第31回メフィスト賞受賞作。「辻」の字はほんとは二つ点です。デビュー作から北見隆装丁、なんてうらやましい。
とりあえず萌え作品ではありません。作者にも萌えません(失礼)。っていうかメフィスト賞って、純粋に萌えと言えるのって西尾維新くらいでは? 佐藤友哉は明らかにフェイクだし、霧舎巧も萌えとは一線を画す発言してましたし……。森先生は一部作品は萌えますね(ZOKUとか)。あ、石崎幸二がいたか……。
なんにしても、萌えなんてけっきょく読者個人が感じるものだから、本当は作品自体に付与される属性ではないと思います。
おぉ、こういう作品とは思いませんでした(作品を読むときは極力先入観をなくしたいので、裏表紙とかのあらすじさえ読まないタイプ)。なかなかに素敵。
なんかこの設定、私的冨樫義博さんの最高傑作・「レベルE」のあの話[bk1][bk1.jp] [amazon]と似てるなーと思ったら、ネタ本同じみたいですね。というか、あの作品では陽に描かれてませんでしたが、バカ王子が一人とり残されたのって、ちゃんと意味があることだったんですね(まどろっこしい感心の仕方)。
なんとなく懐かしい気分になるのは、たぶん自分がその時期を過ぎているからで。恩田陸ほどの意図的なノスタルジック趣向ではないと思います。青春群像ミステリィ(そんなくくりがあるかどうか知らないけど)らしく、「犯人探し」めいたものはあって、各キャラの過去は少しずつ明かされていくけれど、それほど露骨ではないというか、さらりとした感じ。といって、まだ上巻だからかもしれませんけど……。とりあえず、シーンの描写は静かなうえに印象的。
しかし、三部作という趣向は良いですね。一冊が長過ぎず、しかも続きがかなり気になる。これは中・下も買い決定。それにしても新人作家でこれだけ気になるんなら、西尾維新の「ネコソギラジカル」三ヶ月連続刊行なんて、耐えられるのだろうか。
ところで、鷹野「博嗣」というネーミングは、主人公の辻村深月とあわせて「犯人じゃない」という符号ということでいいんですかね? 作者の変な願望ではないと思いますが。
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