さすがはメフィスト賞受賞作だなぁと思う。すべての受賞作を読んだわけではないけれど(15/31)、とにかく毎回いろんな意味で予想を裏切ってくれる。今回はもちろん良い意味で。しばらくアニメばっかり観て小説を読む頻度が落ちていたけれど、やはり小説を読むことでしか得られない体験もある。ご都合主義的な学園アニメだとか、純愛ドラマだとかでは決して得られない感動だった(それらの存在意義を完全に否定するわけではもちろんないけれど)。
中巻を読んだときまでで、死んだ人間は誰かというのはほぼ予測はついていましたけれど、こういう展開とまでは読めませんでした。確かに、叙述上ひっかかっていたポイントではあったんですけど、結びつけられませんでした。
この下巻だけの構成をみても、非常に重要な意味を持ってくる、ある章。途中では「なんで?」と思ってしまったけれど、そのエピソードの終わりには感動。そして、読み切ってあらためて納得。さまざまな伏線が綺麗に収束していくのが美しく、悲しく、そして切ない。見事だなぁと思います。名前の意味も、個人的には「たぶんこういうことだったんだろう」と納得。
本格ミステリィのひとつの肝は、真相が明らかになって、それまで見えていた世界が一瞬で反転するところにあると思いますが、ともすればそれで後味が悪くなってしまうこともしばしば(それを狙った作品も多いですが)。この作品では、その反転はたしかに衝撃でしたが、その後の世界もなお美しく、違和感がないのがすごいです。
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