2005年11月30日(水)

竹本健治「フォア・フォーズの素数」(角川文庫)感想

竹本健治_フォア・フォーズの素数「これは僕の遊びなんだ。誰にも邪魔はできないよ。だって、道具は必要ないんだものね。ないものを取り上げることなんて不可能さ」(カイ君)

 新幹線の車内で読了。

 竹本健治の第二短編集。印象をひとことで言えば「静謐」。たしかに「閉じ箱」ほどの濃密さはないんですけど、狂気と正常の間を揺らぐ登場人物の心理描写が毎度ながら卓越してます。最初はわけ判らんと思いつつ、後半に行くに従ってどんどん幻惑されていきます。
 一編選ぶとするなら、表題作もたしかに突き抜けてますけど、「白の果ての扉」の発想力が驚嘆に値しますね。味平だと思ったらいつのまにかCanvas2に(違)。「フォア・フォーズの素数」はですねぇ、たしかにこんなん書くのこの人くらいでしょうし、面白いんですけど、オチがちょっとご都合主義的っぽかったのが気になりました。「非時の香の木の実」はオチが綺麗。こんな作品を綺麗と形容するのはどうかとも思いますけど、少なくとも道行は非常にストレートで予測可能。その道をしっかり舗装されてるとこが小説的に綺麗という意味でして。
 あと、「チェス殺人事件」と「メニエル氏病」がようやく読めたのが嬉しかったですね。ゲーム殺人事件シリーズは角川文庫版でしか買ってないんで。「メニエル氏病」はたしかにすごいけど、最近じゃこのくらい普通かも(笑)。

 にしても、これを「秋のミステリー」のラインナップに加えるとこが角川文庫クオリティ。まあ、「閉じ箱」もホラー文庫から出てたりしますし、そこはそれ。
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投稿者plateau: 2005年11月30日 19:29 [読んだ本の感想]