2004年07月03日(土)

奈須きのこ「空の境界」下(講談社ノベルス)感想

「関係あるよ」(黒桐幹也)

注:以下、なんとなくネタバレ風味です(何)。

 ようやく読めたー。
 いろいろと書きたいことはあるんですが、なるべく簡潔に。
 うん、まあ。
 この作品の主役は黒桐くんだったってことですね☆(☆って言うな!)
 ……いや、戯言じゃなくて。
 彼の生き方は、本当にすごい。たしかに昨今の小説ではよくあるキャラ造形ですが、それは原因と結果とどちらなのか(たぶん両方)。彼にスポットを当てて作品を読み返してみると、まったく世界が反転するかもしれません(いや、時間ないしやりませんけど)。この作品にはそういった二面性がすべてに効いていて、それはキャラ(両儀式と織、黒桐幹也と玄霧皐月とか)やストーリィの面だけじゃなくて、上巻と下巻の装丁や栞にもちゃんと現れています。で、下巻裏表紙の「講談社ノベルスから放たれ”新伝綺”ムーブメントの起点にして到達点!」という意味不明の一文(そもそも日本語がおかしい)も、それを意識しているのかなーなんて思ったり。
 まあ、この作品の意義というのは、笠井潔さんが解説でいろいろと書いておられるので大筋そんな感じで。上巻を読んだときはびっくりしましたけど(ちなみにアクセス解析での検索ワードを見ると、そういう方は多数おられたようで)、たしかに伝奇小説の歴史なんてものを知らない大半の読者にとっては、蛇足に思われようともそれを知らせる意味で、意義はあると思います。ネタばれはこの人に限っては、自作ですら平気でやってるんでいいでしょう。
 けっきょく、大筋も、用語も、既存の作品群をしっかり踏まえていながら、その上に新しい時代性を感じさせる。その意味ではたしかに綾辻行人「十角館の殺人」[amazon]を思い起こさせ、「新本格」のムーブメントを起こした同シリーズ(正確には第二作「水車館の殺人」のオビが初出)になぞらえて「新伝綺」と銘打った文三(というか太田編集)の気持ちも、わからなくはない。
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投稿者plateau: 2004年07月03日 01:46 [読んだ本の感想]