「なのは……。なのはは、ちゃんとやってくれてる」(ユーノ・スクライア)
DVD視聴第三弾です。そういえば、これを観る前にもう一度サウンドステージ01の「2.5話」を聴けば良かったなと後で気づきました。この位置に置かれることで、シリーズ構成の意図がいっそうはっきりします。
さて、これでひととおりDVD1巻を観終わったのでやっと言えます。
「これのどこがCCさくらだ!」
本放映時、あまりにもそこかしこで言われていたんで、あえてアンチテーゼを唱えたくて仕方ありませんでした。言えて良かった。
まあたしかに、表面的には今回こそがもっとも「似てる」と言えなくもない。でも、物語に託されたものが全然違うでしょうよ。
それは当然といえばあまりに当然のことで、向こうは全シリーズ合わせれば七十何話もある長期シリーズ。こちらはわずか一クール、13話の物語(第二期もあるという噂ですが、ひとまずのところは)。全体としての尺の違いがあるのですから、おのずと描かれるべき中心軸も変わってきます。CCさくらでは「守るべき、変わらない日常」を何十話もかけてくり返し描くことが可能だったのに対し、一クールの「なのは」ではそれは叶わぬ話。だから、そのエッセンスをぎゅっと凝縮して、ほとんど第二話と第三話だけで描こうとしてしまったということでしょう。それも無謀な話ですが、おそるべきことに、なんとか成功を収めているように見えます。
二話でユーノくんの手助けをするために「魔法少女」になることを決断した高町なのは。その決意が今話で、さらに一段の深化を見せます。ジュエルシードの気配を感じていながら「気のせい」と思うことで被害が拡大してしまったことを悔やむ彼女。ユーノくんの「なのははちゃんとやってる」という言葉は、まさにその通り。結果だけ見れば、街を侵食したジュエルシードをしっかり封印している。被害は元通りになるわけではないけれど、普通の魔法少女としては充分な役割を果たしています。この結果を「めでたしめでたし」で締めてもおかしくない話なのに、逆になのはが「二度とこんなことにはしない」と決断する展開になっています。それが唐突に思えないのも、高町なのはという少女の性格設定が優れているからでしょうね。
物語の中で、「日常を大事に」という物言いはよく出てきて、私も各種の感想でよく使ってしまうのですけど、よく考えるとそれには二種類あるのです。ひとつは、「日常」とは言っても、その作品の中だけでくり返される出来事。たとえば魔法少女もので、毎回敵が現れてそれを倒す……というのも「魔法少女としての日常」であって、こちらに分類されます。そしてもうひとつは、まったく事件も何も起こらない、つまりドラマになりえない「日常」。本質的にはこちらこそが本当に大切な「日常」なわけですが、これはそもそも、物語の中で描くことが非常に難しい。だから大抵の作品では、「日常が大切」と言いながら、それを前者の「日常」と微妙にすり替えているわけです。もちろん、それは作品作りの方法として有効なものであって非難すべきものではないですが。
ところが、「リリカルなのは」においては、本質的に困難とされている方向を選択したわけです。すなわち、「魔法少女としての日常」を描くスケジュールが確保できないために、むしろ一足飛びに「本当の日常」のほうにより目を向ける結果となっています。これがおそらく、対比として次回での「ライバル魔法少女」・フェイトの登場にも効いてくることでしょう。
また、それを補強するものとして、なのはと直接に交わらないモブキャラの描き方がとても丁寧で良い。具体的に言うと、サッカーの試合の審判をしてる男の子がすごくかわいかったです(あのな)。いや、冗談ではなくて。今回、ジュエルシードを手にしてしまい、被害者となった少年とその彼女。CVが久川綾さんと谷井あすかさんというのも、その存在感の大きさに力を貸しています。それにもかかわらずEDのキャストでも名前は与えられていない、というのも注目すべき点。最終回の展開を先に知ってしまっているおかげで、この作品で「名前」というのが非常に大きな比重を置かれているというのは既知の事実。今回も、冒頭でなのはを起こすシーンといい、ラストで落ち込むなのはを励ますシーンといい、ユーノくんがしつこいくらいに「なのは」と名前を呼んでいました。それに対し、名無しの彼らは「なのはの物語」とは一瞬しか交わらなかった。それでも、そんな彼らにも彼らの日常がある。それを感じ取ったからこそ、なのはは自らの責任の重さを自覚したのでしょう。
ううむ。TV放映に遅れてのDVD視聴というのははじめてなので、他所と違ったことを書こうとすると、どうにも冗長な感想になってしまいますね。まあともかく、次回はDVD2巻が届けば24日ごろに視聴&レビュー予定。その日までに届かなかったら、まあ、今月末か来月頭くらいをめどに。
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