「本当より、嘘のほうがずっと頼れるから」(北島カレン)
いい! こういうショートショートっぽい連作短編って、久々に読んだ気がしますけどやっぱり好きですね。「ゼロヨンイチロク」の続編という訳ではないですが、共通するキャラも出てきたりする趣向も良い感じです。
裏表紙にもあらすじが載ってるので大丈夫かとは思いますが、一応ネタばれ注意報。
「動揺すると、自分のまわりでよくないことが起きてしまう」と、極力他人との関わりを避けている少年・西村祐胡(ゆうこ)。まずこの性格づけが素晴らしい。心が揺れない、揺らさないキャラってすごく好きで、自分自身もけっこうそれを目指してるところがあるんですけど、だからこそ実際にそれを行動に移すのは非常に難しいというのも身に染みて判っているつもり。だから、祐胡がさまざまな人物に出逢い、不思議で妖しい体験をするたびに、彼の細やかな心の揺れが彼視点の文章のすみずみから伝わってきて、それがとても切なくて、たまらない。
連作短編としての構成も完璧で、本来的にはどのエピソードも切り離せない一群の物語なんですが、いちばん気に入ったのは「第五話 a quirk of Fate」。訳すと「運命のいたずら」ですね。各話ごとに都市伝説らしい趣向が凝らされているんですが、とくにこの話では運命にまつわるネット上のサイトという現代的ツールと、絵本という古典的アイテムを綺麗に融合しています。そしてなんといっても、祐胡の妹想いなところがいちばん現れていて良いですね。妹のまみの仕草もかわいいし(けっきょくそこに話は行きつくのか、というツッコミは受けつけません)。
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