本当に、圧倒的なまでの世界の構築力だと、流水大説を読むたびに思います。
日本だけでなく、世界中の「ティーンエイジャー」が集い、そいぞれがひとつの「キャラ」になりきって電脳空間上の「学コウ」に通うオンラインゲーム、「キャラねっと」ーー。そこで出逢った池丸大王と、神宮べる。ネット上で起こるさまざまな事件に、彼らは立ち向かう。
きわめてライトノベル的な骨格、キャラクター小説の色合いの濃い作品でありながら、やはり完全たる流水大説の世界がここにある。流水大説はミステリよりもライトノベルに近いとよく言われるようですけど、違いはやはり圧倒的な突き抜け感。凡百の作品なら、小手先の異世界ファンタジィの手法でかりそめの世界観を見せつけるところが、流水大説は違う。そのほとんどが極めて現実世界に肉薄した世界を描きながら(たとえばこの作品にも、あるいは「トップラン&ランド」シリーズに顕著なように、現実の出来事を仔細に描写していく手法は、語義的に正しく確信犯的なもの)、結果として顕在する世界はあまりにも異形なものになっている。それこそが、現実よりもリアルな世界を創り出し、あるいは文庫版「カーニバル」のように現実までも改変してしまう流水マジック。「人間が描けていない」「キャラがあり得ない」などという批判はまったく正鵠を射ていない。ネットという仮想世界で、あるいは作品の中の現実世界で、キャラは確かに「翔けて」いる。そして清涼なる文ショウの美技を、ご堪能あれ。
うわははは。完全なる流水肯定派として褒めまくってしまいました。正直、JDCシリーズよりもこういった作品の方が好み。「めいきゃっぴキャラねっと」なんか木村彰一シリーズを彷彿とさせますね。(注:木村彰一シリーズーー幻冬舎ノベルス版「エル」「ユウ」、幻冬舎文庫版「全日本じゃんけんトーナメント」「億千万の人間スキャンダル」。とくに後者はまったく違う結末が楽しめます)
3月発行なので「このライトノベルがすごい!」の投票対象にならないのが惜しまれます。
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