「幻か……。本当は、もっとずっと眩しく輝いてる人なんだがな」(ブラックジャック)
うん、今回も良質です。
ブラックジャックって、なかなか口に出す言葉で本心を表さないキャラクタなので、ピノコとの会話の中でその真意を汲み取っていく過程がなかなか楽しいです。今回は、その流れに主旋律となるストーリィがうまく乗っていたと思います。事故現場に遭遇し椎茸先生と出逢ってから、秋祭りの浴衣をねだるピノコの願いをすんなり聞き入れているところが注目に値します。そして六等星の話へ。なるほど、たしかに星の等級はその絶対的な大きさよりも地球からの距離に依るところが大きいですね。こういう綺麗な比喩があるから、ありがちな話でも面白く見られます。もちろん、原作の発想の順番としては逆なのかもしれませんけど。
そして秋祭りー。おおー、今年ラスト浴衣はピノコでした(こだわるな)。花火を見てブラックジャックの肩に寄り添うピノコ……と思ったら地上で花火が暴発! このあたりもシーンごとのつなぎ方が巧いです。
横領事件直後とはいえ、病院に執刀医がいない状況というのもどうかとは思いますが。それに便乗して、いつもより更にふっかけるブラックジャック、というふうに傍目には見えるのでしょうね。椎茸先生を発奮させるため、と私は見たのですが。私利私欲に走らない態度は立派でも、院長として皆をまとめるためには、それなりに率先したリーダーシップが必要でしょうから。
そして家路につくブラックジャックとピノコ。ここでの、ブラックジャックを気遣うピノコがすごく好きです。いつも孤独で、嫌われてばかり……という。閉鎖的な日本社会の対極に位置する、それ故にまたきわめて日本的なヒーローの理想像なんですけど、やっぱり良いなぁと。
ラスト、ブラックジャックを孤高の一等星に、自身をそれに寄り添う星にたとえるピノコ。良いシーンなんですけど……だから地球から見て近くにあっても、本当は何百光年も離れてるかもしれませんって!
ところで、救急隊員の口から「○○になります」というセリフが出たのがちょい違和感。無理して現代風にしなくていいよ……。
あと、どうでもいいけど「ピノコの日記」ってブラックジャックのセリフ限定じゃなかったのか……。かぶらないようにセリフを選ぶのがちょっと大変かも。