なぎさは着実に、大人の階段を上っていっているのです。それも、幸せを自分の手でつかもうという想いを持って。
ということで、もとに戻って洋館の少年の話。今の話を敷衍すれば、今シリーズのテーマはおそらく、「ふたりが大人になるための試練」でしょう。そのために、敵側も今までのような「大人の象徴」ではなく、彼女たちと近しい目線にある少年に設定しているのでしょう。それも、彼女たちのように自覚的に大人への道を進もうとするのではなく、外的要因によって邪悪な意思を持たされるという。具体的に、それをどう描いてくれるのか、今後楽しみです。
そしてもうひとり、忘れてはいけない九条ひかりについて。まあ恐らく、クイーンの命と心を受け継いでいることでしょう。彼女が、アカネさんの従妹であるということにされたのも面白いところ。アカネさんも、無印のラストまわりで役割を保留されたひとりでした。前回のほのかが発した伏線どおり、たこ焼き屋から、スイーツ全般の店へと改装した彼女の店。以前にも夏季限定でかき氷をやってましたし、不況に負けず売り上げUPを目指すということでしょうか。いつかのなぎさが言った「希望を忘れなければ、明日はきっといい日になる」という言葉を受けて発奮した、とも考えられます。そう、彼女もまた、「大人」のひとつの姿。そんなアカネさんとのつながりを九条ひかりが確保したという展開。これは、いつまでもなぎさの家に番人や長老がいるという困難解消も視野に入れて、ひょっとしてアカネさんも秘密を共有することになるのでは、と妄想が膨らみます。
ところで、そんな文脈とはあんまり関係なく、シークン@永野愛がめちゃめちゃかわええ〜。CVがよし美先生と同じ方とは思えません。まあ、これも深読みすれば「大人と子ども」の関係にこじつけられそうですが。seek(探求)の名を冠されて好奇心旺盛なシークン。あの無関心そうなクイーンの志とはとても(おい)。鏡を見ても「これなんですか?」と訊くということは、彼女自身にはまだ知識が宿っていないのですね。無垢(イノセンス)な状態といえそうです。今回も勝手に飛び出していったし、次回予告を見ても、どうやら無印二期のポルンと同じ構図がくり返されているようですね。メップル、ポルンから、厄介者の役が受け継がれていくのも面白い。大半はなぎさが被害者だというのは変わらないのですが。ま、とりあえず商品展開よろしく。
投稿者plateau: 2005年02月13日 10:47 [2005年1-3月アニメ感想] [ふたりはプリキュアMaxHeart]