2009年7月 1日(水)
化物サイズ:講談社BOX編「アニメ化物語オフィシャルガイドブック」(講談社)
衝撃のA3サイズ。「なのはA's」スターターブックを超えました。そりゃ化物サイズってことかい。「これは輸送用ケースです」とか書かれてますけど、まあ箱入りには違いない。
西尾維新アニメプロジェクト第一弾にして新房シャフト最新作「化物語」の魅力を放映前に味わいつくす一冊。尽くして尽くして、未だ尽きぬその魅力。原作ファンとして、あるいは西尾さんファンとして、とうとうここまで来たか……という感慨でいっぱいです。アニメ化物語のためだけに、この一年間生きながらえてきたといっても過言ではありません。否、過言ではあっても蝸牛ではありません(失礼、噛みました)。アニメ化物語があるから、このサイトを閉鎖しないでいたと言ってもいいでしょう(うわっ、生々しい)。
本の内容は……サイズ以上に、あらゆるアニメガイドブックを超越したモノに。久米田康治トリビュートイラストとかは置いといて、何より西尾維新オリジナル小説「〆に最初」(なこと写本シリーズ)が嬉しい。やたらいろんなとこで受けてるインタビューや、「めだかボックス」原作もとても良いものですが、やはり小説が最上であり最高なのです。アニメ化のオビ……。ありますね、ライトノベルじゃない小説まで最近はよく見かけます。そういう「化物語」は匣入り娘な講談社BOXなのでオビがないというメタな仕掛けまであったりして。
キャスト紹介とインタビュー。何気に忍野忍@平野綾という情報が初公開のような気がするのですが。しかしつくづくキャストがぱないのです。火憐ちゃん@喜多村英梨・月火ちゃん@井口裕香に増して台詞がないと思うのですが……。「傷物語」「偽物語」までアニメ化する気満々ですか。二期も三期も希望ですか。
そして新房昭之監督・西尾維新原作者(めだかちゃん風)の特別対談。お二人のアニメ/小説の制作論にまで踏み込んでいてとても貴重です。新房シャフトのお家芸「最終回の一話前で話を終わらせて、最終回は後日談」というのは「魔法少女リリカルなのは」の都築真紀さんに影響されたものだったのですね。今思うと、とても腑に落ちます。
では放映を楽しみにしています。真宵ちゃん@加藤英美里の才能を垣間見れれば、もうそれだけで満足です。
掘骨ワールド:掘骨砕三「クロとマルコ」(秋田書店ヤングチャンピオン烈コミックス)
書店で作者名を見てとても驚いてしまいました。「知る人ぞ知る」なんて店頭ポップがかけられていたりもした、掘骨砕三の全年齢対象作品。
「作家性」という言葉は便利なのでよく使うのですけれど、本当にその作家の性質が、どの作品をとってもにじみ出てくる人は少ない。作家名の後に「ワールド」をつけて語れる人こそ、本当の意味のマンガ家(小説家)なのだと思うのです。この方も、じゅうぶんそれに値すると思います。冒頭の表題作はちょっとマイルドかなぁと思ったのですが、そのあとの短編群はページをめくるごとに驚きが増す仕様。「次に何が出てくるかわからない怖さ」というのが、掘骨砕三作品を表す言葉だと思うのですが、それを実感させてくれました。で、実はあんまり怖くないというのもありがたかったり(チキンなので)。
この世でもっとも貴い仕事:紺野あずれ「こえでおしごと!」2(ワニブックス GUM COMICS PLUS)
職業に貴賎があるとするならば。声優さんというのはもっとも貴いものに分類されるそれだと思うのです。わけても、いわゆるえろげに声を当てていらっしゃる声優さんというのは、すべからく尊敬すべき存在だと捉えています。人に夢を与える仕事というのは、その形が何であれ、かけがえのないもの。歌手にしても芸人にしても小説家にしても、生産性からかけ離れているが故に、それはとても人間らしい所業。
ということで、ひょんなことからそんな道に足を踏み入れることになった柑奈さん。彼女の奮闘ぶりを応援したいところなのですが、まわりの人間が揃ってどうかしているので楽しんでいいのやらどうなのやら。この作者さんはTAGROか西尾維新レベルかとお見受けします。何がかは言いません。
素晴らしき文化部の世界:小箱とたん「スケッチブック」6(マッグガーデンBLADEコミックス)
「1年と3ヶ月くらいぶり」の新刊。アニメ化されてからも、もうそんなに時が経っていたのですね。最近は「けいおん!」をはじめとして文化系の部活動をテーマにした作品がアニメ化されることが多い気がしますが、美術部を舞台にしたこの作品も印象深いアニメ化でした。ちなみに同じ美術部で言えば「GA」も楽しみです(あ、田村ゆかりさんが出ておられない方の)。
しかし本作品は、すっかり美術部らしいネタが影を潜める状況に。それでいて、ちゃんと美術部らしいことしないと! というあずにゃんみたいな小動物系後輩の登場もなく。かわりに登場する新キャラと言えば、栗ちゃん先輩にいざなわれる虫たち、そしてねこねこ。あと涼風コンビは、もはや太田虎一郎の世界に近くなってきました。そりゃネコネコ部隊ってことかい。p.116 の「カーン」は天才的です。
そんなこんなで、物価高で葉月さんの食生活が心配になったりしつつも、ミケが増殖したりしつつも、基本的にはやっぱり変わらないスケッチブックの世界がそこに。なんとなく、こういうシーンが思い浮かぶのです。お気に入りのスケッチブックを使い終わった空ちゃんが、また同じメーカの同じ型のスケッチブックを買ってしまう、そんな印象。キャンバスは同じでも、描かれる風景はいつも新しい。でも、どこか変わらぬ懐かしさ。
2009年6月25日(木)
ふるふるふるむーん:瀬那和章「レンタル・フルムーン」第1訓 恋愛は読みものです(アスキー・メディアワークス電撃文庫)
中盤までの藤崎さんが好きです。メガネとっちゃダメー!
