注:最終回直前のためいつも以上に致命的なネタばれ&最終回の予想があります。くれぐれもご注意ください。
「関係なくなんか、ないよ……」(綾瀬貴子)
これはすごい。全編の構成がただものではありません。
前半、これまでの正治との思い出を振り返りつつ、迷いを抱く美鳥。月が陰る瞬間、美鳥の姿は画面からフェイドアウト。残されたのは、手編みのマフラーと、これまでの日々をつづった日記(ラジオ風に言うと「美鳥のラブダイアリー」)。朝目が醒めたら美鳥がいない……というのではなく、夜中に目が醒めて気づく、という趣向で来るとは思いませんでした。これは禁断(?)の夢オチの線を消す意味もあるのでしょうか。Aパート最後、意味ありげなマフラーと日記のシーンで終わりつつ、Bパートで触れられていないことから、次回、最終回にもこれが効いてくる可能性は充分にあります。で、実は以前私が予想したラストというのは、正にこの日記が関わってくるもので(予想としては「朝目が醒めたら……」というものでしたけど)、まあ端的に言うと、みたいな感じ。この作品でも本当にそれをやられたら、ひょっとして泣くかもしれません。
そして後半。アイキャッチでも美鳥の姿がない! これにはやられた、というかもうすでに泣きそうです。それなのに正治の態度がこれですよ、これ! いや、悪いと言ってるんじゃないんです。毎度ながらこの作品、本当に語義上正しく確信犯的にこういう構成をやりますね。ここで正治が美鳥をあからさまに寂しがったり、すぐに喧嘩の場面に入ったりしないで、いかにも男子高校生らしい情動にかられるのがやけにリアルで。そして、そんなアップテンポなBGMに乗せた正治のシーンの後、場面は綾瀬さんへ。この緩急のつけ方がすごい。シリアスなストーリィを作るにも、こういった落差をつける方法は個人的にも好みです。
ついに綾瀬さん告白。ここでも、他の作品でさんざん気にしてきた「関係ない」という言葉が使われてますね(そういえば、いまだに読んでる途中の「空の境界」でも黒桐くんが「関係あるよ」と言ってました)。それに対して、ようやく自分の中の妄想ではない、本当の正治と向かい合おうとする綾瀬さんは「関係なくなんかない」という言葉を投げかけます。交わらなかった二人の気持ちが今、ついに向き合うことに。しかし、ああしかし。
後半は、美鳥の描写が極力抑えられていて(本体が目覚めるシーンと、ラストの窓辺の陰鬱な美鳥の姿のみ)、視聴者もより不安をかき立てられます。元の姿に戻った美鳥の心に去来するものは、そして正治はどうなるのか。
次回予告もやはり、美鳥の声は入らず。この分でいくと、最終回はOPとEDを入れ替える可能性が高いですね。これもよくある手法ですが、以前言ったとおり「美鳥の日々」という作品が良質なシミュラークルだと仮定すればうなずけます。そういえば初回も、ちゃんと美鳥が正治の右手になってからOPがかかりましたからね。
ただ、おそらく美鳥がまた正治の右手に戻るというラストはありえないだろうと思います。そりゃそーでしょうけど。それでも、なんらかの希望が感じ取れるラストになることは期待したいと思います。