2005年04月18日(月)

「ブラック・ジャック」Karte:23 土砂降りのち恋(よみうりテレビ)感想

「じゃあ、お茶漬けをください」(BJ)

 素晴らしい。ほとんど完璧な回です。約一名のキャストを除いては! まったく、このアニメまでゲスト声優が出てくるのですか。お笑い芸人って、けっこう演技が巧いと思ってたんですけど、認識を改めるべきですね。

 まあ、それは忘れて。今回はそのまま一時間ドラマにも出来そうなくらい、いろんな内容が詰め込まれていました。そのせいで、情緒的なシーンでもちょっとカメラワークが早いなと思ってしまったんですが、まあ許容範囲。いろんな要素があっても、ラストですべてつながってくるのが圧巻。
 かつて一本のメスを借りた男性を訪ね孤島に赴いたBJ。しかし彼は土砂崩れで亡くなっており、かわりに出逢ったのは同じ島で内科医をしている彼の妹・清水きよみ@沢海陽子。BJが渡そうとした「私の宝物」だというメスって、もしかして二年前のスペシャルでやったアレですか!? この作品、地味に小ネタを仕込んでくるからその可能性は十分にありますね。しかし、「自分は内科医だから」と受け取りを拒否する清水先生。その夜、嵐の中、島の子供たちが集団食中毒にかかったという報せを受け、助けを求められたBJが「私は外科なんで」と仕返しをするのが楽しい(そもそもトリビアでやってたとおり、基本的には医者は何を専門として掲げようが自由)。
 と思ったら、BJが診療所に残ったのは崖崩れに巻き込まれる患者を予想してのことだった! ここで、清水先生にとってBJの印象が「嫌な感じの人」から「素晴らしい先生」へと転化するのが絶妙。そのあとも、BJに対して失礼な口をきく村の子供に怒ったりするシーンとか、清水先生の作画が実に萌え萌え(笑)。しかも、帰りを待つピノコまでも前回に引き続き美麗作画なのが心憎い演出。ピノコの存在があるから、BJはけっして島の美人女医さん(ピノコ談)になびかないわけで。手料理を作ると言い張る清水先生に、毎日お茶漬けでいいと、つれないBJです(それすらもピノコにはばれてますが)。清水先生の切なさが引き立ちます。
 そのあとも実に良い。「兄が崖崩れで亡くなった」という設定が、単なる設定に終わらずに最後まで彼女の行動を支配する。完成した講堂の記念式典の場で、「こんな講堂を造る金があったら崖の整備を」と訴える彼女。BJを追って島を出ようとまで思いつめながらも、崖崩れに逢いそうな児童たちを助けようと無我夢中で飛び出す彼女。彼女や児童の手術代を講堂の建築費から回せと言うBJにも喝采(そ、そのせいで教頭なんかにセリフをしゃべらされる羽目になったのだが……)。
 生死の淵をさまよう清水先生にメスを手渡すBJ。これで思い残すことなく死ねると言う清水先生にBJは「きよみさん、死ぬなんて言うんじゃない」。と、清水先生は「はじめて私の名前を呼んでくださいましたね」……うおー、もう最高。このエピソード単体なら「殿堂入り」レベルです。
 このまま、物語は珍しく悲劇的な結末を迎えるのか、と思いきや、ちゃんとハッピーエンドでした(まあ、清水先生にとって最高の結末かは判りませんが)。これまでもこの作品は、BJというはぐれものの医者を主人公にしていながら(あるいは、だからこそ)、しっかりと自分の居場所を持って奮闘する医師というものに最大級の敬意を払ってますから、この島が必要としている彼女が生き延びたことは当然でしょうな。そして、それに呼応するように、BJの帰る場所はピノコのもと、というラストもこのアニメ版BJとしては実に正しい。

 やっぱりこのアニメ、地味におもろいな〜。これがあるから、日曜深夜のKBS京都アニメを切って正解だった(忘れましょう)。

投稿者plateau: 2005年04月18日 23:11 [アニメ感想] [アニメ/ブラック・ジャック]