2008年05月15日(木)
「魔法使いTai!」TVシリーズ(AT-X)感想
■裏・おジャ魔女
OVAシリーズの後に制作されたTVシリーズ。監督は引き続き佐藤順一。本放映は「おジャ魔女どれみ」(無印)と同時期だったようで。今回も■脱・魔法少女クラブ
しかし、当然ながら想定する主視聴者層の違いから、ずいぶん作風が異なっています。OVAでも、いわゆる「おっとな〜」な描写はありましたけど、本作はさらに別の側面から「魔法少女」という存在、魔法というものの意義について掘り下げようという試みがなされているようです。ただ、それが最終的に成功しているかは疑問の残るところではあります。押井守になったり、がくえんゆーとぴあを作ったりしつつ、後半はひたすら暗くてよく判らない話が続いて、魔法少女ものの陽的なカタルシスが感じられなかったのは残念(そもそも、そういうものを期待すべきじゃないのかもしれませんけど)。「魔法は人を幸せにするの?」という問に対する解答は、アルスちゃん率いる魔法少女隊の登場を待つことに。■ふたご姫のたまご?
さて、では本作が、のちの佐藤順一作品に与えた影響を考えてみると。絵コンテ・演出陣に河本昇悟や藤本義孝(!)がいたりして、プリンセスチュチュを経て、魔法少女ものの変形とも言える「ふしぎ星の☆ふたご姫」にまでつながっているのかな、と思います。高倉先輩の天敵・深山瑞葉(高飛車女)の取り巻きにも、ふたごの生徒がいたりしますし(残念ながら男ですが)。深山瑞葉みたいな役どころは、アルテッサ@水橋かおりというツンデレキャラに進化を遂げるわけですが、中の人である佐久間レイはマイメロになったりして、つくづく深遠なるアニメ史を思わせます。23:10 Permalink
2008年05月14日(水)
西澤保彦「謎亭論処ー匠千暁の事件簿」(祥伝社文庫)感想
■タック&タカチシリーズ
また西澤作品が何冊かたまったので、読み進めます。今回はタック&タカチシリーズ(命名・森博嗣)。その名の通り匠千暁(通称タック)と高瀬千帆(通称タカチ)、その他数名のキャラを中心とした連作。これに限ってはシリーズ何作目かというのは意味をなしません。出版社もバラバラ、描かれる作中の時代もバラバラという、時系列レーベルくるくるシャッフル状態なので。とくに今回は短編集なので、一冊の中でも時系列が錯綜。■酩酊のロンド
しかし、それでも読みにくさがまったくないのは、ひとえに酩酊推理ともよぶべき、このシリーズの特異な謎解きスタイルにあるでしょう。彼らの前に立ち現れる不可解な謎。それを酒の肴と、あーでもないこーでもないと杯を交わし酌をくみくみ、もはや妄想の領域に達するような「真相」に至る。時が流れ、彼らの立場や関係が微妙な変化を遂げても、それは変わらない。ねこは時空を超える生き物といいますが、この場合、トラも時空を超えるのでしょうか。同じネコ科ですし(誰がうまいこと言えと)。■時ならぬ悪意の奔流
そんな感じで表面的には軽快なタッチの作品なのですが、そこはそれ西澤保彦。いつもながら、謎の真相に潜む、人間の悪意が鮮烈。「時ならぬ悪意の奔流」というのは、作中人物が漏らした言葉ですが、言い得て妙。町の交差点の曲がり角で、駅のホームから列車に乗り込んだ矢先で、学校の体育館裏で、ふとした瞬間に否応なく目にしてしまう悪意。この人はひょっとして、現実に存在するそんなものに耐えられなくて、作品の形で昇華しようとしているのではないか、そんなことも思ってしまうのです。どの一篇をとっても、膨らませれば鬱アニメの一クールくらい作れそうです。2008年05月13日(火)
「極上生徒会」第1話 拝啓、ミスター・ポピット(コナミマルチメディア)感想
■極上声優陣
「Solty Rei」や「なのA's」と迷ったりもしつつ、今週からの再見アニメはこれに決定。これも何度観ても楽しめるというか、幸せな気分になれるというか。ここまで幸せオーラ発生装置な作品というと、他には「Φなる・あぷろーち」ぐらいじゃないかと思います(今期だと、今のとこ「かのこん」が匹敵するレベル)。「砂沙美☆魔法少女クラブ」は別の意味で幸せになれたりしますけど……。ともあれ、この幸せ感の要因のひとつとして、やはり声優力というものを挙げないわけにはいかないでしょう。第1話から、西の田村ゆかりさまに東の斎藤千和嬢を配する鉄壁の布陣。田村ゆかり脇役最強説を採る私ですが、こう全編しゃべり通してくれると、最高です貴女っと言わざるをえません。まあ、この作品の場合、そのうち主役なのに目立たなくなるので……(なんてことを)。
■エクスキュースなしの導入
シリーズ構成的に、この第1話を捉えると、あらゆることがエクスキュース(言い訳)無用に進んでいくのが最大の注目点。「理屈は判らんが」とか「よくわからないけど」みたいな言い回しが頻出して、ノリと勢いにまかせて突っ走るような世界観。主役であるところの蘭堂りの@田村ゆかりからして、手にプッチャンという謎の人形をはめていて、相対した人間にそれを無言ではたき落とされるがままという無茶なキャラづけ。そうやってツッコミどころを無数に分散することで、極上生徒会という舞台そのものに対するツッコミを回避しているかのよう。実際、極上生徒会の極上たる所以は次の第2話で、これ以上ないくらい簡明に描かれますので。アニメの生徒会は変人の巣窟とか、偶然入居した女子寮は美人ばっかりとか、久米田康治が言いそうな「お約束」を体現した上で、その一歩先へ進んだ世界。それこそが極上。上には上がいると言うけれど、極上には極上しかないのかも。それとも下克上?(それは清涼院流水) 一介の転校生にすぎなかった蘭堂りの、その宮神学園下克上物語が、ここから幕を開ける(そういう作品ではありません)。
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