西尾維新ばかり読んでいると、ふつーのライトノベルや小説が物足りなく思えてしまうのが難点ですが、しかしこれは良い。物足りないのも物語、モノが足りないのもまた物語。世の中には二種類の人間がいて、小説という名の物語をどうしようもなく欲する人間と、そうでない人間。であるならば、間違いなく自分は前者に属する人間。そして、この作品の語り部、桐島新太くんもその一人でありましょう。
彼が立ち寄った貸本屋「満月堂」で出逢った一人の少女。そしてはじまる、怪異ならぬファンタジックストーリィ。現実を否定するでもなく、物語を否定するでもなく、ひとつの教訓を得る彼。それは正直、盲点を突かれた感じで感服しました。まったく、こんな嬉しい出逢いがあるから本を読むのはやめられない。やっぱり現実ごときが本に敵うわけがありません(その感想はどうなのか……)。
物語の終わり:西尾維新「ネコソギラジカル」下 青色サヴァンと戯言遣い(講談社文庫)
戯言シリーズ終わりの終わり。今読んでも、否、今だからこそ、この結末は胸が熱くなります。幸せって何だっけ何だっけ、それはすぐそこに。
そして終わりの終わりに続き続けるエピローグ。「あれから四年」といういーちゃんのモノローグ通り、本編から四年後の平穏。そして、現実にこの作品が講談社ノベルスから刊行されたのは2005年11月、今から約4年前のこと。極めて個人的な感傷を述べても、京都で送った大学生活、「クビキリサイクル」と出逢ったあの日から、西尾維新の作品が、戯言シリーズがずっとそばにあった。そして、そんな生活が終わりを告げようとしていた頃、戯言シリーズもまた完結を迎えたわけで。まさに運命であり、必然だったと、狐さん以上の独善でもって思わざるをえません。
あれから4年を経て、自分も西尾さんも、それを取り巻く世界も、ずいぶん変わったようで、やっぱりどこか変わっていなかったりもして。それにしても、戯言シリーズに続いて刊行された「化物語」が、よりにもよって新房シャフトでアニメ化されるなんて、誰があらかじめ予測しえたでしょうか。まして、当該戯言シリーズでさんざんジャンプネタを繰り広げた西尾維新の名が、「めだかボックス」原作者として週刊少年ジャンプの誌面を飾ることになろうとは。
それでも、世界は相変わらず息災で、剣呑剣呑とぼやきつつ、毎日を生き続けている自分がいる。つくづく、西尾さんと同年代に生まれて良かったと、同じ物語を共有できて幸せだと、そう思えます。
美少女アニメとナベシンの共存:「タユタマ-Kiss on my Deity-」(中京テレビ)
元永慶太郎監督・上江洲誠シリーズ構成が送る、新世代美少女アニメ。タユタイ、タユタユ、タユタママと3回言ってください。たゆたままー!(失礼、噛みました)
昨年末は、通称スクイズの傷跡は想像以上に大きいのか……と思ったり思わなかったりしたものですが、今回はなかなかどうして、なかなかどうした作品になったと思います。OPとEDの出来の良さにほだされている気がしなくもないですけども。
伊藤静に若本規夫で、なんとなく「ハヤテのごとく!」を連想していたら、何故かナベシンまで出てきたのには驚きです。美少女アニメとナベシンの共存。しかし言うてもナベシン、やっぱり演出の巧さは群を抜いています。やるべきことをちゃんと絞って、一クールアニメとして軸がぶれないように締めてくれました。
描かれているものは、いまどき真っ当な王道らぶこめでぃ。その対象となるのがヒトならざる者であったとしても、彼ら、彼女らは平穏を望み、日常を願う。だからこそ、あめりしゃんを応援したくなったりもしつつ、物語の必然として、選ばれるのはましろという少女。この結末はきっと、悲劇ではなく、新たなはじまりへの希望。
業務連絡。西尾維新原作、元永慶太郎監督・上江洲誠シリーズ構成による大河アニメ「刀語」は2010年公開です。
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