2004年10月13日(水)

綾辻行人「暗黒館の殺人」下(講談社ノベルス)感想

綾辻行人_暗黒館の殺人_下

 ようやく読了の運びとあいなりました……。上巻と合わせて一ヶ月、「館」の世界を十全に堪能できました。

 もう、まさに綾辻行人ならではの作品という感じ。自身の手によって勃興した「新本格ミステリ」のその後に対する、これが綾辻さんなりの返答であったのではないかと思います。後進の作家・作品に対する意識が端々で見受けられつつ、それが物語を邪魔しない程度に押し込められているあたり、さすがだと思いました。
 館シリーズならではの、枠組み自体に仕掛けられたトリックについては、やはり前半で予想した通りでした。たしかに、あまりにもあからさまで逆に怪しかったんですが、そうこなくては! ある意味、そういう思いを抱く読者の存在があってはじめて成立する作品ではないかと思います。言うなれば、「暗黒館の殺人」という作品は、綾辻行人という作者と、長年それを待ち続けてきたファン(=アヤツジスト)との共同製作(あるいは共犯)によって生まれた作品なのですね。

 こと小説については、ネタばれトークする気はまったくないので、どうにもまどろっこしい表現になってしまうのですが、まあそんな感じです。あるところでは、やっぱりそうか! と納得しつつ、またあるところでは、まさかそんな! と驚嘆しつつ、そしてラストでは、このシリーズを読み継いできたことに心から幸せを感じる、そんな作品でした。
 それにしても、これだけ長い作品でも、読みたい! むしろ、読まなくちゃ! と思わせてしまうところが、一番の綾辻マジックだったのかもしれませんね(といいつつ、次作は出来ればもっと短く……)。
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投稿者plateau: 2004年10月13日 20:33 [読んだ本の感想]