2004年06月12日(土)

海猫沢めろん「左巻キ式ラストリゾート」(イーグルパブリシング)感想

現実なんて見たことない。ここが僕の世界のすべて。
(オビ文より)

 ゲーム「ぷに☆ふご〜」の原作者自らがその世界を再構築した小説。ゲームのほうはまったく知りません。
 言っておきますが激しく18禁です。正直本文一ページ目で読むのやめようかと思いました。でも、読んでいくうちにその狙い、というか「やりたいこと」が見えてきました。ラストでは感動すら覚えました。感動、と言っていいのか……うん、ある意味感動ですね。少なくとも、ここで紹介するだけの価値はあると判断した次第です。

 12人の女の子たちが生活する、閉じられた学園。そこに、「外の世界」から現れた僕。狂気の犯行予告。そして実行される、一日二回の凶行。謎解き。暗号。犯人探し。
 いわゆる本格ミステリ形式を借りて語られる、出来合いのエロゲー的展開。
 その先に現出する、「犯人」の動機とは。

 けっきょく、本格ミステリの世界でたとえば鯨統一郎が「ミステリアス学園」(光文社カッパ・ノベルス)でやったようなことを、このジャンルでもやってしまった、みたいな感じでしょうか。
 ギャルゲー的いわゆる「お約束展開」とか、典型的な萌えキャラ属性というのが、ミステリにおける掟(ノックスの十戒とかヴァン・ダインの二十則みたいな)と出来合いのトリックに対応しているのは一目瞭然のことで。それを単に組み合わせて作られる作品を批判するのは簡単だけれど、ことはそう簡単ではない。
 キャラも世界も物語も、すべてが解体されて、あとには何も残らなくて、
 それでも、
 それでも?
 それしかもう、自分にはないんだなぁという感じ。
 なかなかうまく書けませんが、とにかく、このラスト5ページは圧巻。
「萌え〜」とか言ってて、「でも、けっきょくそれってなんなんだろう?」なんて思ったりする方は、読んでみてもいいかも。
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投稿者plateau: 2004年06月12日 15:54 [読んだ本の感想]